対人恐怖症克服記18 父への暴言
高校2年生の頃、私は対人恐怖症、赤面恐怖症、笑顔恐怖症がはじまっていました。
私は高学歴家庭で育ちました。両親の期待を背負いながら塾に通うも、父親の仕事中心の姿を見て「勉強=不幸」と感じ、意義を見出せませんでした。
葛藤と矛盾の中で成績が上がらず、父とコミュニケーションすることをますます避けるようになっていきました。
父親との会話は拷問
私の母親は女子高で家庭科の教師をしていて、平日は弁当を作ってくれていました。しかし、土曜日だけは弁当を作らず、家庭科の部活の指導をするために学校に行く習慣になっていました。
私にとって土曜日は陰鬱でした。なぜならご飯を食べさせる係が父親だったからです。父と私は2人で行きつけの中華屋で昼食を済ますことが習慣になっていました。中学生の頃まではそれが楽しみでした。
しかし、対人恐怖が始まっていた高校生になると嫌で嫌で仕方がない時間になっていました。問題は、ご飯を食べるまでのプロセスにありました。中華屋でご飯を食べるには、お店までの5分余りを一緒に歩かなくてはならないのです。
さらには注文をしてから料理が届くまで、無口で不機嫌で毘沙門天のような形相をした父と直面化しなくてはならないのでした。当日の私にとっては拷問に等しいことでした。
ボソッと呟く
私は当該毘沙門天との会話を避けるべく、ある作戦を思いつきました。それは父親にオーダーをさせる大作戦です。中華屋に行く時間になると、父親が
「いくぞー」
と部屋に入ってきます。私は父親と会話をしたくないために、
「チャーハン・・・先行ってて・・・」
とボソボソと告げました。
(親にオーダーをするとは何様だ)
と感じたのか父親は明らかに不機嫌な表情をしていました。ただ父親も陰鬱な息子との会話をなるべく避けたいのか、それ以上何も言わず先に中華屋に向かいました。
絶妙のタイミング
私はしばし家で待機をします。そして、「チャーハンドンピシャ作戦」を決行します。「チャーハンドンピシャ作戦」とは、父が注文をして、チャーハンがまさに席に置かれた瞬間を狙って家を出ることを意味します。
この家を出る時間のさじ加減は極めて重要です。コンマ1秒でもミスを犯せば、席について、目の前に何もないという、絶望的な状況に陥ることになります。
私は、「チャーハンドンピシャ作戦」を何度も繰り返すと、絶妙のタイミングで店に到着できるようになっていきました。なんとう無駄な能力でしょう。
「チャーハンドンピシャ作戦」を実行すると、店についた瞬間、ホカホカのチャーハンが出てきます。チャーハンを食べている間、
私は目の前にいる父親に何も話しかけないですし、父親も私に何も話しかけません。
ですがチャーハンは絶妙においしかったです。私は、おいしさと、気まずさの絶妙なブレンドを楽しみ(?)つつ、食べ終わると、まだ完食していない父親を尻目に、御馳走さまも言わずにさっさと店を出て行くのでした。
父への暴言
父親を回避する場面はまだまだたくさんありました。高校生の頃、私と父親の出勤時間はほぼ同じでした。しかし、父親と一緒に通勤している姿を、通学中の女子高生に見られたくなかったので、時間をずらすようにしていました。
そんなある日のことです。いつものように、父親と時間をずらして出発をしたのですが、なぜか父が庭でウロウロと停滞していて、私がドアを開けた瞬間、まさに駅に向かおうとしていたのです。
山手線と京浜東北線が絶妙のタイミングで並走するような状態となり、私はパニックに陥りました。
そしてその瞬間、
「お父さんと話すことは何もない!」
とっさに私は叫んでしまいました。そしてそそくさと先に歩いて行ってしまったのです。
父親はか細い声で
「なんだよ・・・」
と寂しそうな声を出していました。
私は、(ひどいことを言ってしまった・・・)と罪悪感に苛まれました。この暴言は今でも後悔しています。いつか父に謝らなくては・・・と考えて30年たってしまいました。
このように私は高校2年の頃になると父親と距離を置くようになり、家庭内でも孤立し、心理的な闇を深めていくことになります。
そんなある日、人生を決定つけるある光景を目にすることになります。その光景を見たことが、将来的な起業のアイデアに結びつくことになるとは、想像すらしていませんでした。
*********
・川島達史 1981年生まれ
・社交不安症専門カウンセラー
・公認心理師 精神保健福祉士
・対人恐怖のご相談はこちら
・社交不安症チャンネルはこちら
*********
- « 前へ 対人恐怖症克服記17 不毛な塾通い
- 対人恐怖症克服記19 八百屋のオヤジへの憧れ 次へ »
ブログ記事一覧
対人恐怖症克服記207 あがり症編18 生徒さん吉祥寺を徘徊(ダイコミュ黒歴史)
対人恐怖症克服記206 あがり症編17 プチナンパ塾開校(ダイコミュ黒歴史)
対人恐怖症克服記205 あがり症編16 なぜ生徒さんが継続したのか?わからない
対人恐怖症克服記203 あがり症編14 返信なし画面を見るたび落ち込む
対人恐怖症克服記202 あがり症編13 全員辞めるのではないか?
対人恐怖症克服記199 あがり症編10 三途の川でコーチング
対人恐怖症克服記197 あがり症編8 ワタクシあがっております
対人恐怖症克服記195 あがり症編6 トイレへプリズンブレイク
対人恐怖症克服記194 あがり症編5 はじめての生徒さんと共鳴
対人恐怖症克服記191 あがり症編2 人前に立つという恐怖の仕事
対人恐怖症克服記190 あがり症編1 9000円の入金に震える
対人恐怖症克服記189 起業ニート編39 ようこそダイコミュへ
対人恐怖症克服記185 起業ニート編35 3000本のリンクドーピング
対人恐怖症克服記184 起業ニート編34 消費者金融を意識する
対人恐怖症克服記181 起業ニート編31 終わらないゼロ行進
対人恐怖症克服記179 起業ニート編29 ホームページ「あ」
対人恐怖症克服記178 起業ニート編28 「もっと自分を誤魔化して」モード突入
対人恐怖症克服記175 起業ニート編25 ドメイン サーバーという呪文
対人恐怖症克服記173 起業ニート編23 問答法でソクラテスに敗北
対人恐怖症克服記170 起業ニート編20 あのね・・・あのね・・・
対人恐怖症克服記168 起業ニート編18 近所を徘徊してチラシを500部配る
対人恐怖症克服記167 起業ニート編17 悲しみのチラシ作戦
対人恐怖症克服記163 起業ニート編13 コミュニケーション業界の闇
対人恐怖症克服記161 起業ニート編11 またメールしてもいいですか?
対人恐怖症克服記160 起業ニート編10 アイドルのメアドゲット
対人恐怖症克服記158 起業ニート編8 批判→肯定ループが気持いい
対人恐怖症克服記157 起業ニート編7 異性に言われて傷ついたランキング入賞
対人恐怖症克服記156 起業ニート編6 すた丼への愛を語るも・・・
対人恐怖症克服記154 起業ニート編4 パワー系講座にアイドルがいてテンションがあがる
対人恐怖症克服記153 起業ニート編3 パワー系講座に突っ込む
対人恐怖症克服記152 起業ニート編2 コミュンケーション講座を創る
対人恐怖症克服記148 起業迷走編18 ワット・プーカオ・トーン
対人恐怖症克服記146 起業迷走編16 ドライフルーツ事業と違和感
対人恐怖症克服記144 起業迷走編14 SONYじいちゃん 200円の宿
対人恐怖症克服記141 起業迷走編11 レディーマッサージOk?
対人恐怖症克服記140 起業迷走編10 1万円(3500バーツ)しばり
対人恐怖症克服記130 会社員編24 社長からもらった一生の金言
対人恐怖症克服記127 会社員編21 自分にOKを出したい 独立の決意
対人恐怖症克服記123 会社員編17 好きだった先輩社員の退社
対人恐怖症克服記122 会社員編16 成果主義によって人間関係が壊れる
対人恐怖症克服記120 会社員編14 陳さんのスーパーワープ
対人恐怖症克服記116 会社員編10 オールC判定がアダとなる
対人恐怖症克服記115 会社員編9 認められていることが嬉しい
対人恐怖症克服記114 会社員編8 借金やら お金を払わないやら