~ いじめの定義 ~ いじめの定義の流れ
~いじめの定義~文部科学省によるいじめの定義とその紐解き
はじめまして!
いじめ撲滅委員会代表の栗本顕です。
私は学生時代、そうぜつないじめを体験してきました。
その後この問題を世界からなくすことを決意し、心理学の大学院でいじめの防止策を研究してきました。
現在では公認心理師として、いじめの解決策や、教育相談を行っています。
全国の小~高校生・保護者のかた、先生方へカウンセリングや教育相談を行っています。
大学生の頃から、とりわけ「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
私自身がいじめが原因で不登校になった経験を大いに活かし、今後のいじめ対策に貢献ができればと思います。
今回は、文部科学省が公表しているいじめの定義について紐解いていきたいと思います。
さまざまな出来事が起きている中、それらからどんなことが言えるのかをご紹介します。
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改定されてきた定義
いじめの定義は、その時代背景や多様化する社会に対応するため、定期的に改定をされてきました。
将来的には、まだまだ改定されていく可能性は大いにありますが、今までにどのように改定されたのか、現在はどのような内容なのかを把握することを疎かにしてはいけないものです。
特に、いじめ問題に向き合っていくことや研究、対策をする上で必要不可欠なものとなります。
<昭和61年度からの定義>
「いじめ」とは、「①自分よりも弱い者に対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているものであって、学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの。
なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの」とする。
と定義されていました。
内容が限定的で、特に「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」とありましたので、いじめとされなかったものは多くあったと考えられます。
<平成6年度からの定義>
「いじめ」とは、「①自分より弱い者に対して一方的に、②身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、③相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わないもの」とする。
なお、個々の行為がいじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと。
と定義されていました。
少し内容が広くなりました。
変更点は、
・「学校としてその事実(関係児童生徒、いじめの内容等)を確認しているもの」を削除
・「いじめに当たるか否かの判断を表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うこと」を追加
となります。
よりいじめとなるものの範囲が広くなり、なおかつ「児童生徒の立場に立って」といった、いじめ対策にとても大切なものが追加になったことが大きな改定でした。
<平成18年度からの定義>
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。
「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係にある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。
(※)なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
と定義されていました。
さらに内容が広くなりました。
変更点については、以下の3つが重要な点になります。
1つ目は、「自分より弱い者に対して一方的に」から「一定の人間関係のある者から」と改定されたことです。
これにより、いじめにおける被害者・加害者という関係性の考え方を見直しています。
いじめは、「一定の人間関係の中で発生すると捉える」。
つまり、改定前の定義のように弱い者に対して一方的にということだけではなく、一定の人間関係の中で、どの子にもいじめは起こりうると考えるということです。
2つ目は、「身体的・心理的な攻撃を継続的に加え」から「心理的、物理的な攻撃を受けたことにより」と改定されたことです。
これにより、「継続的」にという言葉が削除されました。
改定前は、一過性の心理的、物理的な攻撃はいじめという捉え方をしていませんが、改定後は、継続的なものはもとより一過性のものもいじめと捉えて指導していくということです。
3つ目は、「相手が深刻な苦痛を感じているもの」から「精神的な苦痛を感じているもの」と改定されたことです。これにより、深刻なという言葉が削除されました。
改定前よりも、被害者の立場に立って、被害者が感じている精神的苦痛を適切に把握し、いじめの解消に努めていくことが必要であることが強調されました。
また、この年からいじえの件数を把握するために従来の「発生件数」から「認知件数」に改定されたことも大きな変化です。
認知件数は、発生しているいじめのうち、学校が把握できている数のことです。
<平成25年度からの定義>
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為
(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。
なお、起こった場所は学校の内外を問わない。
と定義されています。
平成25年度には、「いじめ防止対策推進法」が施行されたことで、定義についても改定がありました。
そのため、内容も表現も大きく変わっていますが、根本となるもの同じです。
主な変更点は、
・「インターネットを通じて行われるものも含む」を追加
・「精神的な苦痛」から「心身の苦痛」へ変更
となります。
大きなものとしてネット上でのいじめも含まれたことが時代背景を捉えていると考えられます。
学校裏サイトなどのネットいじめや近年ではLINEでのいじめも注目されています。
また、「精神的な苦痛」から「心身の苦痛」へ変更になったことで、苦痛を感じている度合いや範囲が広くなり、いじめと判断される範囲もその分広くなったと考えられます。
いじめによる精神疾患の発症や身体症状(腹痛や頭痛など)、登校なども視野に入れたものだと推測できます。
以上のように、いじめの定義は、その時代背景や多様化する社会に対応するため、定期的に改定をされてきました。
そのため、保護者の時代や教職員の時代、現在の子どもたちの時代とでは内容が変わりますので、自身の物差しだけで判断することは控えなければいけませんので、注意が必要です。
いじめ防止対策推進法とは
いじめ防止対策推進法は、とても簡単に表現すると「いじめへの対応と防止について学校や行政等の責務を規定」しているものです。
この法律が規定された背景には、2011年に学校側がいじめはなかったとして隠蔽や責任逃れをしたことが原因で起こった
大津市中2いじめ自殺事件が2012年になって発覚して、大きく取り上げられたことが契機となったと思われます。
いじめが社会問題化する中で、いじめに対峙していくための法の制定の必要性が叫ばれました。
また、国会でもいじめ対策が喫緊の課題であるとの認識のもと協議が重ねられた結果、2013年6月28日に議員立法によって国会で可決成立し、同年9月28日に施行されました。
・いじめ対策を法律で制定した趣旨
➀いじめに関する専門的な知識を持つ教員の養成・採用・研修等の支えになる法的根拠の必要性
②いじめ防止のための予算や人的配置の根拠となる法的根拠の必要性
③いじめ防止の重要性について社会に対するアナウンス効果の重要性
が挙げられます。
いじめ防止対策推進法には、さまざまな内容が定められています。
中でも、今回は具体的に<目的>と<基本理念>について触れていきます。
<目的>
いじめが、
・被害児童・生徒等の教育を受ける権利を著しく侵害するもの
・心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるもの
・生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるもの
であることに鑑みる。
そして、児童・生徒等の尊厳を保持するため、
・いじめの防止等のための対策に関し、基本理念を定める
・国および地方公共団体等の責務を明らかにする
・いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定める
・いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定める
これらによって、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的としています。
捉えておくこととして、「児童・生徒等の尊厳を保持する」ことが根本にあるということです。
「児童・生徒等の尊厳を保持する」ために、基本理念を定めることが必要となります。
いじめに対して多角的に対策をしていくことが勧められています。
<基本理念>
・いじめの防止等の対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑みる
・児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるようにする。
・学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行う
・いじめの防止等の対策は、全ての児童等がいじめを行わず、および他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することはないようにする
・いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行う
・いじめの防止等は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識する
・国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭、その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行う
としています。
捉えておくこととして、「全ての児童等を対象」に「児童等の尊厳を保持する」ことが根本にあるということです。
「児童等の尊厳を保持する」ために、基本理念を定めることが必要となります。
いじめに対して多角的に対策をしていくことが勧められています。
他には、いじめ防止対策推進法には、
「総則」
(目的)(定義)(基本理念)(いじめの禁止)(国の責務)(地方公共団体の責務)(学校の施設者の責務)(学校及び学校の教職員の責務)(保護者の責務等)(財政上の措置等)
「いじめ防止基本方針」
(いじめ防止基本方針)(地方いじめ防止基本方針)(学校いじめ防止基本方針)(いじめ問題対策連絡協議会)
「基本的施策」
(学校におけるいじめの防止)(いじめの早期発見のための措置)(関係機関等との連携等)(いじめ防止等のための対策に従事する人材の確保及び資質の向上)(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)(いじめの防止等のための対策の調査研究の推進等)(啓発活動)
「いじめの防止等に関する措置」
(学校におけるいじめの防止等の対策のための組織)(いじめに対する措置)(学校の設置者による措置)(校長及び教員による懲戒)(出席停止制度の適切な運用等)(学校相互間の連携協力体制の整備)
「重大事態への対処」
(学校の設置者又はその設置する学校による対処)(国立大学に附属して設置される学校に係る対処)(公立の学校に係る対処)(私立の学校に係る対処)(文部科学大臣又は都道府県の教育委員会の指導、助言及び援助)
「雑則」
(学校評価における留意項目)
など、さまざまな内容が定められています。
特に、<目的>と<基本理念>については、しっかりと理解していくことが重要です。
相談をご希望の方へ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。
文部科学省 2016 平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について.
文部科学省 2013 いじめ防止対策推進法の公布について.
2件の相談
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心配してました。よかったです。
1+いじめに合い死にたいです
どうすれば良いと思いますか?3+-
ろくさん
私は不登校児です。
理由がわからないです。
でもこの掲示板を見て自分が甘えていることに気がつきました。
私があなたに言いたいことはたくさんあります。でもこれだけは言わせてください。どんな方法を使ってでも逃げてください。
死ぬなんて最悪の終わらせ方をしてはいけません。
だってあなたが死んでしまうと悲しい思いをする人がいるから。
あなたが思う以上に、あなたを心配して気にかけてくれる人がいます。
あなたは全てを終わらせるために生きてはいません。
あなたには生きる目的があります。
絶対にあなたは一人じゃない。格好をつけているのは分かっていますがそれで死ぬことを思いとどまってくれるのなら私は十分です。足枷にしている様で申し訳ありませんが私は頑張って学校に行こうと思います。ろくさんは学校に行くまでしなくていいから生きることだけを考えてください。
2+死ぬぐらいなら登校拒否して逃げてください。耐える必要など全くありません!人殺しがいるヤバい場所なんかに行かなくても、勉強ならフリースクールとか利用すれば良いんです。
登校拒否することで「自分の力であいつらから自分を守れた」と自信がつきますよ。
もうそんなヤバい場所(学校)に行かないでください、危険ですので。
私も登校拒否してたけど、国家資格とって福祉の仕事してます。何の問題もありませんよ。2+死にたいとまで思っているのなら、死ぬ前にめちゃくちゃに足掻いてみては?
アチコチに相談したり、いじめの内容を公表したり……
言葉にすること、行動に起こすことは想像以上に勇気が必要だけれど、死にたいと最悪の逃避を選択する前に、今一度自分自身を踏ん張るように奮起してみて欲しいです。
すでに頑張って頑張って辛いんだと思うけれど、頑張って!!!2+私も今いじめられてるけど頑張って生きてます。
3+う〜ん、死にたいって本気で思ってるの?
私は今中1でそれなりに学校生活ちゃんとやってると思う。高校の事考えて勉強したり内申のこと考えて頑張ってる、ごくふつーの中1。
どんないじめがあるのかはしらんし、いじめられたこともないからよく分からへんけど死にたいとは簡単に言わない方がいい。生きたくても生きれない人だってたくさんいて、生きることに感謝しないといけない。
まぁ、でもつらいのはつらいと思うから一人で抱え込まず話してね!2+こんにちは😃
どんなふうにいじめられてるのかな。
聞かせてくれたら嬉しいな😆
私も、実はグループでいじめられて教室行けなくなって別室登校してるよ!
別室登校という手もありだと思うよ!1+日本からいじめをなくそう
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返信、遅くなり申し訳ございません。
ろくは、いじめにより海外に留学することになり元々通っていた学校との関わりがなくなりました。ご心配おかけしまして申し訳ございません。本当にありがとうございました。