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いじめによる事件>愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件

いじめ撲滅

~ いじめによる事件 ~ 事件③愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件

はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。

私は学生時代、そうぜつないじめを体験して、大学院でいじめの研究をしてきました。

現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。

いじめ撲滅委員会代表栗本顕

今回のテーマは
愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件
です。

いじめは事件にも発展する危険のあるものです。今まで起きてしまった悲しき事件の全容を理解し、二度と起こらないようにしていかなくてはなりません。その責任が、我々教育関係者にはあります。

今回の目次は以下の通りです。

・いじめの内容
・学校と教育員会の対応
・加害者への処分
・事件後の遺族

愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件は、社会的に大きな影響をもたらした事件です。過去から学び、しっかりと教訓として押さえておきましょう。

 

いじめの内容

愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件は1994年に起こりました。概要は以下の通りです。

被害者
男子中学2年生

加害者
同級生11人(主犯格4人)

いじめの期間
1992年~1994年11月27日

場所
愛知県西尾市

いじめは大まかに説明すると、以下のような経緯になります。

小学6年生(1992年)

被害者は主犯格A・Bと小学校5・6年生の頃からの遊び仲間でした。6年生の時、3人が決闘して被害者が一番弱かったことから、いじめが始まりました。

中学1年生(1993年)

・いじめの痕跡
中学1年の2学期ころ、被害者は学校でカバンを隠されたりしました。顔に痣をつけて帰宅したり、自転車の泥除けを壊されたり、前かごの針金を切られたりもしました。

自転車店の店主は、度重なる修理を不審に思い、学校に情報を伝えています。しかし被害者本人がいじめだと言わなかったことで、学校がいじめ対処に動くことはありませんでした。

・恐喝がはじまる
このころから、現金数百円から数千円を取られるようになっていました。

中学2年生(1994年)

・成績が落ち始める
主犯格から授業中の挙手が禁止され、教師からの評価が下がっていきました。学年で10番以内だった成績は落ち始め、表情は暗く落ち着きもなくなりました。

被害者のクラス担任は前年、小学校1年生を受け持っていた20代の女性教師でした。生徒から「幼稚っぽい」と反発が生まれ、4月末頃には早くも授業中の担任いじめが始まっていました。

・加速する校内でのいじめ
クラス担任がいじめを受ける中、被害者へのいじめは加速していきました。

・毎日、殴られる
・パシリに使われる
・女子トイレに入らされる

また女子生徒の前で、自慰行為を強制されたこともありました。

・恐喝と自殺の強要
他の生徒から見えないところでも、いじめはエスカレートしていました。

被害者への金銭の要求は、1ケタも2ケタも増え、1度につき万単位で要求され始めます。被害者に別の同級生の家に盗みに入らせたこともありました。

そして被害者に最も恐怖を与えたいじめが、遺書に図入りで書かれた川に、顔面をムリやり水の中につけられるものでした。川の中で足をかけられて、息ができず、力ずくで押さえつけられる程のものでした。

・自宅で自殺
被害者は、自宅の裏庭にある柿の木にロープをかけ、首吊り自殺を図りました。発見者は、被害者を探していた母親です。

葬儀の後には、自室の机から「いじめられてお金をとられた」と書かれた遺書が見つかりました。

 

学校と教育委員会の対応

この事件に対して学校と教育委員会はどのように対応したのでしょうか。

校長が全校集会で口止め

自殺の翌日、学校は教育委員会に「突然死」と報告しました。

校長は全校集会で「軽々しく人に話さないように」と生徒に話し、加えて生徒全員に、この事件を受けての作文を書かせています。

そして報道陣には「(いじめの)事実は出てこない」と話していました。

加害者11人が明らかに

被害者の遺書を受け、西尾市教育委員会によって調査が行われました。いじめ加害者は、主犯格4人を含む11人、2年生の5クラスにまたがっていたことがわかったのです。

そして脅し取られた金額は、少なくとも110万円とされました。

 

加害者への処分

事件に関与したいじめ加害者11人は、どのような処分を受けたのでしょうか。

主犯格4人と学校への処分

・恐喝容疑で書類送検
1995年2月10日、愛知県警と西尾署は加害者11人のうち主犯格4人を恐喝容疑で書類送検しました。

・主犯格と教師が処分される
1995年4月4日、名古屋家庭裁判所岡崎支部は主犯格4人のうち、3人を初等少年院に、残る1人を教護院(現在の児童自立支援施設)に送致する保護処分としました。そして中学校の教師5人が処分となり、校長は新年度に異動となりました。

 

事件後の遺族

社会に衝撃を与えたこの事件は、事件後の遺族に悲しみを与え続けました。

遺族への避難

事件後、同級生の親たちから遺族を非難する声があがりました。

「騒いだことで地域に泥を塗った」
「受験で不利になった」
「東部中の推薦枠が心配」

など。また匿名の男性からは「いつまで学校に文句を言っているんだ」という電話が、遺族の自宅にかかってきました。

被害者の兄が自殺

2019年にはその後の遺族の姿を見つめた、NHKのドキュメンタリー番組が放送されました。

その中で被害者の父親が、全国のいじめに苦しむ子どもたちと手紙のやり取りなどを行ってきたことが紹介されています。加えて事件の13年後に、被害者の兄が自殺していたことも公表されました。

遺族は、いじめがもたらす悲劇を1つでも減らそうと現在も活動をしています。

 

メッセージ

愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件は、いじめにおける予防・対応が、不十分であったことが表れていると思います。

また「相談をする」「SOSを出す」キッカケが生かせなかったこと、カウンセリングについても支援が弱かったのではないでしょうか。

とくに、いじめの予防については、いじめが発生してしまうリスクや可能性を考慮しなくてはなりません。児童生徒同士の関係について、うわべだけではない判断をしていくことが必要です。

いじめの加害者の多くは、加害の意識がないと経験から感じています。いじめが発生するリスクや可能性を考慮し、予防的に動かなければ間に合わなくなってしまいます。

いじめを最小限に、そして「0」に近づけるためには、「予防教育・適切な対応・抜かりのないケア」が欠かせません。いじめ解決のために動ける教育、環境を作っていくことが非常に重要です。

 

お知らせ

いじめ撲滅委員会では、いじめのない社会を実現するべく、以下のような取り組みを行っています。

教育関係者向け講演,指導

教育関係者、学校向けのコンサルテーションも行っています。研修や講演に興味がある方は下記ページをご覧ください。

いじめコンサルテーション,研修,講演依頼-いじめ撲滅委員会

 

相談をご希望の方へ

いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。

・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
・学校が動いてくれない
・子供がいじめにあっている

など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。

いじめ,カウンセリング


<主な参考文献>
鎌田 慧 1996 「せめてあのとき一言でも いじめ自殺した子どもの親は訴える」 草思社.
村上 義雄 1995 「ルポ いじめ社会 あえぐ子どもたち」 朝日新聞社.
村山 士郎 1996 「いじめの世界が見えてきた」 大月書店.
尾木 直樹 1996 「いじめ その発見と新しい克服法」 学陽書房.
豊田 充 1995 『いじめの深層は』 大海社.
武田 さち子 2004 「あなたは子どもの心と命を守れますか いじめ白書」 WAVE出版.
藤井 誠二 2002 「少年に奪われた人生 犯罪被害者遺族の闘い」 朝日新聞社.
山崎 哲 1998 「『少年』事件ブック」 春秋社.

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2件の相談

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    • 相 談
    • aa
    • 2023年6月28日 10:20 AM

    わたしは歯並びが悪くご飯を食べたらくちゃくちゃしちゃいます。そのことについてみんなはきたなーいとかおこちゃまとかそのせいで歯並びが悪い人みんなくちゃくちゃしちゃうのでそれについてまたひなんします。その人は自己主義なので自分がまちがっているとうるせえだまれと言ってきます。それにみんな流されて一人だけ違うことをいうとランドセルをけられます。すごくイライラします。離れたけどその人のどこかがにくめないので、、、

    5+
    返信する
      • Uber
      • 2024年2月27日 2:32 PM

      そんなの気にしなく大丈夫!
      いつでも家族や周りには、沢山の悩みを聞いてくれる人がいるから1人で抱え込まないでまずはお家の人に相談した方がいいと思うよ。

      3+
      返信する
      • かおな
      • 2023年11月7日 5:57 PM

      そんなの気にしたら、人生そんしちゃうよっ!相手にしないで自分の道を頑張って進めてね

      3+
      返信する
    • 相 談
    • フォートナイト
    • 2020年1月14日 9:35 AM

    はじめまして、小学三年生男子の母です。11月からゲームで仲間外れをされています。リーダーになっている子からあだ名で呼ばれそれを担任に相談、その後から仲間外れがはじまりました。

    11+
    返信する
      • Eats
      • 2024年2月27日 2:35 PM

      まだ小さいお子さんがそんな経験をしてしまうとトラウマにもなるかもなので、まずはリーダーとそのお母様に話すのはいかがでしょう?

      1+
      返信する
      • ラーメン🍜
      • 2022年8月23日 5:21 PM

      逆に関わらない、というのも一つの手です。(もし縁が復帰してもいじめに発展する可能性がある為)
      けれど小学生3年生だと難しいですよね、何処までが遊びで何処までが本気なのかわかりづらい。僕の弟も主さんのお子さんと同じような状況になっているのですが、今は違う子たちとグループを作って遊んでいます。つまりその子達と無理に縁を続けようとしなくてもいいということです。ただ、こちら側が手を出さなくても、向こうがまた手を出してくることも有り得るので、先生に相談は必須だと思います。また息子さんが何をされたのか、毎日会話して証拠を集めておくといいと思います

      4+
      返信する
      • 撲滅委員会-栗本
      • 2020年2月6日 3:37 PM

      息子さんが仲間外れにされていたり、あだ名で呼ばれているのは嫌ですよね。
      そして、先生に相談後からまた、仲間外れとなると、さらに苦しいですね。

      いじめは、学校の内外と問いませんので、引き続き先生に相談をしてください。
      先生に相談する際に「相談者から相談した」ということにはせずに、「先生がその後を心配して息子さんと相手のお子さんたち双方に声掛けと見守り」をしてもらえるようにお願いしてみてください。

      また、新しい交友関係を作っていくことも良いと思います。共通のものを持たせたり、させたりすることで、関係が作れていくことがあります。

      無理に、仲直りして同じ子と関わろうとはしなくてもOKだと思います。

      その点については、「息子さんがどうしたいのか」を優先に。

      10+
      返信する
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