~ いじめ防止対策推進法 ~ いじめ防止対策推進法とは
いじめ防止対策推進法とはーわかりやすく解説ー
はじめまして!いじめ撲滅委員会代表,公認心理師の栗本顕です。
私は学生時代、そうぜつないじめを体験して、大学院でいじめの研究をしてきました。
現在はいじめの問題を撲滅するべく、研修やカウンセリング活動を行っています。
今回は、いじめ防止対策推進法について、ご紹介をしていきたいと思います。
いじめは事件にも発展する危険のあるものです。
今まで起きてしまった悲しき事件の全容を理解し、二度と起こらないようにしていかなくてはなりません。その責任が、我々教育関係者にはあります。そこで、いじめ防止対策推進法について今一度理解を深めて、いじめのない教育現場にしていけたらと思います。
概要
いじめ防止対策推進法(いじめぼうしたいさくすいしんほう)は、いじめへの対応と防止について学校や行政等の責務を規定しています。日本の法律で、法令番号は平成25年法律第71号、2013年(平成25年)6月28日に公布されました。
2011年に学校側がいじめはなかったとして隠蔽や責任逃れをしたことが原因で起こった大津市中2いじめ自殺事件が2012年に発覚したことで、大きくマスコミに取り上げられたことがキッカケとなりました。
2013年2月に教育再生実行委員会議第1次提言会にて、「社会総がかりでいじめに対峙していくための基本的な理念や体制を整備する法律の制定が必要」とされました。
そして速やかに法整備がなされ、2013年6月28日に与野党の議員立法によって国会で可決成立し、同年9月28日に施行されました。
内容
<いじめの定義>
「いじめ」を「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚部を除く特別支援学校)に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義し、基準を「他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為」により「対象生徒が心身の苦痛を感じているもの」と明確にしました。
いじめの定義の流れ
<学校の対処方法の明確化>
いじめ防止基本方針では、学校はいじめの防止のための取り組みや早期発見、いじめ事案への対処のあり方、教育相談体制や生徒指導体制、校内研修などを定めることが想定されています。
その上で基本方針に則って、いじめが起きにくい、あるいはいじめを許さない環境づくりに係る取り組み、いじめの早期発見や事案対処のマニュアル実行、定期的または必要に応じたアンケートなどの取り組みを行っていくことを学校に求めています。
またこの取り組みに係る達成目標を設定し、目標の達成状況を評価されます。そのため学校側は評価結果を踏まえた上で、いじめ防止などの取り組みの改善を図る必要があります。
・学校の設置者及び学校が講ずべき基本的施策として
- 道徳教育等の充実
- 早期発見のための措置
- 相談体制の整備
・インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進を定めるとともに、国及び地方公共団体が講ずべき基本的施策として
- いじめの防止等の対策に従事する人材の確保等
- 調査研究の推進
- 啓発活動について定める
- いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、複数の教職員、心理、福祉等の専門家その他の関係者により構成される組織を置く
・個別のいじめに対して学校が講ずべき措置として
- いじめの事実確認
- いじめを受けた児童生徒又はその保護者に対する支援
- いじめを行った児童生徒に対する指導又はその保護者に対する助言について定めると伴に、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときの所轄警察署との連携について定めること。
- いじめられている児童生徒の生命又は身体の安全が脅かされているような場合ただちに警察に通報すること
- 懲戒、出席停止制度の適切な運用等その他いじめの防止等に関する措置を定めること
<具体的な対処内容>
・いじめを受けた児童生徒が安心して教育を受けられるように、いじめを行った側の児童生徒は別の教室で授業を受けさせる
・児童生徒がケガをしたり長期間欠席することを余儀なくされたりするなど重大な被害が起きた場合には、学校が調査を行い事実関係を保護者らに伝えることを義務づける
・いじめが起きた場合には、学校がカウンセラーの協力を得ながらいじめを受けた児童生徒を継続的に支援する
<いじめ防止対策推進法における組織の役割>
いじめ防止対策推進法の基本方針には、いじめの防止のための組織についても定められています。
また、同時に教育委員会や学校の役割なども明記しており、組織的ないじめの対応を行うことを目指し、学校ごとに設置されるのが「いじめ対策組織」となります。
いじめ対策組織は、「学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。」と定められています。
教育委員会は、いじめ問題の徹底把握と徹底指導、教職員の意識改革や、いじめ防止対策推進法の教職員への浸透、指導主事の要請や配置、重大事態が発生した際の警察との連携などの役割があります。
学校は、校内の全ての教室の状況把握とマネジメント、いじめの把握や情報収集、指導や支援などの役割があります。
それぞれについて、説明をすると以下のようになります。
<いじめ対策組織>
学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとしています。
いじめ対策組織は、いじめの防止などの中核となる組織として位置づけられており、的確にいじめの疑いに関する情報の共有を行い、その情報をもとに組織的に対応できるような体制を作ることが目的となっています。
事実関係の把握やいじめであるか否かの判断は組織的に行うことが必要とされており、いじめ対策組織が情報収集と記録・共有の役割を担うことから、些細な兆候や懸念、児童生徒からの訴えなどを教職員が抱え込まず、直ちに全て報告・相談するものとしています。
いじめ対策組織に集められた情報に関しては、個人の児童生徒ごとに記録して、複数の教職員が個別に認知した情報の集約と共有化を図るなどの役割を担っています。
<教育委員会の役割>
教育委員会の役割は、大きく分けて3つとなっています。
- 管理下の学校の状況のいじめ問題の徹底把握と徹底指導
いじめの情報や対策の課題などが教育委員会に集約され、指導主事が問行調査や就学援助率、学力調査などの情報とともにデータ分析を行い、いじめの情報や対策の提案などを教育長に挙げます。
それをもとに教育委員会から学校に指導や助言を行い、要請を待たず積極的な学校訪問も行っています。
- 教職員の意識改革、いじめ防止対策推進法の教職員への浸透
いじめについて、全ての教職員の意識改革や、いじめ防止対策推進法の教職員への浸透の役割があります。
いじめがあることが必ずしも悪でないことや、学校におけるいじめ対策組織を中核とした組織的な対応の徹底などになります。
- 学校長に指導主事の要請や配置、警察との連携や地方公共団体の抑えの報告
学校、特に学校長にしっかり指導助言できる指導主事の要請や配置、重大事態が発生した際の警察との連携や地方公共団体の抑えの報告などになります。
<学校の役割>
学校の役割としては、大きく分けて3つとなっています。
・校内の全ての教室の状況把握とマネジメント
いじめが発生しているかどうか現場の情報が全てになります。
そのため学校長や教頭は教職員から報告が挙がってきやすい環境づくりが必要になります。
また、教室を巡回しての観察などを行い、いじめの状況把握などを行います。
さらに、定期的な面談やアンケートによる早期発見の努力もしていかなければいけません。
学校長のリーダーシップの下、生徒指導担当や学年主任、養護教諭、学級担任などの教職員、スクールカウンセラーなどとともに指導や支援体制を組む役割を担います。
・体制つくり
いじめが発生した場合、児童生徒に寄り添え支える体制をつくり、徹底的に守り通すことや、いじめた生徒に自らの行為の責任を自覚させること、いじめに向かわせない力を育むことが必要です。
またいじめを見ていた生徒に関しても、自分の問題として捉えさせるとともに、いじめを止められなかったとしても誰かに知らせる勇気を持つことを促します。
・情報収集と連携
いじめの事実関係の報告や、今後の学校との連携方法など保護者との連携も行うことで、児童生徒のケアを行うと同時に、いじめを進行させないための取り組みも行います。
把握や情報収集、指導や支援などを組織的に連携していかなければいけない立場でもありあす。
重大事態への対処の指針
<重大事案の定義>
- いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
- いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
- 学校の設置者又はその設置する学校は、重大事態に対処し、及び同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、適切な方法により事実関係を明確にするための調査を行うものとすること
- 学校の設置者又はその設置する学校は、1の調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童生徒及びその保護者に対し、必要な情報を適切に提供するものとすること
- 地方公共団体の長等に対する重大事態が発生した旨の報告、地方公共団体の長等による1の調査の再調査、再調査の結果を踏まえて措置を講ずること等について定めること
いじめ防止対策推進法を分かりやすく表現
いじめ防止対策推進法に限らず、法律はなかなか難しい表現が慣れており、その解釈に時間を有してしまいます。
しかし、教育現場は時間がありません。
また教育現場だけではなく、児童性との保護者、関係者もわかりやすい表現でなくてはイメージがつきにくいです。
そこで、いじめ防止対策推進法を網羅するとともに、「つまり、こういうことです」と表現をしました。ぜひ、ご活用ください。
<いじめ防止対策推進法条文>
(目的)
第一条 この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
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いじめ防止対策推進法の目的になります。
『いじめというものは、心や身体を傷つけ、教育を受ける権利や、人間としての生きる権利を傷つける行為であり、児童生徒の成長に害を与えます。命が危険にさらされてしまうことさえあります。この法律は、そのようないじめを防止するために作られました。』ということです。
(定義)
第二条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
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いじめの定義になります。
『いじめは、児童生徒等に対して、当該児童生徒等が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒等と一定の人的関係にある他の児童生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。』ということです。さらに、『ここでの学校は学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいいます。また、「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。』になります。
(基本理念)
第三条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、及び他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命及び心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。
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いじめ防止対策推進法の基本理念です。
『いじめは全ての児童生徒に関係する問題なので、学校の内外問わず防止しなくてはいけない。また、放置しないために理解を深めること、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携の下、いじめ問題に取り組みましょう。』ということです。
(いじめの禁止)
第四条 児童等は、いじめを行ってはならない。
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いじめの禁止です。
『児童生徒はいじめを行ってはいけませんよ。』ということです。
(国の責務)
第五条 国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
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国の責任についてです。
『国は、いじめの防止のために、対策をする責務がある。』ということです。
(地方公共団体の責務)
第六条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
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地方公共団体の責任についてです。
『地方公共団体は、国と協力していじめ対策をする責務がある。』ということです。
(学校の設置者の責務)
第七条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
-
学校設置者の責任についてです。
『学校設置者(主に市や国など、〇〇立の○○部分)は、いじめを防止する責務がある。』ということです。
(学校及び学校の教職員の責務)
第八条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民、児童相談所その他の関係者との連携を図りつつ、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。
- 学校と教職員の責任についてです。
『学校と教職員は、関係者や関係機関と連携し、学校全体でいじめの防止と早期発見に取り組むこと、いじめが起きていると思われるときには適切かつ迅速に対処する責務がある。』ということです。
(保護者の責務等)
第九条 保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。
3 保護者は、国、地方公共団体、学校の設置者及びその設置する学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
4 第一項の規定は、家庭教育の自主性が尊重されるべきことに変更を加えるものと解してはならず、また、前三項の規定は、いじめの防止等に関する学校の設置者及びその設置する学校の責任を軽減するものと解してはならない。
-
保護者の責任についてもあります。
『保護者は、規範意識を安なうための指導を行うように努める。子どもがいじめられた時は、適切に保護します。学校や公共団体が行ういじめの措置に協力するよう努力する。』ということです。
(財政上の措置等)
第十条 国及び地方公共団体は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
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財政上の措置についてです。
『国及び地方公共団体は、いじめ対策のために必要な財政上の措置を講ずるように努める。』ということです。
(いじめ防止基本方針)
第十一条 文部科学大臣は、関係行政機関の長と連携協力して、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「いじめ防止基本方針」という。)を定めるものとする。
2 いじめ防止基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 いじめの防止等のための対策の基本的な方向に関する事項
二 いじめの防止等のための対策の内容に関する事項
三 その他いじめの防止等のための対策に関する重要事項
- いじめ防止基本方針についてです。
『文部科学大臣は、関係行政機関の長と連携協力して、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するためのいじめ防止基本方針を定める。この方針は、いじめの防止等のための対策の基本的な方向、対策の内容、その他いじめの防止等のための対策に関する事項を定める。』ということです。
(地方いじめ防止基本方針)
第十二条 地方公共団体は、いじめ防止基本方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体におけるいじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針(以下「地方いじめ防止基本方針」という。)を定めるよう努めるものとする。
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地方公共団体のいじめ防止基本方針についてです。
『地方公共団体は、その地域の実情に応じ、いじめ防止対策の基本方針(地方いじめ防止基本方針)を立てるように努める。』ということです。
(学校いじめ防止基本方針)
第十三条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
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学校のいじめ防止基本方針についてです。
『各学校は、その学校の実情に応じ、いじめ防止対策の基本方針を定める。』ということです。
(いじめ問題対策連絡協議会)
第十四条 地方公共団体は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、条例の定めるところにより、学校、教育委員会、児童相談所、法務局又は地方法務局、都道府県警察その他の関係者により構成されるいじめ問題対策連絡協議会を置くことができる。
2 都道府県は、前項のいじめ問題対策連絡協議会を置いた場合には、当該いじめ問題対策連絡協議会におけるいじめの防止等に関係する機関及び団体の連携が当該都道府県の区域内の市町村が設置する学校におけるいじめの防止等に活用されるよう、当該いじめ問題対策連絡協議会と当該市町村の教育委員会との連携を図るために必要な措置を講ずるものとする。
3 前二項の規定を踏まえ、教育委員会といじめ問題対策連絡協議会との円滑な連携の下に、地方いじめ防止基本方針に基づく地域におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにするため必要があるときは、教育委員会に附属機関として必要な組織を置くことができるものとする。
- 地方公共団体はいじめ問題対策連絡協議会を置くということについてです。
『地方公共団体は、関係者や関係機関でいじめ問題対策連絡協議会を置く、当該市町村の教育委員会との連携を図るために必要な措置を講じ、教育委員会に附属機関として必要な組織を置くことができる。』ということです。
(学校におけるいじめの防止)
第十五条 学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
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学校におけるいじめの防止についてです。
『学校は、いじめ防止につながるような、道徳教育や心を豊かにする教育、及び体験を充実させなければなりません。また、保護者、地域の方々、その他の関係者と協力して、いじめ対策・啓発を講じる。』ということです。
(いじめの早期発見のための措置)
第十六条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを早期に発見するため、当該学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、いじめに関する通報及び相談を受け付けるための体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。
3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制(次項において「相談体制」という。)を整備するものとする。
4 学校の設置者及びその設置する学校は、相談体制を整備するに当たっては、家庭、地域社会等との連携の下、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利その他の権利利益が擁護されるよう配慮するものとする。
- いじめの早期発見のための措置についてです。
『学校はいじめの早期発見をするため、定期的に調査など必要なことを講じます。国や公共団体、学校は、いじめについての相談や通報の体制を作ります。いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を守ります。』ということです。
(関係機関等との連携等)
第十七条 国及び地方公共団体は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援、いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言その他のいじめの防止等のための対策が関係者の連携の下に適切に行われるよう、関係省庁相互間その他関係機関、学校、家庭、地域社会及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他必要な体制の整備に努めるものとする。
- 関係機関等との連携についてです。
『国及び地方公共団体は、いじめられた児童生徒や家族を支え、いじめた児童生徒について指導できるように、関係機関との連携を図り、必要な体制を整備します。』ということです。
(いじめの防止等のための対策に従事する人材の確保及び資質の向上)
第十八条 国及び地方公共団体は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援、いじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言その他のいじめの防止等のための対策が専門的知識に基づき適切に行われるよう、教員の養成及び研修の充実を通じた教員の資質の向上、生徒指導に係る体制等の充実のための教諭、養護教諭その他の教員の配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であっていじめの防止を含む教育相談に応じるものの確保、いじめへの対処に関し助言を行うために学校の求めに応じて派遣される者の確保等必要な措置を講ずるものとする。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の教職員に対し、いじめの防止等のための対策に関する研修の実施その他のいじめの防止等のための対策に関する資質の向上に必要な措置を計画的に行わなければならない。
- 人材の確保及び資質の向上についてです。
『国及び地方公共団体は、いじめを受けた児童生徒や家族、いじめをした児童生徒を適切に助言等できるようにします。また、いじめ防止のために働ける専門の人を置いたり、先生方の研修を進めたりします。』ということです。
(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)
第十九条 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校に在籍する児童等及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえて、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、これらの者に対し、必要な啓発活動を行うものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童等がインターネットを通じて行われるいじめに巻き込まれていないかどうかを監視する関係機関又は関係団体の取組を支援するとともに、インターネットを通じて行われるいじめに関する事案に対処する体制の整備に努めるものとする。
3 インターネットを通じていじめが行われた場合において、当該いじめを受けた児童等又はその保護者は、当該いじめに係る情報の削除を求め、又は発信者情報(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第四条第一項に規定する発信者情報をいう。)の開示を請求しようとするときは、必要に応じ、法務局又は地方法務局の協力を求めることができる。
- インターネットを通じてのいじめ対策についてです。
『国及び地方公共団体、学校は、インターネットでのいじめを防止するために、啓発活動をします。また、いじめに関する事案に対処する体制の構築に努めます。インターネットを通じていじめを受けた児童生徒や家族は、法務局又は地方法務局の協力を求めることができます。』ということです。
(いじめの防止等のための対策の調査研究の推進等)
第二十条 国及び地方公共団体は、いじめの防止及び早期発見のための方策等、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言の在り方、インターネットを通じて行われるいじめへの対応の在り方その他のいじめの防止等のために必要な事項やいじめの防止等のための対策の実施の状況についての調査研究及び検証を行うとともに、その成果を普及するものとする。
- いじめの防止等のための対策の調査研究の推進についてです。
『国及び地方公共団体は、インターネットを通じたいじめへの対応の在り方、その他のいじめの防止等のために必要な事項やいじめの防止等のための対策の実施の状況についての調査研究及び検証を行います。また、その成果を普及します。』ということです。
(啓発活動)
第二十一条 国及び地方公共団体は、いじめが児童等の心身に及ぼす影響、いじめを防止することの重要性、いじめに係る相談制度又は救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
-
啓発活動についてです。
『国及び地方公共団体は、いじめについての知識と対策、相談体制等の広報や啓発活動をします。』ということです。
(学校におけるいじめの防止等の対策のための組織)
第二十二条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成されるいじめの防止等の対策のための組織を置くものとする。
-
学校におけるいじめの防止等の対策のための組織についてです。
『学校は、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者と、いじめ防止のための組織を作ります。』ということです。
(いじめに対する措置)
第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。
2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。
- いじめに対する措置についてです。
『いじめの相談を受けた際は。いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報、その他の適切な措置をとります。学校は、速やかに児童等に係るいじめの事実確認を行うための措置を講じ、その結果を当該学校の設置者に報告する。いじめの事実があった場合は、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言や必要な措置を行うものとする。学校は、保護者同士の争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。学校は、いじめの程度により所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。』ということです。
(学校の設置者による措置)
第二十四条 学校の設置者は、前条第二項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、その設置する学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。
-
学校の設置者による措置についてです。
『学校の設置者は、いじめ報告を受けたら、その学校がいじめ対策をするのを指示し、必要な調査を行う。』ということです。
(校長及び教員による懲戒)
第二十五条 校長及び教員は、当該学校に在籍する児童等がいじめを行っている場合であって教育上必要があると認めるときは、学校教育法第十一条の規定に基づき、適切に、当該児童等に対して懲戒を加えるものとする。
- 校長及び教員による懲戒についてです。
『校長及び教員は、教育上必要があれば、学校教育法に基づいて、いじめた児童生徒に対して懲戒を加える。』ということです。
(出席停止制度の適切な運用等)
第二十六条 市町村の教育委員会は、いじめを行った児童等の保護者に対して学校教育法第三十五条第一項(同法第四十九条において準用する場合を含む。)の規定に基づき当該児童等の出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとする。
- 出席停止制度の適切な運用等についてです。
『市町村の教育委員会は、いじめた児童生徒の保護者に対して学校教育法に基づいて、出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童生徒が安心して教育を受けられるようにする。』ということです。
(学校相互間の連携協力体制の整備)
第二十七条 地方公共団体は、いじめを受けた児童等といじめを行った児童等が同じ学校に在籍していない場合であっても、学校がいじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を適切に行うことができるようにするため、学校相互間の連携協力体制を整備するものとする。
- 学校相互間の連携協力体制の整備についてです。
『いじめを受けた児童生徒といじめを行った児童等が同じ学校に在籍していない場合でも、地方公共団体は、適切に対処できるように学校相互間の連携協力体制を整備する。』ということです。
(学校の設置者又はその設置する学校による対処)
第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。
一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
3 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。
- 学校の設置者又はその設置する学校による対処についてです。
『学校の設置者又はその設置する学校は、重大事態に対処するため、組織を設け、事実確認のために調査を行う。必要な情報を適切に提供し、必要な指導及び支援を行うものとする。重大自体とは、児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるときや、児童生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるときに該当する。』ということです。
(国立大学に附属して設置される学校に係る対処)
第二十九条 国立大学法人(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人をいう。以下この条において同じ。)が設置する国立大学に附属して設置される学校は、前条第一項各号に掲げる場合には、当該国立大学法人の学長を通じて、重大事態が発生した旨を、文部科学大臣に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた文部科学大臣は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、前条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 文部科学大臣は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る国立大学法人又はその設置する国立大学に附属して設置される学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、国立大学法人法第三十五条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第六十四条第一項に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。
- 国立大学付属校に係る対処についてです。
『当該国立大学法人の学長を通じて、重大事態が発生した旨を、文部科学大臣に報告しなければならない。報告を受けた文部科学大臣は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、前条第一項の規定による調査の結果について調査を行う。文部科学大臣は、調査の結果を踏まえ、当該調査に係る国立大学法人又はその設置する国立大学に附属して設置される学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、必要な措置を講ずるものとする。』ということです。
(公立の学校に係る対処)
第三十条 地方公共団体が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 地方公共団体の長は、前項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。
4 第二項の規定は、地方公共団体の長に対し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十一条に規定する事務を管理し、又は執行する権限を与えるものと解釈してはならない。
5 地方公共団体の長及び教育委員会は、第二項の規定による調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。
- 公立学校に係る対処についてです。
『地方公共団体の教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない。地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行い、その結果を議会に報告しなければならない。地方公共団体の長及び教育委員会は、調査の結果を踏まえ、自らの権限及び責任において、当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。』ということです。
(私立の学校に係る対処)
第三十一条 学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下この条において同じ。)が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、重大事態が発生した旨を、当該学校を所轄する都道府県知事(以下この条において単に「都道府県知事」という。)に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた都道府県知事は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 都道府県知事は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校法人又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、私立学校法第六条に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 前二項の規定は、都道府県知事に対し、学校法人が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならない。
第三十二条 学校設置会社(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第十二条第二項に規定する学校設置会社をいう。以下この条において同じ。)が設置する学校は、第二十八条第一項各号に掲げる場合には、当該学校設置会社の代表取締役又は代表執行役を通じて、重大事態が発生した旨を、同法第十二条第一項の規定による認定を受けた地方公共団体の長(以下「認定地方公共団体の長」という。)に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた認定地方公共団体の長は、当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、第二十八条第一項の規定による調査の結果について調査を行うことができる。
3 認定地方公共団体の長は、前項の規定による調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校設置会社又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、構造改革特別区域法第十二条第十項に規定する権限の適切な行使その他の必要な措置を講ずるものとする。
4 前二項の規定は、認定地方公共団体の長に対し、学校設置会社が設置する学校に対して行使することができる権限を新たに与えるものと解釈してはならない。
5 第一項から前項までの規定は、学校設置非営利法人(構造改革特別区域法第十三条第二項に規定する学校設置非営利法人をいう。)が設置する学校について準用する。この場合において、第一項中「学校設置会社の代表取締役又は代表執行役」とあるのは「学校設置非営利法人の代表権を有する理事」と、「第十二条第一項」とあるのは「第十三条第一項」と、第二項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、第三項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、「学校設置会社」とあるのは「学校設置非営利法人」と、「第十二条第十項」とあるのは「第十三条第三項において準用する同法第十二条第十項」と、前項中「前二項」とあるのは「次項において準用する前二項」と読み替えるものとする。
- 私立学校に係る対処についてです。
『重大事態が発生した旨を、当該学校を所轄する都道府県知事に報告しなければならない。当該報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、調査を行うことができる。調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校法人又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、必要な措置を講ずるものとする。』ということです。また、『学校設置会社が設置する学校は、当該学校設置会社の代表取締役又は代表執行役を通じて、重大事態が発生した旨を地方公共団体の長に報告しなければならない。重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、附属機関を設けて調査を行う等の方法により、調査を行うことができる。調査の結果を踏まえ、当該調査に係る学校設置会社又はその設置する学校が当該調査に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずることができるよう、必要な措置を講ずるものとする。第一項から前項までの規定は、学校設置非営利法人が設置する学校について準用する。この場合に、第一項中「学校設置会社の代表取締役又は代表執行役」とあるのは「学校設置非営利法人の代表権を有する理事」と、「第十二条第一項」とあるのは「第十三条第一項」と、第二項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、第三項中「前項」とあるのは「第五項において準用する前項」と、「学校設置会社」とあるのは「学校設置非営利法人」と、「第十二条第十項」とあるのは「第十三条第三項において準用する同法第十二条第十項」と、前項中「前二項」とあるのは「次項において準用する前二項」と読み替えるものとする。』ということです。
(文部科学大臣又は都道府県の教育委員会の指導、助言及び援助)
第三十三条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の四第一項の規定によるほか、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県の教育委員会は市町村に対し、重大事態への対処に関する都道府県又は市町村の事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。
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文部科学大臣又は都道府県の教育委員会の指導、助言及び援助についてです。
『文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県の教育委員会は市町村に対し、重大事態への対処に関する都道府県又は市町村の事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。』ということです。
第六章 雑則
(学校評価における留意事項)
第三十四条 学校の評価を行う場合においていじめの防止等のための対策を取り扱うに当たっては、いじめの事実が隠蔽されず、並びにいじめの実態の把握及びいじめに対する措置が適切に行われるよう、いじめの早期発見、いじめの再発を防止するための取組等について適正に評価が行われるようにしなければならない。
- 学校評価における留意事項についてです。
『学校が評価される際は、いじめの事実が隠蔽されず、いじめの実態の把握及びいじめに対する措置が適切に行われるよう、いじめの早期発見、再発を防止するための取組等について適正に評価が行われるようにしなければならない。』ということです。
(高等専門学校における措置)
第三十五条 高等専門学校(学校教育法第一条に規定する高等専門学校をいう。以下この条において同じ。)の設置者及びその設置する高等専門学校は、当該高等専門学校の実情に応じ、当該高等専門学校に在籍する学生に係るいじめに相当する行為の防止、当該行為の早期発見及び当該行為への対処のための対策に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
- 高等専門学校における措置についてです。
『高等専門学校の設置者及びその設置する高等専門学校は、実情に応じ、在籍する学生に係るいじめに相当する行為の防止、当該行為の早期発見及び当該行為への対処のための対策に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。』ということです。
相談をご希望の方へ
いじめ撲滅委員会では、全国の小~高校生・保護者のかた、先生方にカウンセリングや教育相談を行っています。カウンセラーの栗本は、「いじめ」をテーマに研究を続けており、もうすぐで10年になろうとしています。
・いじめにあって苦しい
・いじめの記憶が辛い
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・子供がいじめにあっている
など、いじめについてお困りのことがありましたらご相談ください。詳しくは以下の看板からお待ちしています。
文部科学省 2016 平成28年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について.
文部科学省 2013 いじめ防止対策推進法の公布について.
毎日新聞 ことば:いじめ防止対策推進法 2013年9月28日.
文部科学省 別添1 いじめ防止対策推進法(概要).
日本経済新聞 いじめ防止法が施行 学校に対策組織を義務付け 2013年9月28日.
NHKニュース 犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案に関する警察への相談・通報について(通知) 2013年6月21日.
独立行政法人教職員支援機構「いじめ対策のポイントといじめ防止基本方針の改定」.
文部科学省 2023 いじめ防止対策推進法.