精神拮抗作用の意味
みなさん、こんにちは。公認心理師,精神保健福祉士の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向け心理学講座で講師をしています。
前回の森田療法コラム1では基本的なワードである、「あるがまま」や「目的本位」などを解説してきました。今回はもう一つの大切な概念である、「精神拮抗作用」について解説をしていきます。
精神拮抗作用とは
精神拮抗作用とは森田療法にある概念です。具体的には…
1つの事を考える
↑↓
反対の考えが浮かぶ
という心理です。
心には2面性がある
いくつか例を挙げます。
スピーチを成功させたい
↑↓
スピーチで失敗したらどうしよう
絶対に成功させたい
↑↓
失敗したらどうしよう
会話を盛り上げないと!
↑↓
盛り下がったらどうしよう
このように私たちの心は、多くの場合、ある感情が揺れ動くと別の感情を探し求めやすくなります。
バランスが大事
心は2つの心で天秤のようにバランスを取っています。もし、どちらかを押さえ込もうとすると、バランスをよくするために、不安も大きくなってしまうのです。その結果天秤の、上下運動が激しくなり、心理的に混乱しやすくなってしまうのです。
事例1:緊張したくない花子さん
就職の面接に臨む花子さんは
本番で緊張したらどうしょう・・・
と不安になりました。そしてそれを打ち消すように
緊張してもしょうがない…
緊張してもしょうがない…
緊張してもしょうがない…
緊張してもしょうがない…
と自分の中で暗示をかけ始めました。すると、どんどん緊張している自分に意識が行きます。その結果、本番になると余計にあがってしました。
Aさんのように緊張したくないからといって「緊張してもしょうがない」と強く意気込んでしまうことは、精神拮抗作用が刺激され、余計に緊張を高めて心の拮抗が崩れてしまいます。
事例2:緊張を受け入れる太郎君
これに対して、あまり緊張しない太郎君がいました。就職の面接に臨む際の太郎君も花子さんと同じく、
本番で緊張したらどうしょう・・・
と不安になりました。しかし、それを無理に打ち消そうとはせず
緊張はいやだけど、本番ではある程度緊張してしまうものだ。どちらの感情にもこだわりすぎないようにしよう
と緊張してしまう気持ちを受け入れました。そして、太郎君は、緊張にこだわることをやめ、自己紹介の練習を頭のなかで始めました。
太郎君は本番に臨むと、確かに緊張して手が震えましたが、それは自然なこととして、受け入れ、自己紹介に集中しました。終わるころには、緊張は取れていて、面接官の和やかに会話をしていました。
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監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
*出典・参考文献
・金沢実, 中島竜太郎, ロバート・キング・マートン みすず書房 1961 社会理論と社会構造
・大原健士郎1997 神経質性格、その正常と異常 森田療法の科学 講談社