アンガーマネジメント‐期待値を下げる
アンガーマネジメントコラム①では、怒りを制御するための基本的な考え方をご紹介していきました。
全体の目次は以下の通りです。
1.アンガーマネジメント入門・意味
2.怒りの段階確認法,マインドフルネス
3.相手への期待値を下げる
4.アンガーマネジメントの資格・講座・研修
今回は「期待値を下げる」について解説をしていきます。
アンガーマネジメントと期待
同じ状況でも差が出る
突然ですが質問があります。皆さんは以下のような状況でどのような感情になりますか。
友達と13時に東京駅で待ち合わせ
しかし友人は13時30分に到着!
謝罪の言葉はゼロ
このような状況では、ほとんどの方は怒りを覚えるでしょう。人によっては相手に怒鳴り散らしてしまって、人間関係が壊れてしまう方もいるかもしれません。一方で、怒りを持ちつつも、うまくコントロールをして冷静に悟せる方もいます。
なぜこのような違いが出てくるのでしょうか。アンガーマネジメント「できない人」と「できる人」の考え方の違いを比べてみましょう。
アンガーマネジメントできない人
アンガーマネジメントできない人は、相手への期待値が高いことが多いです。
(期待)
遅刻は非常識な行為だ
遅刻したら詫びるのは当然!
1分でも遅刻したらNG
↓
(現実)
相手が30分も遅刻する
↓
期待と現実の大きなギャップ
↓
なんて!ふざけないで!」と、どなるように怒る
このように自分の理想通りに動いてくれない相手を強い口調で叱ってしまいます。
アンガーマネジメントできる人
一方で、アンガーマネジメントできる人は、相手への期待値を抑えることができます。
(期待)
プライベートはゆるく付き合いたい
相手はもともと時間感覚が緩い
今回の集合時間は実は遅刻前提笑
↓
(現実)
相手が30分、遅刻する
↓
期待と現実の小さなギャップ
↓
遅刻されると心配になるな…何かあった?
と質問する
このように他人に対して過度の期待をしないようにして、冷静に相手と話し合うことができます。
期待値と怒りの関係
「相手に期待したうちの何%が結果として返ってきたか」によって、感情は下記のように変化します。
このように、期待していた結果を下回れば下回るほど、相手への不満が溜まります。期待値が高いほど相手のハードルも上がってしまうため、「期待値が高いほどイライラする結果になる可能性が高くなる」というわけです。
そのため、いつも周りに対して怒ってしまう方は、相手への期待をあらかじめ低めに設定することも大事になってきます。
怒りをコントロールするには
ここからは、期待値を下げてアンガーマネジメントする方法を解説していきます。手順としては以下の通りです。
①期待との「差」を知る
まずは、「自分の期待」と「相手の行動」にどれだけ差が開いているのかを把握していきましょう。
自分の期待 約束の時間に来る
相手の行動 10分遅れ
②期待を修正
次に、高い期待を修正していきましょう。
私も遅刻したことがある
遅刻する人は相手に対してもゆるい傾向があるので、焦らずゆったり付き合える
③怒りを眺める
最後に、怒りの変化を観察していきます。徐々に怒りが収まっていったら成功です。
怒りが少し減ったな…
不満はあるけど怒りではないな…
落ち着いてきた…
期待下げ練習①
それではここで、練習問題にチャレンジしてみましょう。以下の状況に対して、期待値を下げる練習してみてください。
コンビニに弁当を買いに行く
店員さんがだるそうに接客する
「温めでお願いします」と言う
店員さんは弁当をレンジに投げ入れる
①期待との「差」を知る
自分の期待
⇒
相手の行動
⇒
②期待を修正
③怒りを眺める
解答例
①期待とのギャップを把握する
自分の期待
⇒弁当を丁寧に扱う 明るく接客してほしい
相手の行動
⇒弁当を雑に扱う 終始やる気なさげ
②期待を修正する
仕事なのだから切り替えるべきだが、機嫌が悪い時は誰にだってある。ひょっとすると、体調が凄く悪かったのかも。接客態度はどうあれ温かいお弁当が食べられればOK!
③怒りを眺める
店員さんへの怒りが和らいできたな‥
だいぶ落ち着いてきたな…
イライラが薄れてきているな…
期待下げ練習②
それではここで、練習問題にチャレンジしてみましょう。以下の状況に対して、期待値を下げる練習してみてください。
友人と一緒に映画を観に行く
上映中に友人がスマホを触り始める
光が気になって集中できない
①期待との「差」を知る
自分の期待
⇒
相手の行動
⇒
②期待を修正
③怒りを眺める
解答例
①期待とのギャップを把握する
自分の期待
⇒ 一緒に映画を観るなら集中してほしい
スマホは触らないでほしい
相手の行動
⇒ 上映中にスマホをいじり
光で映画に集中できない
②期待を修正する
もしかすると急ぎの連絡が来たのかもしれない。自分が映画に集中しているように、友人も映画に飽きたか、別のことで頭がいっぱいかも。相手の楽しみ方を無理に合わせなくても、映画を観る時間はまだ残っているし、リラックスして観よう!
③怒りを眺める
友人へのイライラが少しおさまってきたな…
集中力を取り戻せてきたかも…
映画のストーリーにまた戻れたな…
まとめ
いつも周りに怒ってしまう、褒めるよりも叱ることが多い、と感じる方は期待値下げを試してみてください。きっと以前よりも穏やかな気持ちで人間関係を築くことができると思います♪
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、実際に学ぶことができます。内容は以下のとおりです。
・アンガーマネジメントの手法
・期待値を下げる練習
・ムカつく心理の改善,認知療法
・感情コントロール,マインドフルネス療法
講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連