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ミラクルクエスチョンの意味,効果,やり方

ミラクルクエスチョンの意味とは,効果,やり方

みなさんこんにちは。公認心理師の川島です。私はこちらの心理学講座を開催しています。ブリーフセラピーコラム①では、ブリーフセラピーの基礎を解説してきました。今回は「ミラクルクエスチョン」について解説していきます。

コラム1 ブリーフセラピーの基礎
コラム2 技法,リソース探しのコツ
コラム3 技法,ミラクルクエスチョン

ミラクルクエッション,ACイラスト,カフェラテ様

 

ミラクルクエスチョン

提唱者

ミラクルクエスチョンは、心理療法家の夫婦であるインスー・キム・バーグとスティーブ・ド・シェイザーを中心に開発されました。

両者は1978年、 ウィスコンシン州ミルウォーキーにブリーフファミリーセラピーセンター (BFTC)を設立し、短期集中療法を発展させていきました。

意味

ミラクルクエスチョンとは、非現実的な質問を投げかけ、メンタルヘルスを改善していく手法です。具体的には、次のような質問を投げかけます。

今晩あなたが眠っている間に、奇跡が起こったと想像してください。奇跡とはあなたが抱えている問題がすべて解決してしまうというものです。ただ、あなたは、眠っていたので問題が解決していることに気が付きません。明日の朝、どのような違いがあることで、奇跡が起こって問題が解決したことが分かるでしょうか(DeJong&Berg,1997)。[1]

さて・・・私はこの一文を読んだとき、いまいちピンときませんでした。なんとも抽象的で、腑に落ちなかったのです。何もせず、問題が解決するわけないじゃないか!そんな気持ちになりました。

しかし、よくよく理解を進めていくと、この一文には様々な効果が隠れているのです。

4つの効果とは

未来志向になる

私たちは問題があると過去思考になりがちで、原因探しに終始してしまいます。例えば、仕事で大きな失敗をしてしまったとしましょう。悩みやすい人は、失敗を何度も頭の中で繰り返して追体験し、とても辛くなります。

ミラクルクエスチョンは、そんな過去の失敗イメージをいったんわきに置いておいて、未来志向・解決思考へと自分の意識を変えてくれるのです。

目標の方向性が明確になる

先程の文面には

どのような違いがあることで、奇跡が起こって問題が解決したことが分かるでしょうか

という一文があります。これは

理想的な状況と現在の状況では、一体何が違うのか? 具体的に何があれば、自分は理想的な状態だと言えるのか?

言い換えることができます。このような質問をすることで、具体的な理想の自己イメージを探り、目標の方向性を明確にすることができます。

 

積極性が増す

未来への積極的なイメージは、行動力を向上させることが心理学の研究で分かっています。例えば、

私は人前で話すと失敗する…
どうせ評価されないに違いない…
頑張っても結果はでないだろう…

こういう考えがあると、失敗過敏になってしまいます。対人恐怖や回避傾向がある方によくみられる思考です。これに対して、

私は人前で楽しく話せるだろう
努力を評価してくれる人がいるはずだ
頑張ればいつかは結果が出るはずだ

このような思考は、積極的でポジティブな気持ちを呼び起こします。実際に、このような前向きな目標を立てる方は、メンタルヘルスが良いことがわかっています。

解決の糸口を見つけられる

ミラクルクエスチョンは、ありえない奇跡を設定しがちです。まずは理想的な未来を思い浮かべ、今との比較をする中で、現実的なプロセスを検討していくのです。

その過程で、極端な理想は修正されていくことも多々あります。現実的なプロセスを考えることで、実現可能性のある目標や理想にたどりつくことができるのです。

まずは奇跡をイメージして、その後は軌道修正し、手の届く範囲にある具体的な目標を見つけるのがミラクルクエスチョンを活用するコツとなります。ミラクルクエッション,効果

まとめ

ミラクルクエスチョンは、バカバカしいと感じる人もいるかもしれません。重要なのは、普段の生活をいったんわきに置いて、理想となる自分や目標の方向性を探ることです。

ミラクルクエスチョンによって、普段気が付かなかった自分の欲求に気づき、本当にやりたい事や本音に近い目標を見つけることができるのです。

自分の興味や関心がしっかり分かることは、楽しい人生には欠かせないポイントと言えます。ミラクルクエスチョンでぜひ見つけてくださいね。

今晩あなたが眠っている間に、奇跡が起こったと想像してください。奇跡とはあなたが抱えている問題がすべて解決してしまうというものです。ただ、あなたは、眠っていたので問題が解決していることに気が付きません。明日の朝、どのような違いがあることで、奇跡が起こって問題が解決したことが分かるでしょうか(DeJong&Berg,1997)。

しっかり身につけたい方へ

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・はじめて学ぶ心理療法
・リソースを探す練習
・初学者向け,認知療法の基礎
・初学者向け,マインドフルネス療法

講師に質問をしたり、仲間と相談しながら進めていくと、理解しやすくなります。🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)

コミュニケーション講座,心理療法の学習

 

監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] De Jong, P. & Berg, I.K. (1997).  Interviewing for Solutions.  Pacific Grove, CA: Brooks/Cole Publishing Company.(玉真 慎子・住谷 祐子 (監訳) (1998).  解決のための面接技法 ソリューション・フォーカスト・アプローチの手引き  金剛出版)