仲直りする方法,うまく伝えるやり方
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「仲直りする方法」です。
相談者
29歳 女性
お悩みの内容
実は2週間前ぐらいに、お互いの価値観の違いで口論になり、友人を怒らせてしまいました。それ以来、気まずい状態になっています。できれば仲直りしたいのですが、どうすれば良いでしょうか。また元の仲の良い時に戻りたいです。
価値観のすれ違いで溝ができてしまったのですね。「仲の良い時に戻りたい」という言葉から前向きな気持ちが伝わってきました。当コラムでは、仲直りするための方法を解説していきます。是非最後までご一読ください。
仲直りができないストレス
仲直りができない状態は、様々な心理的な問題につながります。以下、関連する研究を解説しました。気になる見出しを展開してみてください。
仲直りする7つのプロセス
ここからは仲直りをするために、7つのプロセスを提案させて頂きます。
①自分から仲直りする決意
②相手の価値を再認識
④ベースの関係作り
⑤話し合いの提案
⑥まずは傾聴
⑦アサーティブに話し合う
⑧仲直りして関係を深める
ご自身の状況に合わせて、参考になりそうなものを活用してみてください。
①自分から仲直りする決意
心理学の世界には返報性の原理と言う言葉があります。返報性の原理とは、自分の想いは相手からも返ってきやすいという心理です。もしあなたが、
〇〇の件は相手が悪い。相手から謝るべきだ。
私は悪くない。相手の責任だ。
今回の件は納得いかない。イライラする。
このような姿勢を持ち、あなたが相手を避けるほど、それが伝わり、防衛的になってしまい、お互いの心が閉じて行ってしまいます。
一方で、あなたが心を開き、
話し合えばわかりあえるはずだ
話し合って仲直りしよう
きっとまた仲良くなれる
と、しっかり腹を割って話し合う覚悟ができれば、返報性の原理が働き、相手も警戒が取れ、心を開いてくれやすくなります。このようにまずはあなた自身の「仲直りしたい」という気持ちを育てていくことが大切であることを押さえておきましょう。
②相手の価値を再認識
①で解説したように、仲直りをするには、自分自身の「仲直りをしたい」というそもそもの気持ちを高めていく必要があります。ここで1つ研究を紹介します。八木ら(2017)[4]は487名を対象に、仲直りについての調査を行いました。結果の一部が下図となります。
こちらは、関係の価値を認識することで、相手に対して共感しやすくなり、許す気持ちが増えていくことを意味しています。
日本には、「喧嘩をするほど仲がいい」という諺があります。今あなたが喧嘩をしているのは、価値のある関係があったからこそ、本音をぶつけ合い、喧嘩に発展してしまったのではないでしょうか。
大事なことは相手を非難する気持ちをいったん抑え、価値を感じる部分を思い出してみることです。
笑わせてくれたこと 悩みをきいてもらったこと 一緒に遊びに行ってくれた 声をかけてくれた
まずはこれらをしっかり思い出して、相手の存在の大事さを再認識するところから始めていきましょう。このように相手の価値を感じることができると、相手を許し、関係を戻したいという素直な気持ちが育っていくはずです。
相手の価値を感じる手法としては以下のコラムでより深く解説をしています。理解を深めたい方は下記のコラムを参照ください。
③ベースの関係作り
仲直りしたいという気持ちが育ってきたら、ベースの関係作りをしていきます。大切なことは毎日の小さなコミュニケーションです。例えば、職場で喧嘩した同僚同士だったら、挨拶するなど小さな触れ合いからはじめましょう。
おはよう 今日は暑いね~ 今日は涼しいね~ おつかれ
これだけで、印象はだいぶ変わるものです。相手は最初戸惑うかもしれないですし、返してくれないこともあるかもしれません。それでも続けていきいましょう。
もし、喧嘩相手とSNSでつながっていたら大チャンスです。「イイネ」ボタンを押すことも1つの方法です。まずは小さなコミュニケーションを継続する努力をしていきまましょう。
④話し合いの提案
ベースの関係作りができたら、いよいよ話し合いの提案をしていきます。ここは率直に伝えてOKです。
実は〇〇とずっと話し合いをしたいと思っていたんだ…
〇〇の件で話があるんだけどいいかな…
としっかり告げましょう。残念ながらNGな場合もありますが、ほとんどの場合はOKをもらえずはずです。
*NGが続く場合
残念ながら相手が応じてくれない可能性もあります。その場合は、時間が解決してくれることもあります。またしばらくしてから、声をかけていきましょう。
⑤まずは傾聴
話し合いの場面に入ったら、まず初めに相手の気持ちを真面目に傾聴するようにしましょう。いったん自分の考えは置いておきましょう。そうして相手の話を傾聴するなかで、
ここは納得できるな ここは同じだな
と感じる部分をしっかり見つけていきましょう。
そしてその部分はしっかりと相手に伝えます。「確かに私もそう思う。そうかあ~そんなことがあったんだね」と共感を大事にしてみてください。
共感の方法については下記のコラムに書いてあります。後程練習してみてください。
⑥アサーティブに話しあう
相手の話をしっかりと聞いた場合は、相手の気持ちは随分和らぎます。ここまでできれば70%ぐらいは仲直りしているかもしれません。
一方で、まだ価値観のズレがある場合は、あなたの価値観も伝えるようにしましょう。ここで大事なのはアサーティブな精神を持つことです。アサーティブとは
相手もOK 自分もOK
の精神をもって人と関わることを意味します。
アサーティブとは相手を尊重しつつ自身の主張も伝え、建設的な関係を築いていきます。相手の話にしっかり耳を傾けたら、今度は自分の話を主張しても良いのです。あなたが感じていることも、伝えて、建設的に話し合っていきましょう。
アサーティブコミュニケーションについては下記のコラムでしっかり記述しています。話し合いの前にぜひ参考にしてみてくださいね。
⑦仲直りして関係を深める
腹を割って話し合うことができれば、相手と今までよりももっと大きな絆で結ばれるはずです。これまでよりもお互いの本音を知っています。
喧嘩というとネガティブなイメージが強いですが、仲直りすることができれば、逆に絆を深めるきっかけにもなるのです。これからも衝突することはあれど、また話し合えば乗り越えていけると確認し合うのも良いでしょう。
7つのステップ具体例
喧嘩をしてしまった、花子さん、月子さんを例に、7つのステップの具体例を作成しました。より深く理解したい方は、参考にしてみてください。
花子さん,月子さんのいざこざ
花子さんと月子さんは大学の同級生で、とても仲が良く、入学以来仲良しです。ある日、友達の月子さんに「日曜日遊ぼう!」とラインを送りました。しかし、既読無視されてしまいました。
一方で月子さんはルーズな性格です。花子さんからのラインに返信することもできましたが、後でいいや!と先延ばしに・・・
花子さんは怒りが込み上げてきて、「無視するなんて最低!」「もう友達じゃないから」と続けてラインを送りました。
2日間無視され、日曜日の朝、月子さんからは「忙しかっただけなんだけど」「花子の方こそ最低」との返信がありました。それからというもの2人の間に気まずい空気が流れています。
花子さんと8つのステップ
1か月すると、花子さんは、このままじゃいけない…と考え7つのステップを試してみました。
STEP①:自分から仲直り
きまずい状況が長くなり、このままではずっと喧嘩が続くと考え、自分が動くしかないと花子さんは決意しました。
STEP②:価値の再認識
まずは自分の中の攻撃性を抑えるため、月子さんがいつも遊んでくれていることに感謝する。ショッピングにも付き合ってくれた。など思い出しました。そして仲直りしたいという気持ちをより大きくしました。
STEP④:ベースの関係作り
花子さんは大学で会った時に挨拶を続けました。すると、3日目ぐらいに月子さんからも挨拶してくるようになりました。5日目には少し雑談もできました。
STEP⑤:話し合いの提案
普通に雑談ができたり、月子さんからも挨拶されるようになったので、ついに「この間のlineの件で話し合いたいんだけど…」と提案しました。
STEP⑥:まずは傾聴
花子さんはまずは、月子さんの意見に耳を傾けました。すると、月子さんは、「ごめん、実はしっかり既読してたの。本当は、あの時は忙しくはなくて、返信するの後回しにしちゃったんだ…」と謝罪の言葉を口にしました。
STEP⑦:アサーティブに話し合う
花子さんも「私こそ、早とちりしすぎたと思う。既読がついて数分ぐらいで無視されたと思っちゃった…ごめんね…」と自己主張し、謝罪しました。
STEP⑧:仲直りして関係を深める
花子さんは月子さんと仲直りし、「また喧嘩しても今みたいに話し合えば大丈夫」と伝えました。現在も仲睦まじい関係が続いています。
まとめ
私たちは人間であり、誰しも完璧ではありません。時には誰かに迷惑をかけたり、かけたりをしながら成長していくものです。仲直りをするスキルは、長く人間関係を続けるために必ず必要になります。当コラムの知識が皆さんの、長く安定した人間関係に役立つことを願っています♪
おまけの動画
仲直りができるかは、最も大切なのは、「仲直りできる!」と信じることがとても大切です。私は、仲直りは、ほとんどのケースで実現すると考えています。なぜなら、心理学的な事例で、戦争をしている人同士が、仲直りをしていまったケースがあるからです。
以下の動画では、「鋼鉄のシャッター」という、有名な話をしながら、仲直りの可能性について解説をしました。良かったら参考にしてみてください。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・仲直りの意志を伝える,主張練習
・相手の意見を尊重,傾聴力トレ
・相手の感情理解,共感力トレ
・健康的な人間関係を築く力をつける
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26件のコメント
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心理学修めてるなら助け合いと名付けてコメント設置したらどうなるか分かってただろ。初めから返信でアドバイスする気が一切ないなら設置するな。撤去しろ。
価値とか横暴すぎ。そんなやつとは絶縁。
想定が全部一方的すぎる。ケンカ吹っかけたの花子なのに最初から自分から謝る気ない。「大丈夫」じゃねえよ。と思いました親友と喧嘩しました。12歳のオタク同士なのです。あるアニメのステッカーがあり、その裏には色なしの絵柄がありました。その絵柄に落書きをするのが親友は好きで、ある日私は親友にそのステッカーをあげ、そのステッカーは落書きをされたくなかったので何度もしないでと言いました。わかったと答えたはずなのにちゃんと落書きされてありました。正直は?と思いました。そのためその日の給食時まで無視しました。給食時、担任にステッカーの事を言いました。すると聞こえていたのか「捨てられるよりましでしょ!」と反論してきました。「私はちゃんと飾ってるし」といった記憶までしかないのですがと給食が終わり次第泣き始めました。友達は慰めていましたが、私は何もしていませんでした。するとともだちから私たちはいつも一緒にいたので「謝りなよ」と言われ、もうどうしようもないです。どうしたらいいか分かりせん。解決方法教えてください。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1]西野泰代(2007).学級での疎外感と教師の態度が情緒的な問題行動に及ぼす影響と自己価値の役割 発達心理学研究 18 巻 3 号 p. 216-226[2]Sackett(1999).The impact of different forms of psychological abuse on battered women. Leslie A. Saunders, Daniel G.Springer Publishing Company.[3]菅原ますみ,八木下暁子,詫摩紀子,小泉智恵,瀬地山葉矢,菅原健介,北村俊則(2002).夫婦関係と児童期の子どもの抑うつ傾向との関連 掲載教育心理学研究,50,129ー140[4]八木彩乃, Adam Smith, 大坪庸介(2017).価値ある相手を赦すのは理性的な判断か?―回想法による検討― 感情心理学研究/24 巻 Supplement 号/書誌
ずぶの素人ですが。
ステッカーに落書きするのをやめられないことに、あなたのことや、あなたとの仲の良さや、あなたにとってそのステッカーがどれだけのお気に入りだったのかや、その子がステッカーをもらってどう感じたかや、その子がステッカーをどれくらい気に入ったか、は関係しない。その子はその行為がただやめられないだけ。特別にやめるなんてことができないだけ。
約束した時には落書きしないつもりだったとしても、やめられないから絶対に書いちゃうし、それを理解せず受け入れもしない他者に責められても、その子にはやめられないのだからどうしようもない。反論は、どうしようもないからパニックになってキツイことを言っちゃったのかも。
対策は『自分がされて嫌なこと』をしそうな人に自分の大事なものを絶対にあげたりしないこと。
人との関係は修復できても、物は綺麗に戻らないから、慎重に。
謝る必要はない。双方にとって不運な事故。