笑顔の作り方とスマイル練習トレーニング法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「笑顔の作り方,スマイルトレーニング」です。
相談者
31歳 女性
お悩みの内容
私は昔から表情が乏しく、暗いと言われてきました。最近、仕事でも恋愛でも笑顔が大事だと考えるようになりました。もう少し笑顔を増やして、印象を良くしたいです!アドバイスをください。
笑顔を増やして、表情を明るくしたいと考えていらしゃるのですね。本コラムでは笑顔について心理学の視点やトレーニング法をしっかり解説していききます。目次は以下の通りです。
①笑顔の効果
②笑顔のトレーニング法
・笑顔筋トレーニング
・ウイウイ体操
・宝塚笑顔トレ
・スマトレ練習
③心を笑顔にする
④環境を笑顔にする
➄過剰な笑顔に注意
それぞれ肌に合う手法を活用ください。是非最後までご一読ください。
①笑顔の効果
まずはじめに笑顔の効果を確認していきましょう。
笑顔は印象形成の王様
梅野(2015)[1]は非言語コミュニケーションと好感の関係について、大学生230名に対して調査を行いました。その結果、笑顔は印象形成において一番大事であることが分かったのです。
女性ですと笑顔よりも髪色や洋服に人生をかけている時間が長そうですが、それと同じぐらい笑顔のあり方が印象形成に関わるのです。男性は笑顔の練習をしている方は少数派かもしれません。もしあなたが接客業などサービス業をしている場合はビジネス的に不利になっていると言えます。
睡眠の質が向上する
井奈波ら(2018)[2]は、看護師 395 名を対象に声を出して笑う頻度と、睡眠の関係について調査を行いました。その結果が以下のグラフです。
このようにほぼ毎日笑う、週1~5日笑うグループに比べて月3日以下笑うグループは睡眠障害が高いことが分かります。つまりよく笑顔になる人は、睡眠の質が高まりやすいと考えられます。
ボケ防止に役立つ
大平(2007)[3]は、2,516名を対象に、笑う頻度、生活習慣、疾病のありなしを調査しました。その結果の一部が、以下のグラフとなります。
グラフの見方としては「ほぼ毎日」を1としたときに、どれぐらいの倍率で認知機能が低下するかを意味しています。笑うことが「ほとんどなし」のグラフは2.48 倍で群を抜いて高いことが分かります。笑顔を作ることは認知症予防につながり、脳のパフォーマンスを高めてくれるのです。
ガンの予防になる
西田ら(2001)[4]はお笑い健康講座参加者27名を対象に、笑いとNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の変化について調査を行いました。NK細胞は、免疫系の一部として働くリンパ球の一種です。NK細胞は、特定の抗原を認識せずに、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を直接攻撃して破壊する能力を持っています。
その結果が以下のグラフです。
このように笑いを強く実感したグループがもっともNK細胞が活性化しており、笑いあまり実感しなかったグループがもっともNK細胞の活性が少ないことが分かります。つまり、よく笑顔になる人はがんになりにくくなる、と示唆されています。
②笑顔のトレーニング法
笑顔については様々な手法が開発されています。是非参考にしてみてください。
以下それぞれを折りたたんで解説する
③心を笑顔にする
最後に心を笑顔にするトレーニングについて考えていきます。私たちの心と表情はつながってます。そのため、笑顔を増やすには、筋肉の動きだけでなく、心も笑顔にする必要があるのです。心を笑顔にするには2つのルートがあります。
矢富ら(1996)[5]は、笑いを「内発的な笑い」「外発的な笑い」に分類をしました。内発的な笑いは、自分自身の心の中で作られた笑いで、外発的な笑いは他者によってもたらされた笑いになります。まずは自分自身で積極的に笑顔になる方法を提案いたします。
認知的評価説とは
ここで笑顔を増やす上で重要な認知評価説をおさえておきましょう。認知評価説には以下の意味があります。
物事の考え方、捉え方によって
感情は良くも悪くもなる
例えば、食器を洗っていてお皿を割ってしまったとします。この時以下のどちらの考え方に笑顔が増えそうでしょうか。
2000円もしたのに!取り返しがつかない!
あらら…やちゃった…まあ仕方ない!
新しいお皿を使うチャンスだと思って切り替えよう♪
前者よりも後者の方が笑顔が増えそうですね。このように笑顔を増やすには、前向きに考える習慣をつけていく必要があります。
リフレーミング力をつける
前向きに考える力をつける上では、リフレーミング練習がおすすめです。リフレーミングは、1つの出来事を様々な角度から前向きに捉えなおしていく手法です。例えば、何か嫌な出来事があった時に、
学びになったことはないか
成長につながる点はないか
笑いのネタにできないか
もっと深刻な状況よりはマシではないか
など様々な引き出しをもって前向きに捉えなおしていきます。前向きな考え方の引き出しを増やしたい…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
ポジティブな生き方をする
心が笑顔になるには、日々の生活が実りあるものになっている必要があります。この点、セリグマンという有名な心理学者は、ポジティブな生活をする上では以下の5つが重要であると主張しています。
ポジティブな感情が豊富 positive emotion
没頭できるものがある engagement
前向きな人間関係 positive relationship
人生に意味を見出す meaning
達成感のある生活 achievement
確かにこのような生き方ができていれば笑顔も増えそうですね。セリグマンの指標は、笑顔の土台を創る上でとても参考になると思います。ポジティブな生き方を増やしたい!と感じる方は以下のコラムを参照ください。
④環境を笑顔にする
次に、他者によってもたらされる外発的な笑いを増やす提案を致します。生活環境に笑いの要素が増えると、自然と表情もほぐれていきます。生活環境の見直しも大切にしてみてください。
よく笑うコミュニティに所属
よく笑うコミュニティに所属することは、笑顔を作るための大切なステップです。笑顔は伝染するものなので、笑顔に満ちた環境にいると自然に自分も笑顔になれます。
例えば、笑顔が絶えない友人グループや楽しい職場、趣味を共有する仲間たちと一緒に過ごすことで、ポジティブなエネルギーを受け取りやすくなります。また、笑顔の多いコミュニティはストレスを軽減し、心の健康にも良い影響を与えるため、積極的にこうした環境に身を置くことを心がけましょう。
コミュニティに所属することのメリットや具体的な例については、次のコラムで詳しく紹介しますので、ぜひご覧ください。
笑えるコンテンツに触れる
笑顔を増やすためには、日常的に笑えるコンテンツに触れることも有効です。お笑いライブやコメディ映画、ユーモア溢れる漫画や動画など、笑いを誘うものはたくさんあります。
これらのコンテンツは、ストレス解消にも役立ち、気分をリフレッシュさせてくれます。また、友人や家族と一緒に笑い合うことで、笑顔の効果は倍増します。定期的にこうしたコンテンツを楽しむ時間を設けることで、自然と笑顔の回数が増え、日常がより楽しくなります。
ネガティブなコンテンツを避ける
笑顔を増やすためには、ネガティブなコンテンツを避けることも重要です。SNSでの悪口や中傷的なコメント、事件や災害のニュースなど、否定的な情報に触れると、気分が沈み笑顔が減ってしまいます。
こうした情報から距離を置き、代わりにポジティブなコンテンツに目を向けることで、心の健康を保ちやすくなります。意識的にネガティブなコンテンツを避ける習慣をつけることで、日常生活での笑顔が自然と増え、明るい気持ちを維持することができます。
⑤過剰な笑顔に注意
最後に補足として、「感情労働」という言葉をおさえておきましょう。感情労働とは
自分の本心とは違う表情になる際に生じる心理的な負担
を意味します。笑顔のトレーニングは1つ落とし穴があって、楽しくもないのに、無理やり続けると、心に大きな負担になってしまうのです。
そのため、もし笑顔筋トレーニング、ウイウイ体操がきついと感じたら無理に続ける必要はありません。その際はリフレーミングやポジティブシンキングなど、心理面を中心にケアしていきましょう。逆に、メンタルへルスが安定している方は、トレーニングを楽してOKです♪
感情労働については以下のコラムで詳しく解説しました。気になる方は参考にしてみてください。
まとめ
笑顔と感情の関わり、トレーニング方法、笑顔と心理面のケアについて解説しました。いかがでしたか。紹介したトレーニングを組み合わせて実践してみてくださいね。
皆さんが素敵な笑顔を手に入れ、より魅力的になることを切に願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。
・笑顔の練習,好印象になる
・ウイウイ笑顔体操
・心を笑顔に,心理学の学習
・温かい人間関係を築くワーク
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1]梅野利奈(2015).好感をもたらす非言語コミュニケーションに関する研究 目白大学大学院 修了論文概要[2]井奈波良一,日置敦巳(2018).女性看護師の声を出して笑う頻度と睡眠の位相・質・量の関係 日本職業・災害医学会会誌 = Japanese journal of occupational medicine and traumatology 66 (5), 384-388, 2018-09[3]大平哲也(2007).認知症予防を目的とした笑いの効果についての実践的研究 大阪大学大学院[4]西田元彦,大西憲和 (2001).笑いとNK細胞活性の変化について 笑い学研究 8 (0), 27-33, 2001 日本笑い学会[5]矢富直美,宇良千秋,吉田圭子,中谷陽明,和気純子,野村豊子 (2007).痴呆性老人における笑いの表出.老年精神医学,7:783-791,1996
第一印象を良くするには笑顔が大切なんですね。
はなしかけづらい雰囲気を無意識に作っているかもしれません。
笑顔が認知症予防にもつながるとはビックリです。
出来るだけトレーニングを続けてみようと思いました。
「ウイウイ体操」なら続けられそうです。
適度に運動をして脳も表情もいつまでも若々しくありたいですね。