ネットで誹謗中傷する人への対策
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「誹謗中傷」です。誹謗中傷は、なぜ絶えないのでしょうか?本コラムでは、社会的な問題である誹謗中傷の心理や対策を解説していきます。
全体の目次
入門①誹謗中傷と統計
入門②加害者の心理
入門③被害者-6つの対処
入門④加害者-6つの対処
ネットでの誹謗中傷は誰しも、被害者にも加害者にもなりうる可能性を持っています。是非最後までご一読ください。
誹謗中傷と統計
誹謗中傷の仕組みや心理を理解する上で、キーポイントになる数字があります。それぞれの数字が何を表しているか?展開して理解を深めましょう。
加害者の心理
誹謗中傷の問題を根本的に解決するには、被害者の心理をしっかりと理解することが必要です。今回は4つの視点から解説していきます。気になる項目を、クリックしてみてくださいね。
被害者者向け,8つの対処法
もし誹謗中傷の被害者になってしまったらどうすれば良いのでしょうか?当コラムでは8つの対処法を提案させて頂きます。
①助けを求める
誹謗中傷に対して1人で対抗しようとすると、気持ちのやり場がなく、精神的に参ってしまいます。最悪の場合は命を落としてしまうケースもあります。特に誹謗中傷は、よってたかって中傷されていると感じやすい環境なので注意が必要です。
対策としては、気の許せる友人、家族、先生、場合によっては法律家に相談することです。心理学的にはこのような援助をソーシャルサポートと呼びます。具体的には、誹謗中傷をされていることを告げ、つらい思いをしていることを相談してみてください。きっと助けになってくれる人が現れるはずです。
1人で抱え込みやすい…相談する人がいない…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
②ごく一部の人だけ
ネット上の誹謗中傷は目立つので、あたかもすごくたくさんの人が、発言しているように見えます。しかし、大概のケースでは、悪口を言ったり、人格を否定してくる人はごく一部です。同じ人が何度も投稿することで1対多人数のように見えてしまうのです。
また何かを発信すれば、どんなにまともなことを言っていても批判をする人は必ず出てきます。あなたが正しいことをした上で批判してくる人は、よくあること!と考えて過剰に反応しないようにしましょう。
③否定されたのはわずかな部分
ネット上の自分は、自分自身のわずかな部分です。誹謗中傷があったとしても、否定されているのは、ネット上で見せているごく一部の自分です。誹謗中傷されたとしても、自分の全部を批判されたわけでなく、ネット上で見せている自分にすぎないと考えるようにしましょう。あなたの価値はあなたが一番わかっているのです。
④批判と中傷を分ける
批判と中傷を分けて考えるようにすることも大事です。批判は建設的な意見です。妥当な意見であれば、前向きに受け取って、成長する気づきに変えることも大事です。
一方で中傷は、人格批判、全否定、嘘を意味します。これらは断固として拒否する姿勢が大事です。ブロックする、強く反論する、場合によっては法律を使うなどして自分を守るようにするといいでしょう。自己主張が苦手…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
⑤反すうしない
ありもしない誹謗中傷をネット上に書き込まれると、何度も確認したり頭の中をぐるぐる巡らせてしまいがちです。このようにネガティブな出来事を何度もあたまの中で繰り返しイメージすることを「反すう」と呼びます。反すうをしてしまっていたら、以下の手順で気持ちを切り替えることが有効です。
①反すうしている自分に気がつく
②制限時間を設ける
→あと3分考えたら切り替える
→11時になったら勉強を再開する
③時間が来たら体に刺激を与える
→顔をパンパンする
→柏手をうつ
④やるべきことをはじめる
このように、誹謗中傷を頭の中で何度も繰り返さず、人生の大事なことに集中することも大切です。ネガティブな記憶を何度も思いだしてしまう方は以下のコラムを参考にしてみてください。
⑥関わらないようにする
議論が通じず、人格批判や、揚げ足取りばかりする人は、関わらないことが大事です。
コメントを無視する ブロック機能を使う 運営者へ通報する
悪質な場合は警察から忠告をしてもらう
など積極的に関係を断つようにしましょう。
⑦論理の破綻をついてみる
もしあなたに余裕があるなら、誹謗中傷をするひとのやりとりを公開したうえで、議論してみることも有効です。大概の場合、誹謗中傷している人は論理が破綻しているので、周りのメンバーから逆に批判され、次第に居心地が悪くなりいなくなってしまいます。
例えば、以下のようなやり取りが挙げられます。以下は私の実例です。
コメント
→あなたの動画で紹介している心理療法は構成が悪い。実力がない証拠だな。もっと勉強しろよカス。
私の返信
→ありがとうございます。〇〇さんはもっと、良い構成をお持ちなのですね。もしよろしければ私も研鑽を積みたいので、構成案を教えてもらえますでしょうか。
このように返すと、相手は自分のアイデアをさらすことになるので、いなくなってしまいました。相手に逆質問をして、論理的な破綻を導きだすことも1つの手になります。
⑧大切なのは現実の関係
あくまで大切なのは、ネットの世界ではなく、あなたの周りにいる顔と顔を合わせた関係です。ネットの世界で批判をされても、それはあなたのことを本質的によくわかっていない人たちです。あなたが大事にすべきはあなたのことをよく理解してくれている、家族、仲の良い友人、職場の上司、先生との関係なのです。
以下一般的な対策とは言えないですが、筆者が個人的に行っている対策です。興味がある方は参考にしてみてください。
加害者にならない!5つの予防法
私たちは感情的になることがあり、時には誹謗中傷をしたくなることがあるかもしれません。そんな時には以下の5つを思い出してください。
①礼儀をわきまえる
顔が見えないからこそしっかりと礼儀をわきまえるようにしましょう。
書き込む前にあいさつする
まずは相手の意見を認める
自分の意見を丁寧に伝える
コメントの後に謝意をのべる
など、現実の社会と同じように書き込むことを心がけましょう。ネットの裏側には、心をもった人がいることを強く意識しましょう。
②リスクを考える
ネット上に書いた情報は、記録として一生残りますし、容易に追跡できます。特に最近では、ネットでの書き込みによって、名誉棄損、威力業務妨害にあたる事例が出てきています。誹謗中傷は犯罪になりかねない!と考えながら書き込むようにしましょう。
③2重投稿は控える
批判をしたいと思った時に、別の人が先に同じ内容の批判を書き込んでいたら、それで十分と考えた方がいいでしょう。何度も同じことを書かれると、小さな批判でも大きな塊になり心が萎えてくるものです。相手に対して愛情をもって対処したいですね。
④長期的におびえることに
誹謗中傷をした後、一時的にスッキリするかもしれないですが、多くの場合は、罪悪感が残ります。誹謗中傷してしまったことに後悔をして、書き込んだ記録から足がつかないか?絶えずおびえながら暮らすことになります。軽い気持ちで誹謗中傷すると、後で大きなストレスになることを覚悟しましょう。
⑤文化の衝突に注意
世の中には、悪口に対する耐性がある人も、耐性が無い人もいます。育ってきた環境によって、さまざまな価値観や捉え方があるのです。たとえば、丁寧に生きてきた人に自分の文化を押し付けてしまったことで、誹謗中傷につながることもあります。逆に、相手の文化によっては、否定的なことを言っても笑って許してくれる可能性もあるのです。相手の文化に合わせた言葉使いを心がけましょう。
仕上げ動画
誹謗中傷する人の心理については動画でも解説しています。仕上げとしてご活用ください。
まとめ
インターネットは、便利でとても素晴らしい世界ですが、不特定多数と接するため、誹謗中傷の被害にあることも想定しなくてはなりません。そんな時は当コラムの対策をご活用ください。みなさんが、ネットと健康的に付き合い、ご自身の世界を広げていくことを願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・誹謗中傷から身を守る,助けを求める練習
・誹謗中傷の記憶をストップ,思考中断練習
・自己肯定感を回復する心理学
・健康的な人間関係の心理学の学習
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連