結婚生活がうまくいかない、うまく方法
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「結婚生活がうまくいかない」です。
相談者
32歳 結婚4年目 男性
お悩みの内容
結婚生活がうまくいかず困っています。妻はいつも機嫌が悪いので声がかけずらいです。そのため夫婦の会話はほとんどなく、1年近く妻の笑顔を見ていません。どうしたら妻とうまくいくのでしょうか。
せっかく結婚をしたのですから、新婚のころのような円満な関係になりたいですよね。そこで今回は、結婚生活がうまくいかない時の対処法を解説します。是非最後までご一読ください。
結婚生活と統計
まずは結婚後の夫婦関係に関する統計を2つ紹介します。
結婚年数と円満度
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(2015)[1]は、20~49歳の男女1,199名を対象に調査を行いました。以下のグラフは結婚年数と夫婦円満度を示したグラフです。結婚3年目くらいまでは、夫婦の円満度は高い傾向にあります。しかしその後は低くなる傾向がわかります。つまり結婚3年目以降は、夫婦の危機を迎える事もあると推測できます。
夫婦関係満足度と幸福度
佐藤(2021)[2]は、女性1,500人のデータをもとにして夫婦関係の満足度を分析しました。その結果の一部が下図となります。
つまり子どもが生まれた後、夫婦の危機が生じやすいと推測できます。このように夫婦の満足度は、結婚をして数年がピークで、その後は下がっていくリスクがあることを頭に入れておく必要があると思います。
結婚生活がうまくいかない原因
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(2015)[1]の統計では、配偶者に関する不満についても調査を行っています。その結果、上位4つは以下となりました。
スキンシップ不足
男性35%,女性20%
スキンシップ不足は、夫婦間の親密さや愛情を確認し合う機会を減少させ、心理的な距離を生み出します。触れ合いや抱擁、キスなどの行為が減ることで、相手に対する愛情や安心感が薄れ、関係が冷え込む可能性が高まります。特に男性はスキンシップ不足に強い不満を持つようです。
日ごろの感謝がない
男性23%,女性29%
日ごろの感謝の言葉が欠けると、相手の努力や存在が当たり前と感じられ、互いに不満が蓄積されます。感謝の気持ちを伝えないことで、相手の自己価値感が低下し、関係に不和が生じやすくなります。感謝の表現は、信頼と愛情を深めるために重要です。
夫婦の会話がない
男性18%,女性25%
夫婦の会話が不足すると、互いの気持ちや考えを理解する機会が減り、誤解やすれ違いが生じます。コミュニケーションが不足することで、問題が解決されず、関係が悪化する可能性があります。定期的な会話は、夫婦の絆を保つために必要です。
金銭感覚が合わない
男性18%,女性20%
金銭感覚の違いは、夫婦間の大きな摩擦を引き起こす要因となります。お金の使い方や価値観が異なると、計画や目標にズレが生じ、ストレスや不満が蓄積されます。金銭感覚の不一致は、家庭の経済的安定にも影響を与えるため、重要な問題です。
結婚生活がうまくいかない「8つの対処法」
結婚生活がうまくいかない悩みについて、8つの対処法を紹介します。
①無条件の肯定
②価値観にこだわらない
③早めに話し合う
④曖昧さも大事に
➄欠点探しモードをやめる
⑥ユーモアを大事に
⑦1日1日を大事に
⑧最後の選択肢は持つ
①無条件の肯定
無条件の肯定とは、何はともあれ肯定的に接することを意味します。具体的には、
・朝起きたら挨拶
・何はともあれ目を見てにこっとする
・意味もなくハグする
・意味もなく幸せだなあとつぶやく
などが挙げられます。無条件の肯定は、夫婦の信頼関係の源です。無条件の肯定を習慣にすると、多少喧嘩をしたり、価値観がずれたとしても、お互いなんやかんや言っても、愛し合っているという感覚になります。
無条件の肯定的なやりとりについては以下のコラムで詳しく解説しました。何気ない温かいやり取りが不足している…と感じる方は以下のコラムを参照ください。
②価値観にこだわらない
結婚の理由として「価値観が合うから」が挙げられますが、実は危険です。なぜなら価値観の一致にこだわると大きな試練と向き合うことになるからです。まず大前提として、男性と女性はそもそも生き物としてだいぶ違います。これは少年漫画と、少女漫画を見ればわかります。
男子は小さいころから、スーパーサイヤ人とか、フリーザをどう倒すか?「か~め~は~め~波」など一生懸命やっています。一方で、少女漫画では「○○君の優しいところが好き」など、非常に繊細で文学的です。男性と女性は、そもそも生きている世界観がだいぶ異なるわけです。
結婚する前は、相手に好かれようと、どうにか価値観を合わせた(フリ?)をしても、いざ結婚して、長時間一緒にいれば、男女の価値観のズレが露呈するのは当たり前です。その結果、
「家事分担で価値観が違う」
「清潔感について価値観が違う」
「金銭感覚で価値観が違う」
「コミュニケーションの大切さで価値観が違う」
となってしまうのです。これは非常にもったいないと思います。そこで前提として、異姓と結婚することは「異星人として結婚する」ぐらいの感覚を持つことをおすすめします。
「男女の価値観がズレて当たり前」
「家事分担で価値観は異なるのは当然」
「金銭感覚が一緒になるわけがない」
「コミュニケーションの重要性は違って当然」
このようなスタートから結婚生活をはじめ、そして少しずつそのギャップを埋めていければ十分と考えるようにしましょう。
③早めに話し合う
2つ目の対策でお伝えした通り、夫婦関係は異星人と結婚するぐらいのものなので、価値観や行動スタイルがずれるのが当たり前です。
この時うまくいかない夫婦は、重要なズレがあるにも関わらず話し合いをせず、お互いが我慢しあってしまい、ストレスを抱えてしまいます。一方で、うまくいく夫婦は行き違いがある時は、言葉に出してしっかり話し合うことができます。
松永ら(2008)[3]は大学生228名を対象に青年の友人関係について調査が行いました。その結果の一部が下図となります。
対人的信頼感と友人関係を比較した図です。友人関係で本音で話し合う人(本音群)は、対人的信頼感が高いことがわかります。一方で相手に無関心で話し合いを好まない人(無関心群)は、対人的信頼感が低いことが読み取れます。
この結果から、夫婦関係では意見をどんどん出し話し合うほど、お互いの信頼関係が強くなると推測できます。ぜひ「重要なズレ」は話し合うことを大事にしてみてください。なお、話し合いのスキルについては以下のコラムがおすすめです。角が立たない健康的な話し合いができるようになりたい方は参考にしてみてください。
④曖昧さも大事に
先ほどお伝えした通り「重要なズレ」はさっさと話し合うことが大事です。しかしそこまで重要じゃないことは、曖昧なまま放置しておくことも大切です。これは心理学用語で『曖昧さ耐性』といったりします。ある研究では、曖昧さ耐性がある人は何事も長続きしやすという結果も出ています。
夫婦生活において重要なことはしっかりと話し合った方がいいですが、そこまで重要ではないことは多少ズレても、放っておくというメリハリも大事にしましょう。
⑤欠点探しモードをやめる
心理学の用語の1つに『選択的知覚』があります。選択的知覚とは、様々な情報の中から、特定の情報ばかりを見つけてしまう心の癖を意味します。
結婚当初は、相手の良いところに目が行くものです。しかし結婚後、数年たつと相手の欠点ばかりを見つけてしまい、ネガティブな欠点探しモードに入ってしまう方がいます。そんなときは、手の良いところ悪いところを総合的に見るようにしましょう。
具体的には、3つ欠点を探したらいったん欠点には目をつぶって7つの長所を探すようにします。紙に書き出すことで、整理がしやすくなると思います。
⑥ユーモアを大事に
おやじギャグでもいいですし、いきなり目の前でダンスするでもOKです。パートナーを笑わせようと考えているときは、企画をしている時点で楽しい気持ちになりますし、その雰囲気は相手にもきっと伝わります。
たとえば、
雷がゴロゴロっとなっていたら
「雷はもうたくサンダー」
窓の外に雪がふっていたら
「今日は雪が綺麗でスノー」
などギャグを言ったらどや顔でパートナーを見てみてみましょう。楽しくしようとするあなたの気持ちが相手に伝わると思います。このように、自分なりの工夫で日々の楽しいコミュニケーションを増やしてみましょう。
⑦1日1日を大事に
結婚するときは「一生好きでいる」「一生添い遂げよう」といった言葉を言ってしまうものです。しかし私たち人間は、いつ、どうなるかわかりません。もしかしたら、急に自分の気持ちが覚めてしまうかもしれないですし、逆に相手の気持ちが覚めてしまうこともあるかもしれません。もっと極端に言ってしまえば、どちらかが病気になってしまって死んでしまうこともあります。
逆に言えば、今日1日はちゃんと好きなもの同士生活ができたのです。その貴重な1日に感謝をしながら1日1日を大切に結婚生活を積み重ねていくのが、大事なことなのかなと考えています。その結果、一生添い遂げることになるかもしれないですし、もしかしたらそうならないこともあるかもしれません。
未来のことを考えすぎず、今日1日を大事に過ごしていきましょう。
⑧最後の選択肢は持つ
どんなに努力をしても、相手と折り合いがつかず、辛いだけの状態になってしまうなら、前向きな選択として離婚もありうると思います。結婚は人生の一部であり、必ずしも幸せの全てを意味するものではありません。
もしも離婚を考えることが必要だと感じているのであれば、それはあなた自身の幸せと成長を大切にしている証拠です。誰もが完璧な結婚生活を送るわけではありませんし、時には別の道を選ぶことで新たな幸せを見つけることもあります。
結婚に固執せず、自分自身の価値と未来に向き合う勇気を持つことが大切です。離婚は終わりではなく、新しい始まりです。自分自身を大切にし、前向きな未来を築いていくことができます。周りのサポートを受けながら、自分の心に従い、次の一歩を踏み出してみてください。あなたの幸せを願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・夫婦の会話がはずむ♪会話の基礎練習
・旦那,妻の話を聞く,傾聴力トレ
・楽しい家庭にする,話し上手トレ
・夫婦の心が通い合う,心理学
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
*出典