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クレーム対応の基本-メールで謝罪

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クレーム対応の基本-メールで謝罪する場合③

当コラムではクレーム対応の方法について解説をしています。全体の目次は以下の通りです。

①クレーム対応の基礎,10選
②直接対応する場合
③メール対応の場合
④電話対応の場合

1回目はクレーム対応の基礎10選について解説しました。まだ読んでない方はご一読頂いてから当コラムを読むと効果的です。

今回は、メールでのクレーム対応について解説をしていきます。誠意が伝わる謝罪メールの書き方のポイントを解説しました。ご自身の状況に合わせて使えそうな部分を参考にしてみてください。

謝罪メールの心構え

まずは、謝罪メールを書く際に抑えておくべきポイントについてみていきましょう。

迅速に対応する

謝罪メールを送る場合、トラブルが発生してから、すぐに対応するようにしましょう。後回しにすることで、お客さんはぞんざいに扱われていると思い、さらにヒートアップしてしまうことがあります。

迅速な対応は、誠意を示す第一歩です。可能な限り24時間以内、遅くとも48時間以内に初期対応をすることが望ましいでしょう。状況によっては、詳細な説明の前に「現在調査中です」という一報を入れるだけでも印象が違います。

メール

わかりやすい文章

謝罪メールの文章がわかりにくいと、読む気力が薄れ、謝罪の気持ちが伝わらない可能性があります。謝罪の気持ちをメールで伝えるときは、誰にでもわかりやすい言葉で、丁寧に文章を書くようにしましょう。

専門用語や業界用語は極力避け、一般的な表現を使用しましょう。また、長文を避け、段落を適切に分けることで読みやすさを向上させます。重要なポイントは箇条書きにすると、相手に伝わりやすくなります。

誤字脱字はNG

謝罪メールでの誤字脱字は厳禁です。「メールの1つもちゃんと書けないのか」とさらに会社の信用を落とすことにもつながってしまいます。何度も読み返し、誤字脱字がないか、しっかりチェックするようにしましょう。

可能であれば、第三者に確認してもらうことをお勧めします。また、文章校正ツールを利用するのも効果的です。送信前に一度プレビューで確認し、レイアウトや改行などにも注意を払いましょう。

 

謝罪メールのメリット・デメリット

謝罪のメールのメリットとデメリットについて

メリット

迅速な対応が可能
メールは即時性が高く、問題発生後すぐに謝罪の意を伝えることができます。これにより、顧客の不満が大きくなる前に対応できる可能性が高まります。また、時間や場所の制約なく送信できるため、顧客の都合に合わせて柔軟に対応することが可能です。

記録として残る
メールでの謝罪は文書として残るため、後々の参照や確認が容易です。これは、顧客との間で生じた問題の経緯や対応内容を正確に記録することができ、将来同様の問題が発生した際の対応の指針となります。

丁寧な説明が可能
メールでは、落ち着いて考えながら文章を作成できるため、状況の説明や謝罪の言葉を丁寧に選ぶことができます。対面や電話での謝罪と比べ、より論理的で体系的な説明が可能となり、問題の原因や今後の対策などを明確に伝えられるのです。

メリットデメリット

デメリット

感情が伝わりにくい
メールはテキストベースのコミュニケーションであるため、声のトーンや表情などの非言語情報が欠如しています。そのため、謝罪の真摯さや誠意が十分に伝わらない可能性があります。特に、深刻な問題や複雑な状況では、文面だけでは誤解を招く恐れがあります。また、顧客の反応をリアルタイムで確認できないため、適切なフォローアップが難しくなる場合もあります。

即時の質問への対応が困難
メールでの謝罪は一方向的なコミュニケーションになりがちです。顧客が謝罪メールを読んだ後に生じた疑問や懸念に対して、即座に回答することが難しくなります。これにより、問題解決が遅れたり、顧客の不満が増大したりする可能性があります。

個人情報やセキュリティの問題
メールは基本的にオープンな通信手段であるため、セキュリティ面でのリスクが存在します。特に、顧客の個人情報や機密情報を含む内容を扱う場合、情報漏洩のリスクは否めません。また、誤送信や転送によって、本来見せるべきでない人に情報が流出する可能性もあります。

メールの書き方4つのポイント

メールでのクレーム対応の場合、以下の4つのコツがあります。

①件名に謝罪の旨を記載

メールの件名は「○○について謝罪」など謝罪の旨が分かるようにしましょう。パッと見て内容がわかりづらいと、気づかれない可能性があります。わかりにくいメールは、更なるクレームの種になるため注意しましょう。

具体的には、

【お詫び】○○の件について
【重要】○○に関する謝罪とご報告

などが効果的です。ただし、機密情報や個人情報を含む内容は件名に入れないよう注意が必要です。また、全角の「!」や「※」などの記号を使用すると、スパムフィルターに引っかかる可能性があるため避けましょう。

②冒頭はあいさつと謝罪

まずは挨拶をして、次に謝罪の内容を記載しましょう。前置きが長いと、読み手にストレスがかかってしまうため、すぐに結論を述べるように意識してみてください。

例えば、以下のように

「拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。この度は○○の件で多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。」

挨拶の文章のあとすぐに謝罪の言葉を述べます。謝罪の言葉は具体的で明確なものを選び、誠意を込めて表現しましょう。

③原因と解決策

そして「○○が原因でした」と述べていきます。また、再発防止につながる解決策を書いていきましょう。ポイントは、言い訳や責任転嫁しないことです。仮に相手に非がある場合でも、自分の至らない面に目を向けて謝罪していきます。

原因を説明する際は、以下のポイントを押さえるようにしましょう。

専門用語や難しい表現を避ける
相手が理解しやすい言葉で述べる

解決策については、具体的な対策と実施時期を明確に示すことで、誠意ある対応を印象付けることができます。また、今後の改善計画についても触れると、より信頼回復につながります。

④謝意を示す

最後に改めて謝罪の言葉を書き、締めは謝意や関係継続の意思を示すと丁寧な印象になります

例えば、

今後このようなことが二度と起こらぬよう、社員一同、再発防止に努めてまいります。何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。今後ともお引き立ていただけますよう、心よりお願い申し上げます。

といった文言を使用します。また、必要に応じて補償や今後の対応について言及し、相手の立場に立って誠意ある対応を示すことが大切です。最後に、関係継続の意思を示す言葉で締めくくりましょう。

メールでのクレーム対応の例

先ほど解説した4つのポイントを踏まえて、メールでのクレーム対応の例をご紹介していきます。

NG例

件名:お買い上げいただきました商品について
株式会社〇〇
〇〇 様

株式会社〇〇(自社名) カスタマーサービス担当 △△と申します。

お買い上げいただきました〇〇(商品名)に不具合についてメールさせていただきました。

ただ今原因を確認いたしましたところ、配送中に強い衝撃を受けてしまったようです。大変申し訳ございませんでした。お手数ですが、配送業者の方にお問い合わせくださいませ。

ご連絡いただきましたことへのお礼を申し上げます。今後とも、弊社製品のご愛顧を賜りますようお願いいたします。

*解説
件名に謝罪の旨が記載されていないため、誠意が伝わりません。また、メールの趣旨がわかりづらく、お客さんが謝罪メールに気づかない可能性があります。また、配送業者に丸投げしており、「自分は悪くない!」という言い訳に聞こえてしまいます。言い訳や責任転嫁は避け、問題の本質を理解し、具体的な解決策と再発防止策を提示することで、信頼回復につなげましょう

OK例

件名:商品の不具合についてのお詫び
株式会社〇〇
〇〇 様

大変お世話になっております。
株式会社〇〇(自社名) カスタマーサービス担当 △△と申します。

この度は、ご購入いただきました〇〇(商品名)に不具合がありましたこと心からお詫び申し上げます。

原因を確認いたしましたところ、梱包ミスにより安全な配送ができていないことが発覚いたしました。大変申し訳ございません。

今後はこのようなトラブルが発生しないよう、梱包ルールの改善を行ったところでございます。
〇月〇日、8時〜12時着の便にて、新しい商品を手配させていただきました。ご不便をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

この度の件につきまして、深くお詫び申し上げるとともに、ご連絡いただきましたことへのお礼を申し上げます。今後とも、弊社製品のご愛顧を賜りますようお願いいたします。

*解説
件名に「お詫び」という言葉が入っており、趣旨が分かりやすいですね。また、冒頭でもしっかりと謝罪しており誠意が伝わりやすいです。

また、原因についても、「梱包ミス」としており、自分の非を認めています。さらに、新しい商品の手配などその後の対応についても明記されており、安心感があります。原因を明確に示し、自社の責任を認めることは、謝罪の誠実さを示す上で非常に重要です。

まとめ

繰り返しになりますが、メールでのクレーム対応のコツは、「件名でお詫び→謝罪→原因→解決策→謝意」の流れが基本になります。

メールは顔や声が見えない分、文章のみで気持ちが判断されてしまいます。自分が考えてる以上に伝わりにくいので、重要なクレームに対する文章は何度も見直すようにしましょう。

このようなクレーム対応の経験を社内で共有し、組織全体のカスタマーサービス向上につなげていくことが、長期的な企業成長に寄与するでしょう。皆さんがお客様の信頼を取り戻し、健康的にビジネスを継続できるよう、応援しています。

もっと学びたい方へ

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・クレーム対応の基礎,傾聴練習
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コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連