クレーム対応の基本-電話で謝罪する場合④
当コラムではクレーム対応の方法について解説をしています。全体の目次は以下の通りです。
①クレーム対応のコツ-概観
②直接対応する場合
③メール対応の場合
④電話対応の場合
前回はクレーム対応の基礎10選について解説しました。まだ読んでない方はご一読頂いてから当コラムを読むと効果的です。
今回は、電話でのクレーム対応について解説をしていきます。お客さんの怒りに配慮する謝罪電話のコツを7つ解説しました。ご自身の状況に合わせて使えそうな部分を参考にしてみてください。
電話対応の8つのコツ
電話でのクレーム対応の場合、以下の8つのコツがあります。
①メモを用意する
電話でクレームを受ける場合は、まずは事前準備として必ずメモを取るようにしましょう。特に重要な事項を間違えるとさらに大きなクレームに発展することもあります。お客様が何に対して怒っているのかしっかり記録をします。
メモを取る際は、
日時
お客様の名前
連絡先
問題の内容
お客様の要望
などを漏れなく記録することが重要です。また、メモは後で他の担当者と情報を共有する際にも役立ちます。
可能であれば、事前に定型のメモ用紙を用意しておくと、必要な情報を漏れなく記録しやすくなります。さらに、お客様の言葉をそのまま書き留めることで、後の対応や報告の際に正確な情報を伝えることができます。
②声に抑揚を持たせる
電話口では、表情が見えないため、声のみが頼りになります。いつも以上に声の抑揚を意識して話すようにしましょう。抑揚をつけるとは、話しに強弱をつけることです。棒読みにならないように、声の高低や大小を使い分けていきましょう。
声の抑揚は、ただ話し方を変えるだけでなく、お客様の感情を理解し、共感していることを示す重要な手段です。例えば、お客様が怒っている時は落ち着いた低めの声で対応し、謝罪する際は誠意が伝わるよう丁寧な口調を心がけます。
また、重要なポイントを強調する際は、やや声を大きくしたり、ゆっくり話したりすることで、お客様の注意を引くことができます。ただし、過剰な抑揚は不自然に感じられる可能性があるので、自然な範囲内で調整することが大切です。
③ゆっくり話す
早口な人は、話を軽く受け止めている印象や、早く終わらせたいという印象を与えることがあります。場合によってはお客様がより興奮してしまうこともあります。
一方で、ゆっくり話す方は、クレームを十分受け止めている印象を持たれ、おだやかな空気になりやすくなります。クレームをもらうとつい焦ってしまいますが、早口にならないように気をつけましょう。
④傾聴が基本
お客様が怒っている場合は、とにかく傾聴することが大切です。特にお客様が興奮している場合は、いくら論理的に説明しても、「言い訳にしか聞こえない!」「誠意が感じられない!」「区ではなんとでもいえる!」と返されてしまいます。
クレーム対応をするときは、まずは冷静になって頂くことが大事なのです。そのためには、とにかく傾聴をすることに徹するようにしましょう。
傾聴する際は、お客様の話を遮らず、最後まで聞くことが重要です。また、お客様の感情を理解し、共感する言葉を使うことも効果的です。
例えば、
「そのようなご不便をおかけして、申し訳ございません」
「お客様のお気持ち、よく理解できます」
といった言葉を使うことで、お客様の感情を受け止めていることを伝えられます。傾聴の姿勢を示すことで、お客様の怒りが少しずつ和らぎ、冷静な対話が可能になっていきます。
⑤相槌の打ち方
クレーム対応での相槌は、以下を意識するようにしましょう。
「はい」「ええ」「うん」が基本
「はいはい」など連発はNG
1つ1つを深く打つ
「はい」ばかり連発していると、話を聞き流している印象を与えてしまいます。じっくり、ゆっくり、ふかく、気持ちを込めた相槌を大事にしてみてください。
詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
⑥言い換えのオウム返し
言い換えのオウム返しとは、相手の話を言い換えて返す方法です。基本的には、相手の感情を拾って言い換えていくのがポイントです。
例えば
あなたの会社の〇〇さん、すごく雑な接客をされて不快です!
とお客様が主張したら
〇〇の態度で不愉快な思いをされたのですね!
と感情を言い換えることで、共感を示すことができます。言い換えのオウム返しはクレーム対応の基本中の基本です。より詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
⑦確認のオウム返し
しっかりと傾聴し、お客様が少し落ち着いてきたら、メモを復唱して、事実を確認していくことも大事です。
お話を整理させて頂きますと、
〇〇様は、△時にご依頼をされたにも関わらず、
弊社の対応が□□でご迷惑をおかけしたのですね
という形で整理していきます。感情的にならず、メモをベースに事実を冷静に確認することも大事です。
⑧クレームが正当な場合
事実確認をしてクレームが正当な場合は、
大変失礼いたしました
幾重にもお詫び申し上げます
大変申し訳ございませんでした
ご不快な思いをさせてしまいました
という用語を使うことをお勧めします。明らかにこちら側のミスである場合、ごまかさずに素直に謝ることを意識しましょう。
電話応対クレームの例
以下、電話対応クレームのNG例とOK例を記載しました。参考にしてみてください。
NG例
お客さん
「商品が壊れているじゃないか!!」
担当者
「商品名とお客様IDを教えてくだざいますでしょうか?」
お客さん
「ダイコミュ体重計 0077だよ!!」
担当者
「お客様の商品は、配送過程で強い衝撃を受けて破損してしまったようです。お手数ですが、配送業者の連絡先をお伝えしますので、そちらに問い合わせて頂いてもよろしいでしょうか。」
お客さん
「まず謝罪だろ!!配送業者のせいにしてんじゃねぇよ!!」
*解説
NG例は謝罪をそっちのけで、事実確認をしてしまっています。すると、お客さんは自分のクレームを無視されたような気持ちなり、ますます不満を抱いてしまいます。
さらに、クレームを配送業者に丸投げしてしまっています。これは、自分は悪くない!という言い訳に取られる可能性が非常に高いです。
また、電話をたらい回しにするとお客さんにとって、ストレスになります。さらなるクレームに発展する恐れがあるため注意が必要です。
OK例
お客さん
「商品が壊れているじゃないか!!」
担当者
「左様でございましたか。大変申し訳ありませんでした。よろしければ、商品名とお客様IDを教えてくだざいますでしょうか?」
お客さん
「ダイコミュ体重計 0077だよ!!」
担当者
「ありがとうございます。ダイコミュ体重計ですね。破損していたとのことでしたが、具体的にどのような状態かお伺いできますでしょうか。」
お客さん
「まず、電源を入れてもつかない!(相槌:はい)あとは充電もできない!!(相槌:ええ)こんな対応されるとさ、こっちもイライラしてくるよ。正直。」
担当者
「そうですよね。商品が壊れているとやっぱり怒りも込み上げて来ますよね。(言い換えのオウム返し)」
お客さん
「当たり前だよ!どう対応してくれるんだよ」
担当者
「この度は大変申し訳ありませんでした。私どもの梱包方法に不備がありました。お客様の商品は配送過程で、強い衝撃を受けて破損してしまったようです。すぐに新しい商品を配送いたします。この度は、ご不快な思いさせてしまい大変申し訳ありませんでした。(謝罪の言葉)」
*解説
しっかりと、最初に謝罪をしており、お客さんのクレームを受け止めています。また、配送業者に責任を押し付けることもなく、自分の不備をしっかりと説明しています。
その後のフォローも説明しているため、お客さんも安心しやすいです。
まとめ
電話でのクレーム対応のコツは、「抑揚→ゆっくり話す→傾聴→相槌→言い換えのオウム返し」が基本になります。そして、自社に非がある場合は、言い訳せずにしっかりと謝罪をしていきましょう。
電話は表情が見えない分、声の印象や、謝罪の内容が気持ちが重要になります。普段の話し声よりも、抑揚やスピードを意識して、丁寧にクレーム対応していきましょう。
加えて、クレーム対応後のフォローアップも非常に重要です。問題解決後、お客様に再度連絡を取り、状況が改善されたかを確認することで、誠意ある対応を示すことができます。また、クレーム内容を社内で共有し、再発防止策を講じることも大切です。これにより、同様の問題を未然に防ぎ、サービスの質を向上させることができます。すぐにお客さんの信用を取り戻せるように、心より応援しています。
もっと学びたい方へ
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連