ディスカッション入門,苦手からの議論が強くなるコツ
皆さんこんにちは。現役経営者,公認心理師の川島達史です。私は現在、コミュニケーション講座の講師として活動しています。今回のテーマは「ディスカッション力UP」です。
当コラムは明日のディスカッションで困っている・・・という方向けに、ディスカッションの応急処置を用意しました。
準備① Win-Winを目指す
準備② 事前準備をする
準備③ 成功するイメージ
進行④ 基本は問題解決型で
進行⑤ YESバットの精神を大事に
進行⑥ 1分ルールを徹底する
進行⑦ 結論先行が基本
進行⑧ 主語と述語を絞る
進行⑨ 知ったかぶりをしない
進行⑩ 最後にまとめると好印象
応用編-発展的なスキル紹介
明日のディスカッションを乗り切るために頑張りましょう。
①Win-Winを目指す
まずはじめにディスカッションの基本的な姿勢を皆さんと共有したいと思います。
ディスカッション=Win-Win
ディスカッションは良い結論を導くために、協力し合って意見や情報を出し合う、ポジティブな行為です。勝った負けたではありません。ディスカッションすることで、お互いが持っている情報を組み合わせて、より良い情報を生み出すこともできるのです。
ディスカッションでは参加メンバーの意見を尊重し、参加者全員が勝つことを意識しましょう。この姿勢を持つことで、あなたのディスカッション力はグンと向上するはずです。
Win-Winを目指す!
しつこいぐらいに心の中で唱えてください。
②事前準備をする
ディスカッションのテーマに沿って事前準備をしましょう。強い根拠を集め、当日の流れをイメージすることで、自信をもってディスカッションに挑めます。一方で事前準備をしなかったり、ポイントはずれの準備だと、ディスカッションで論破されやすくなってしまいます。具体的には以下の準備をしながらイメージを固めていきましょう。
・必要な根拠を考える
・実際に強い根拠を集める
・反論の準備
私は若い頃、ディベートサークルに参加していました。ディベートでは根拠をしっかり揃えられるかで、70%ぐらい勝ち負けが決まってしまいます。ビジネスの現場でも、直感だけでは他人を説得することはできません。是非主張を裏付ける証拠を集め、自信をもって議論の場に出てください♪
「本番まで時間がない!」という場合でも、ディスカッションで良いパフォーマンスができる準備は十分可能です。資料の準備には様々なテクニックがあります。ポイントをしっかりと抑えておけば準備はかなりショートカットできます。本番で大失敗を招くことがないよう頑張りましょう!
③成功するイメージ
心理学の研究では、失敗をイメージすると実際に失敗しやすくなり、成功をイメージすると実際に成功しやすくなることが分かっています。
ディスカッションで
あがってはいけない
失言をしてはいけない
論破されてはいけない
と考えた場合には、緊張からパフォーマンスが下がってしまいます。一方で
自分なりに調べた事を提供しよう
皆で建設的に議論しよう
自分の主張を皆にブラッシュアップしてもらおう
と考えた場合には、リラックスができ本来の力を発揮しやすくなります。
ディスカッションの本番であなたらしく、前向きに発言できる気持ちを事前に育てておきましょう。「何かと先に失敗をイメージしてしまう…」と感じる方は。以下のコラムを参照ください。
④基本は問題解決型
ディスカッションには「問題解決型」「人間関係構築型」の2タイプがあります。ビジネスでは問題解決型のディスカッションが基本となりますが、2タイプをバランスよく取り入れると議論がスムーズに進みます。ここでは2つのタイプの特徴とディスカッションを上手く進めるコツを紹介します。
問題解決型‐ディスカッション
何らかの目的を達成するためのディスカッションです。例えば、会社で「売り上げが上がらないどうする?」といった問題をどのように解決するか?という視点の議論は、問題解決型ディスカッションになります。問題解決型では、アイデアを生み出す発想力、伝える力が求められます。
人間関係構築型‐ディスカッション
人間関係を築くためのディスカッションで、テーマに沿って話し合いをします。人間関係型ディスカッションでは、信頼できる人物かを議論の中で確かめている部分もあり、協調性やチームワークを見られていることもあります。そのため、相手を論破すると評価が下がることもあります。
7対3のバランス
ディスカッションを上手く進めるコツは、2つの型をバランスよく取り入れることです。目的の重要性によってディスカッションの進め方は変わりますが、どちらか一方だけで進めると議論がスムーズに進みません。例えば、問題解決型だけでは殺伐とした議論になってしまいますし、人間関係型だけでは問題解決ができません。
ディスカッションの基本スタンスとしては、
問題解決7割 人間関係3割
これぐらいのバランスで議論を進めることをおすすめします。7対3のバランスを基本として、緊急度や重要性に応じて、柔軟に変えていくとちょうどいいと思います。
⑤YESバットの精神を大事に
ディスカッションの基本は、相手の意見を受け止めることから始めます。どんな意見だとしても、まずは「YES!」で受けとめ、その後に自分の意見を主張しましょう。自分の意見やアイデアを批判されると、反論したくなるのが心情です。しかしいきなり「BUT!」から入ると議論が喧嘩腰になりやすく、印象が悪くなります。まずは「YES!」、その後「BUT!」の精神を大切にしましょう。
例えば、
なるほど〇〇という点ですぐれていますね。
ただ…△△という点では問題があると考えています。
このように反論をする場合でも、YESを先行させることが大事です。
進行⑦結論先行が基本
ディスカッションでは、最初にビシッと結論を述べた後に理由と根拠を示すようにします。聞き手は、結論を聞いてから必要な情報を確認できるため、無駄な情報を極力省きながら聞くこともできます。一方で結論を後に述べると、聞き手は話しに集中し続けなければならないため疲れてしまいます。結論を先の述べると、聞き手のストレスを最小限にすることができ、あなたの意見が伝わりやすくなります。
結論先行で述べる時は、
・結論
・結論に至る理由
・理由を支える具体例
の構成で作ります。もちろん結論の前には、論点をしっかり伝える必要はありますが、結論を述べ後に理由と具体例を述べることで、結論の説得力や信頼度を高めることができます。そして可能であれば最後に、結論を再度述べると、自分の意見を相手に深く刻み込むことができます。
⑧主語と述語を絞る
ディスカッションでは、主語と述語をできる限り絞りましょう。発言の矛盾点が生まれにくいため論破されなくなります。例えば、
女は(男性は)
A型の人は
YouTubeは
など主語が大きいと例外が多くなるのが分かりますか。例えば、女性と言っても、いろいろな方がいらっしゃいます。
住まい
年齢
既婚/独身
だけでも随分変わります。また、感情や趣味、生活スタイルもさまざまです。ディスカッションが苦手な人は、主語と述語を大きく捉える傾向があるため、矛盾が生まれやすいです。議論に強い人は、相手の発言に矛盾点を見つけ筋道を立てて指摘してきます。
そのため矛盾点が生まれない発言ができると、説得力が生まれ論破されにくくなるのです。議論する時には、主語が大きくなりすぎてないか、述語が大きくなりすぎてないかをチェックして、しっかり絞り切ってから発言しましょう。
⑨知ったかぶりをしない
ディスカッションで分からない言葉や意見がでてきたら、無理に反論するのは避けましょう。知ったかぶりをせず、素直な姿勢で発言することが大切です。分かったふりで反論したり、何も言わず放置したりすれば、評価が下がってしまう事にもなりかねません。
分からない時には
「不勉強で分からい点が多いです。〇〇さんはどう考えていますか?」
「申し訳ありません。その用語を知らないのですが、教えていただけますか?」
など、分からないなりに議論に加わることがおすすめです。上手く乗り切ることができれば、自分の誠実さのアピールにもなります。
日ごろから知識を蓄えたり、テーマに沿った事前準備をしていたとしても漏れてしまうことはあるものです。知ったかぶりは、墓穴を掘ってしまう事もあります。「自分にはまだまだ知らないことがある」という気持ちで持つようにしましょう。
⑩最後にまとめると好印象
ディスカッションの最後に、意見のまとめ役を務めると印象が良くなります。出てきた賛否両論の意見をまとめ、着地点を見つけることで、調整力や傾聴力、協調力をアピールできるからです。
意見をまとめるタイミングは、ディスカッションの課題にもよりますが、残り1分~3分くらいでいいでしょう。具体的には、ディスカッションの中で行われた内容を簡潔に1分程度で要約をして最後の決断に落とし込むことです。
のこり2分となったのでまとめに入ってよろしいでしょうか。まず今回の議論は、「モスバーガーの集客を増やすために値下げは有効か」という議論でした。この点について、有効である理由はAさんやBさんの意見の通り、〇〇という理由が挙げられそうです。有効でない理由としては、CさんやDさんのように、△△という理由が挙げられそうです。そのうえで、最終決断をしたいと思うのですが皆さんいかがでしょうか。
このようにチームで結論を求められる場合は、最終決断を促すようにしましょう。特に求められていない場合はただ要約をするだけでもOKです。主体的に意見をまとめられる力はビジネスでPRできる能力のひとつです。可能であれば積極的に担当してみてください。
お知らせ・発展編
ここからは「お知らせ」と「発展編」になります。
もっと学びたい方へ
当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、現役経営者、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。
・ディスカッショントレーニング
・論理の基礎と実践練習
・魅力的に話す,プレゼン練習
・ビジネスコミュ力UP練習
体験受講に興味がある方は下記のリンクからお待ちしています。筆者も講師をしています(^^)
論理力の基礎
ディスカッションでの発言の中には「結局何を言いたいのだろう?」とわからなくなることはありませんか。何を言いたいのかわからない…という問題のほとんどが、論理力の欠如からもたされます。
論理とは、シンプルに言うと、結論+根拠の2点セットです。この2つのことを意識するだけでも、かなりディスカッション力が改善されます。考えをまとめるのが苦手だ…という方は、下記のコラムを参照ください。
ディスカッションの準備の仕方
ディスカッション力は、事前準備をすることでさらにUPします。事前準備がしっかりできていないと、自信がなく不安な状態のままディスカッションに参加することになるので、発言を控えてしまいがちです。
また、緊張も強くなり、平常心で参加できなくなる場合もあります。準備をする余裕がまだある!という方は下記を参照ください。
説得力を向上させる方法
より上級のディスカッションスキルを学びたい方は説得理論を学ぶことをオススメします。フットインザドア法、両面提示法などを学習するとより説得力を向上させることができます。下記のコラムを参照ください。
あがり症への対策
ディスカッションをする前は緊張するものです。肩に力が入りやすい、頭が真っ白になりやすい…という方は下記のコラムを参照ください。
2件のコメント
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「命題」の意味、間違えてますね。
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
こんにちは