論理的思考を鍛える,トレーニング
みなさんこんにちは。現役経営者の川島達史と申します。私は現在、こちらの初学者向けコミュニケーション講座の講師をしています。今回は「論理的思考入門」がテーマです。ビジネスにおいては、論理的に話す力が大事です。論理がない方は、他人を説得することができず、ビジネスで大きなハンデを背負うことになります。
そこで、当コラムでは、経営者の視点から、ビジネスで必要となる論理的思考のポイントを8つ解説していきます。
①論理とは何かをおさえる
②ビジネスは結論先行で
③根拠は数字で示す
④根拠を強くしよう
⑤根拠を組み合わせてみよう
⑥論理的思考の基礎「MECE」
⑦ラベリングを使おう
⑧骨子を意識しよう
⑨反論を意識しよう
⑩1分ルールを徹底しよう
一通り読むと論理的思考の鍛え方・トレーニング法を知ることができます。是非最後までご一読ください。
論理的思考を鍛える10のポイント
①論理とは何か
まず初めに「論理」の基本構造として以下の公式をおさえましょう。
論理=結論+根拠
論理はこの2つにより成り立ちます。
結論は、最終的な判断、主張を意味します。根拠は、結論を裏づけるための情報です。論理は厳密に言うと、帰納法や演繹法などがあるのですが、複雑になってしまいますし、ビジネスシーンでいちいち考える必要はありません。シンプルに結論+根拠と覚えておけば充分です。
②ビジネスは結論先行で
ビジネスでは限られた時間の中で、効率よくディスカッションをしていく必要があります。そのため、「結論先行」を原則にしましょう。特に時間が限られている優秀な人ほど、結論を先に言う人を評価します。結論までダラダラ時間をかけて説明する人は損をしますので気をつけましょう。
ここで具体例を見てみましょう。
*質問
「今後需要が確実に増える職種は?」
*結論
医療関係です。
*根拠
これから日本は超高齢化社会を迎え、身体の問題を抱える人が爆発的に増えていきます。ピークは2042年と言われていて、38%が高齢者になることがわかっています。その意味で需要が確実に増える職種と考えています。
以下に初学者向けの簡単な問題を折りたたんで記載しました。ぜひチャレンジしてみてください。
③根拠に数字を入れる
結論を先行して話すことが習慣になったら、根拠を強くすることを意識しましょう。例えば、根拠には数字を入れるようにします。具体的な情報を数字で示すことで信頼性が増します。例えば、以下のようなやり方が挙げられます。
*質問
大阪と東京間でコスパのよい交通手段はありますか?
*結論
高速バスがおススメです。
*根拠
高速バスの乗車料金は最安値で5,000円です。新幹線の15,000円と比較して非常に安いです。また市内に停留所が3カ所あり、移動先に近いところで降りれるのもコストを削減できる理由になります。
このように数字を盛り込み、結論をしっかりと支えましょう。以下、練習問題を折りたたんで記載しましたので、ぜひチャレンジしてみてください。
④根拠を強くしよう
論理を強くするには、質の高い根拠が必要です。当コラムでは、根拠の強さをレベルを1級から4級まででまとめました。まずは1級から探して、見つからない場合には、2級、3級、4級と下のレベルのソースを活用していきます。
・・1級・・
国の大規模調査 世界統計 権威ある学会の論文 公的な機関のデータ
・・2級・・
民間のマーケティングデータ 結果を出している経営者の発言 権威ある学者の発言の引用 新聞のデータ 学術書
・・3級・・
紀要論文 母集団が少ない統計 一般書籍 ビジネス雑誌 ネットアンケート 上司や社長の発言
・・4級・・
自分の主観 友人の発言 身近なエピソードなど ネットの噂話 テレビ
これらの中から使えそうなものを集めていきましょう。
⑤根拠を組み合わせてみよう
根拠は、伝える相手や状況によっては複数組み合わせるのもOKです。例えば1級のデータは、数字が苦手な人にはわかりづらいときもあります。その場合は、1級+4級など、相手に伝わりやすい根拠を作るようにしましょう。
例えば「適切な睡眠時間は?」という問いに対しては、下記のように解答すると良いでしょう。
*結論
7時間です。
*メインの根拠(1級)
厚生労働省の睡眠障害対処12の指針によると、適切な睡眠時間の目安は7時間とされています。
*追加の根拠(4級)
私の経験になりますが、身体をしっかり動かした時でも、7時間くらいあえば疲れが取れます。会社の健康アンケートでも同じように答えた人が多かったです。
このように相手の性格や理解度に合わせて、根拠を組み合わせると伝わりやすくなります。
⑥MECEを意識する
論理的に話すには、「MECE(ミッシー)」を意識するようにしましょう。MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、意味は以下になります。
*お互いにダブりなく、全体に漏れがない状態
Mutually(お互いに)
Exclusive(ダブりなく)
Collectively(全体に)
Exhaustive(漏れがない)
たとえば、「ビジネス英語学習 3つの魅力」という論題で考えてみましょう。
分類①
1.色々な人と話せる
2.ビジネスに役立つ
3.視野が広がる
この分類はNGです。なぜなら「1.色々な人と話せる」「3.視野が広がる」にダブりがあるからです。また「2.ビジネスに役立つ」は範囲が広すぎて説明になっていません。
分類②
1.世界を相手に仕事ができる
2.情報の収集範囲が増える
3.日本市場衰退からのリスク回避
この分類はOKです。ダブりもないですし、根拠の抽象度もそこまで大きくありません。MECEの視点を持ち、重要な要素を漏れなく、ダブりなく整理していきましょう。
⑦ラベリングを使おう
情報をわかりやすく伝えるには、小見出しを意識することがとても大切です。小見出しがあることで、論点が明確になり話題全体が伝わりやすくなります。以下は、小見出しを作るポイントです。
キャッチーな内容にする
15文字以内で作る
文字数をそろえる
例えば、以下のような主張があったとしましょう。
私はビジネス英語学習は、市場を世界に拡大させることができると考えています。日本は少子化でこれから市場がどんどん小さくなってしまうので、これは大きなメリットです。また情報の収集範囲が増えますし、海外の商品を日本で販売できるという点も大きいです。売れそうな商品を探して最新のビジネスを展開することもできます。
このように主張すると、論点が整理されておらず、頭に入りにくくなります。そこで以下のように小見出しをつけながら主張していきます。
私はビジネス英語学習は必須と考えています。
理由の筆頭は「世界を相手に仕事ができる」です。
自社の製品を世界に向けて販売できることはもちろん、海外の商品を日本で販売できるという点も大きいです。売れそうな商品を探して最新のビジネスを展開することもできます。
また「情報収集範囲が増える」という点も大事です。
ビジネス英語が分かると、海外のビジネス系のコラムニスト、経営者のフォローができます。そこでの最新の情報を追いかけることができます。
さらには「日本市場衰退からのリスク回避」も挙げられます。
日本は少子化でこれから市場がどんどん小さくなってしまうので、市場を分散させておくと、会社が存続しやすくなります。
このように小見出しを意識して話すと自分も相手も理解しやすいというメリットがあります。
⑧骨子を意識しよう
ロジックツリーとは木のように枝分かれしながら、物事の目的や原因、解決策を導き出すフレームワークです。例えば、「運動することでお金が稼げる」についてロジックツリーを使って分析すると以下のようになります。
このようにある事柄について様々な切り口から枝分かれし、それぞれの要素を導き出す手法になります。特にMECEなどもれなくダブりなく、主張したい時にはロジックツリーで分類すると上手く行きやすいでしょう。
⑨反論を意識しよう
自分の主張を強化するためには、「反論」という武器を積極的に活用すべきです。なぜなら、反論を想定し準備することは、自分の論理をより堅固にする絶好の機会となるからです。
例えば、ビジネスプランを提案する際、「市場が小さすぎる」という反論を予測することで、
確かに現状の市場規模は限定的ですが、政府の〇〇という統計によると、今後5年間で年率20%の成長が見込まれます
といった具体的な数値を含む反証を準備できます。これにより、議論の説得力が格段に向上します。
また、反論を考えることは、自分の論理の弱点を発見するセルフチェックの役割も果たします。「なぜそうなるのか」「本当にそうだと言えるのか」と自問自答することで、論理の穴を事前に埋められます。さらに、想定外の反論を受けた際も、準備した反論パターンを応用することで、柔軟な対応が可能になります。
このように、反論は敵ではなく、むしろ自分の主張を鍛え上げるための良きスパーリングパートナーといえるでしょう。
⑩1分ルールを徹底しよう
最後に心がけてほしいことがあります。それは本格的なプレゼン以外は、1論点1分以内に抑えることを徹底することです。なぜなら、ビジネスは時間との戦いで、長い話は仕事ができる人ほど嫌うからです。
隙なく完璧に話そうとするとどうしても時間がかかってしまいます。重要な部分以外は思い切って捨てる勇気も必要です。簡潔に、切れ味よく話すように心がけましょう。
まとめ
今回は論理的思考の初学者向けに、重要な部分を凝縮して解説してきました。苦手な部分がある項目を重点的に練習してみてください。
論理的思考は、広告・連絡・相談、プレゼンテーション、会議での発言、などビジネスシーンのあらゆるタイミングで必要な力です。逆に言えば、論理的に話せるようになると、ビジネス上の悩みを幅広く解決することができます。
皆さんが、論理明快に主張する力をつけ、ビジネスの現場で活き活きと活躍されることを願っています♪
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、現役経営者、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・論理的に話す,実践練習
・ロジカルシンキング,トレーニング
・説得理論の基礎,プレゼン練習
・ビジネスコミュ力UP,トレーニング
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コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
仕事のできる人の話し方 (講談社+α新書) 新書 – 2007/3/21 工藤 アリサ (著)