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やりたいことがない,見つけ方

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やりたいことがない,仕事の見つけ方​

皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している現役経営者、公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「やりたいことがない」です。

自分と向き合う

相談者
27歳 男性

お悩みの内容
私は現在、就職4年目の会社員です。実は会社の業績が悪く、お給料がずっと下がり続けています。この機会に転職を考えているのですが、ふと我に返ると、自分にはやりたいことがないことに気がつきました。次に勤める会社は長く働くことになるので、後悔したくありません。やりたいことの見つけ方を知りたいです。

転職をきっかけに、自分の価値観を見つめなおしたいのですね。当コラムでは、現役経営者と心理師としての立場から、やりたいことの見つけ方を8つ提案します。

①日記をつける
②ライフチャート法で価値観の発見
③ストレングスを見つける
④価値観を活かせる仕事をピックアップ
⑤コンプレックスをヒントにする
⑥低次の欲求を満たす
⑦とりあえず行動するのもあり
⑧フロー状態を持続させる

ご自身に合いそうなものを組み合わせて、ご活用ください。

やりたいことの8つの見つけ方

①日記で自分を客観視する

やりたいことを見つけるには、自分と向き合う機会を作っていくことがおすすめです。具体的なやり方としては、日記かブログのどちからかを用意して、自分がどうしたいのか?どうありたいのか?どのようなことに喜びを感じるのか?をしっかりと書いてきます。表紙に「やりたいこと見つける日記」「やりたいことみつけるブログ」などの枕詞をつけるといいでしょう。

日記やブログを書くと、考えていることが記録として蓄積され、同じことをぐるぐる考えず、次に進めることができるというメリットがあります。また日記やブログを書く習慣をつけると、自分と向き合うルーティーンができるので、やりたいことを見つけるための基礎的な環境が作られます。

これから様々なワークを紹介しますが、そのワークを進めるたびに、気がついたこと、感じたことを書いていきましょう。

やりたいこと,日記

②ライフチャート法で価値観の発見

やりたいことを見つけたい時におすすめなのが、過去の自分の生き方の傾向から探っていくライフチャート法が挙げられます。ライフチャート法では以下のように、縦軸に充実感を+100~-100%で記載し、横軸に年齢を取ります。そして自分なりに線を引いていきます。

 

自分の軸を決めよう


ライフチャートが完成したら、自分がどのようなことに喜びを感じ、どのように乗り越え、これからどうすれば良いかが、見えてくることがあります。心理学の研究では特に苦しい時期ほど、大事な価値観が見えてくるとも言われています。例えば以下のような価値観が見えてくるかもしれません。

飲食のアルバイトが楽しかった
→人と接する仕事が向いているかも

保健の先生が優しくてあこがれた
→人を助けると自分もうれしい

プラモデルを作っている時が幸せ
→目に見えるものつくりが好き

このように自分が大切にしている価値観が見つかると、その後の仕事選びをする際の基準として活用しやすくなります。ライフチャートを詳しく試してみたい方は以下のコラムを参照ください。

ライフチャート法の詳しいやり方

③ストレングスを見つける

ストレングスはざっくりと「強み」という意味があります。自分にどんな資質や強みがあるのかを見極め、そのストレングスを活かしながら生活をしていくことが、幸福な人生につながるとされています。

ストレングスは心理学の分野では、研究が進んでおり、探す手段も多くあります。その中でも、マーティン・セリグマンによって作成された「VIA-IS」が有名です。

「VIA-IS」ではVIA-ISは、200以上の哲学・経典から抽出した、6分野24の指標が考えられています。この中から5つのストレングスを発見して、活かしながら生活をしてくことが推奨されています。より深く知りたい方は、下記をクリックして展開してみてください。

VIA-ISとストレングスの種類

セリグマン(2004)[1]は、ストレングスを測定する「VIA-IS(Values In Action Invent  Of Strengths)」というツールを開発しました。VIA-ISは、200以上の哲学・経典から抽出した、6分野24の指標です。

ストレングス 分類

この表をおさえ、ストレングスを把握する際の参考にしましょう。ストレングスについて理解を深めたい方は、以下のコラムをご参照ください。

ストレングスの探し方

④価値観を活かせる仕事をピックアップ

②~③で自分の強みや価値観を発見したら、以下のように活かせる仕事を考えていましょう。

・美しさやデザインを大切にしたい
花屋‐様々な花を使ったアレンジメントやブーケを作成。
インテリアショップ‐インテリアデザインの提案や商品販売。
化粧品販売員‐美容製品の提案やメイクアップのアドバイス。

人とのつながりを重視する人
カウンセラー-心のケアを提供し、他者のサポートを行う。
イベントプランナー-人々をつなぐイベントを企画・運営。
営業職-顧客との関係構築やニーズを理解する仕事。

・知識を重視する人
教師-知識を提供し、学生の成長をサポート。
トレーナー-ビジネスやフィットネスの指導を通じて他者を成長させる。
ライター-情報を発信し、人々の学びを促進する。

・社会貢献を大切にする人
非営利団体の職員-社会問題の解決に向けた活動。
環境保護団体-環境に関する教育や啓発活動。
福祉関連職-高齢者や障がい者の支援を行う。

・健康やウェルネスを重視する人
フィットネスインストラクター- 健康維持のためのトレーニング指導。
栄養士-健康的な食事の提案や指導。
メディカルスタッフ-医療の現場での患者ケア。

・創造性を重視する人
アーティスト-絵画や彫刻などの作品を制作。
グラフィックデザイナー-視覚的なデザインを通じてメッセージを伝える。
ライター-小説やコンテンツの創作を行う。

・冒険や挑戦を重視する人
アウトドアガイド-自然の中での冒険を提供する。
旅行プランナー-ユニークな旅行体験を提案。
冒険スポーツインストラクター-スカイダイビングやロッククライミングの指導。

・科学や技術を重視する人
研究者-新しい発見を追求する科学研究に従事。
エンジニア-技術的な問題を解決する製品やシステムを設計。
データサイエンティスト-データ解析を通じて意思決定をサポート。

・文化や伝統を重視する人
文化財保護職-文化遺産の保護・管理を行う。
博物館の学芸員-展示物の企画や教育プログラムの運営。
観光ガイド-地元の文化や歴史を訪問者に伝える。

・チームワークや協力を重視する人
プロジェクトマネージャー-チームをまとめてプロジェクトを推進。
人事担当者-組織の人材育成やチームビルディングに関与。
スポーツコーチ-チームを指導し、協力を促進。

・責任感や信頼性を重視する人
会計士-クライアントの財務を管理し、信頼される存在となる。
法律事務所のパラリーガル-法律関連の業務を支える信頼できる役割。
プロジェクトコーディネーター-期限内に責任を持ってタスクを管理。

これらの価値観と職業の組み合わせを参考に、自分に合った仕事を見つける手助けになれば幸いです。大切にしていることを仕事に活かすことで、より満足感のあるキャリアを築けるでしょう。

⑤コンプレックスをヒントにする

やりたいことは、強みだけでなく、自分のコンプレックスから見つかることもあります。心理学者のアドラーは身体的なコンプレックスを「器官劣等性」と名付けました。そして、器官劣等性をエネルギー源とし、活躍していている状態を「心理的補償」と呼びました。

例えば、「同僚は自分よりも営業成績が優れている」など、他者と比較して自分が劣っていると感じたときに劣等感を感じます。そのような劣等感を感じたときに、

自分の営業スキルは生まれつきの才能だから一生成績は上がらない・・・

と考えると、コンプレックスをやりたいことに結びつけることが困難になります。一方で、

営業スキルは経験で磨ける!その代わり顧客との信頼関係構築に力を入れよう

と考えると、コンプレックスを自分のやりたいことに結びつけることができます。このように少し視点を変えるだけで、コンプレックスはやりたいことを見つける手がかりになるのです。劣等感を力に変える方法を深く学びたい方は以下のコラムをご参照ください。

アドラー心理学を詳しく学ぶ

⑥低次の欲求を満たす

やりたいことが見つからない方の中には、まずはその前提となる土台を固める必要があります。ここでマズローの欲求5段階仮説を学んでおきましょう。

マズローの欲求5段解説によれば、人間の欲求は5つのステップで構成されており、欲求が満たされると、より次の階層の欲求が表れるとされています。以下の図をご覧ください。

マズローの欲求5段階説とは

自己実現欲求は、ピラミッドのもっとも上に位置しています。やりたいことが見つからない理由としては、そもそも安全欲求・所属欲求の部分がうまく満たされておらず、心の準備ができていない可能性があるのです。

大事なことは、まずは焦らず低次の欲求から満たしていくことです。そうすれば、心がやりたいことを自然と発見する準備をし始めるのです。マズローの欲求5段解説についてより深く知りたい方は下記をご覧ください。

マズローの欲求5段階説の意味

⑦とりあえず行動するのもあり

基本的に全く知らない活動をやりたいと思うことはできません。例えば、あなたは「ブロックチェーン」という言葉を聞いてどう感じるでしょうか。ITに強い方はビビッと来るかもしれませんが、全く知らない人はあまり興味を持てないと思います。

このように前提として経験や知識がないと、やりたいことが見つからない状態になってしまうのです。以下の図は「理解度」と「興味」の関係を図に表したものです。

理解度ゼロのときは、何も知らないため、興味が現れにくいです。一方で、理解度が60%の時に、もっとも興味が高くなっていることがわかります。

つまり、やりたいことがわからない時は、どんどん経験や知識を増やして、視野を広げていくことが大切です。未知に触れる時はどうしても抵抗があるものですが、少しでも経験してみることをお勧めします。

こうした新しいことに挑戦する癖をつけることで、思わぬ興味が開けてきたりするものです。

 

やりたいことが見つからないを解消

⑧フロー状態を持続させる

やりたいことが見つかっても「継続力」がないと、また自分を見失う可能性が高まります。興味がある仕事に出会っても、すぐに飽きてしまうため、そこから関心が発展しないのです。

やりたいことを一定時間続けるには、フロー状態を意識することが大切です。フロー状態とは、時間や自分を忘れて物事に没頭している状態です。やりたいことが続かない場合は主に2つの原因があります。

・目標が高すぎて圧倒される
・目標が低すぎて刺激がない

例えば、目標が高すぎる場合、以下の図の矢印のようになります。

やる気と目標

目標が高すぎると、挫折や地震喪失となり、苦しい状態が続いてしまいます。また、目標が低すぎる場合は、以下の図の矢印のようになります。

やりたいこと フロー

このように、難易度が低すぎても、作業が単調になってしまい、虚しい気持ちが湧いてきてしまいます。興味のあることが見つかったら、レベルに見合った目標設定することが大切です。

課題の難易度と自分の能力が釣り合っている時は、フロー状態に入りやすいと言われています。フロー心理学について詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

フロー心理学の意味とは?

まとめ

やりたいことを見つけることは、人生で非常に重要なテーマだと思います。私自身は、24歳まで自分が何をしたいのか全く分かっていませんでした。

しかし、人生を振り返りよく洞察したとき、ようやく自分の進むべき道が見つかりました。自分のやりたいことを見つけた後はとても人生がすっきりしたように感じています。

純粋に自分が幸せに感じる体験を大切に生きていけば、周囲に左右されず、自分の価値観で生きていくことができると思います。ぜひ、自分の生き方を見つけてみてください。

しっかり身につけたい方へ

当コラムの内容をしっかり身につけたい方は、現役経営者、公認心理師による講座をおすすめします。内容は以下のとおりです。

・ライフチャート法で自分と向き合う
・ストレングスの発見,長所をみつける
・やる気を引き出す,フロー心理学の学習
・ビジネスコミュ力UP,トレーニング

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

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1件のコメント

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    • 裏目
    • 2024年6月26日 2:49 AM

    今、気になる求人を見つけて自己アピールをかく欄でつんでいます。こんなところでもアドバイスをくれたりしますか?

    返信する

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


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元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

*出典・引用文献
[1]Peterson, C., & Seligman, M. E. (2004).Character strengths and virtues: A handbook and classification. UK.: Oxford University