後悔しない生き方・人生・考え方
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「後悔しない生き方・人生」についてご相談を頂きました。
相談者
31歳女性
お悩みの内容
私は昔から優柔不断で、やりたいと思うことがあっても、勇気が出ずにチャレンジできませんでした。恋愛では好きな人ができても一度も告白したことがないですし、仕事もなんとなく就職してしまいました。
これからの人生は後悔しないようにしたいと考えています。そのためにできることを教えてほしいです。
本当はやりたいことがあっても、勇気がなくて実行できないと、後悔してしまいますよね。今回は後悔しない生き方への対策を提案させて頂きます。ご自身に合いそうなもを日々の生活の中に取り入れてみてください。
後悔と2種類
まずはじめに、後悔の性質を理解するところから進めていきましょう。心理学的に、後悔は2つに分けられます。
ポジティブ行動をしなかった
1つ目は「ポジティブ行動をしなかった後悔」です。
親孝行をしなかった
告白しておけばよかった
第一志望を受験すべきだった
病院に早めに行けばよかった
これらがポジティブ行動をしなかった後悔です。ポジティブな行動をしないと、後悔は長期的に残りやすいことが分かっています。
以下、具体例と研究を折りたたんで掲載しました。興味がある見出しがあったら展開してみてください。
ネガティブな行動をしてしまった
もう1つの後悔は、ネガティブな行動をしてしまったときの後悔です。
暴飲暴食をしてしまった
ギャンブルでお金を無駄にした
好きでもない人と付き合ってしまった
中途半端な気持ちで決断した
これらはネガティブ後悔にあたります。
ネガティブな行動をしたときも、人は後悔しやすいことが分かっています。以下に、具体例と研究を折りたたんで掲載しました。興味のあるタイトルがありましたらクリックしてみてください。
2つの方針
このように後悔には2つの種類があります。後悔しない生き方のためには、
*ポジティブな行動を増やす
親孝行をする、チャレンジをする、感謝や好意を伝える、好きになった人には告白する
*ネガティブな行動を減らす
暴言を吐かない、散財しない、人を傷つけない、人をだまさない
これらを意識するようにしましょう。
ポジティブな行動を増やす
まずはポジティブな行動を増やすコツをお伝えします。具体的には
・ポジティブな予期的後悔
・スモールステップ法
・うまく行くイメージ法
・損得見積-実行法
・えいや!で行動法
の5つをお伝えします。
ポジティブな予期的後悔
道家(2009)[4]らは、後悔する未来を予測することで、今の行動が変わってくることを「予期的後悔(prospective)」と定義しました。後悔は通常、過去の行動に対してするものです。
一方で、私たちは将来の後悔をイメージすることもできるので、「将来後悔しないように、今ポジティブな行動をしよう」というモチベーションに変えることができます。例えば以下のような事例が挙げられます。
体が健康なうちに、登山をしないと、老後に後悔する
今告白しないと卒業後、後悔することになるだろう
今資格の勉強にチャレンジしないと、将来後悔するだろう
まずは、未来を想像し、今ポジティブな行動をしないと、どんな後悔が生まれそうかをイメージしましょう。予期的後悔については下記でも詳しく解説しました。
スモールステップで行動
前向きな行動を躊躇してしまう方は、最初から大きな目標を立てすぎてしまうことがあります。
例えば、好きな女性と付き合いたいと感じていた時に、いきなり告白する!と考えると、なんやかんや先延ばしにしてしまいそうです。そこで
まずは3日に1回ラインをしてみる
返信が好意的だったら1日1回にする
好意的だったら喫茶店に誘ってみる
という形で小さなステップで進めていきます。
行動できない方は、とにかくスモールステップにして、1つ1つ進めていくことが効果的です。詳しくは下記のコラムの中段にある「不安階層表の作り方」を参照ください。
うまく行く!イメージ法
行動力が不足している方の中には失敗イメージを先行させてしまう方がいます。もちろん何かチャレンジするときは、失敗する未来がどうしても頭に思い浮かんでしまうものです。
ここで大事なことは、意識的にうまくいくイメージを先行させることです。
行動してうまく行っているイメージ
行動して結果を出しているイメージ
例え失敗しても、すっきりしているイメージ
これらも合わせて想像するようにしましょう。失敗を想像してしまう…という方は、下記のコラムを参考にしてみてください。
損得見積-実行法
ポジティブな行動ができない方は、あれやこれやと考えすぎて、決断を先延ばしする傾向があります。その結果、本当はやるべきだった…と後になって後悔していまうのです。
なんとなく先延ばしする癖を辞め行動力をつけるには、ややドライに「損得計算」をしてみることが大事です。
メリット、デメリット可視化して、メリットがあることが分かれば行動するモチベーションが湧いてきます。なかなか行動できない…と感じる方は、行動した方が得だ!ということを可視化していきましょう。
詳しくは下記コラムを参考にしてみてください。
えいや!で行動
心理学の世界には「恐怖突入」という考え方があります。恐怖突入とは、怖いという感情があったとしても、やるべきはちゃんとチャレンジすべし!という考え方を意味します。
例えば、好きな人ができたとします。告白をしようかと迷うと
フラれたらどうしよう
迷惑をかけたらどうしよう
と恐怖心が出てきます。この時、恐怖心があるから告白しない…と、行動を制限していたら、いつまでも前向きな行動をすることができないのです。
恐怖突入とは、恐怖の対象に「えいや!」と飛び込むことを推奨する考えです。ストイックな方法ですが、実際に行動をしてみると、意外とどうということがないことも多々あります。
実は相手も自分を好きだった…なんてことがあったら、ものすごくもったいないですよね。
恐怖突入については下記の森田療法のコラムで詳しく解説してあります。怖くなると行動できない…という感覚がある方は参考にしてみてください。
ネガティブな行動を減らす
次にネガティブな行動を減らすコツをお伝えします。具体的には
・ネガティブな予期的後悔
・心に余裕を持つ
・アンガーマネジメント
・メタ認知力で冷静に行動
の4つをお伝えします。
ネガティブな予期後悔
「予期的後悔(prospective)」はネガティブな行動を減らすためにも有効です。すなわち今ネガティブな行動をすると、将来後悔するとイメージすることが大事になります。
例えば以下のような事例が挙げられます。
今日暴飲暴食をすると、後で絶対後悔する
今相手に怒鳴ると、後でフォローが大変になる
今散財すると、老後に貧乏な暮らしになる
今ネガティブな行動をすると、将来どんな後悔が生まれそうかをイメージするようにしましょう。
心に余裕を持つ
私のカウンセリングの経験上、ネガティブな行動をしてしまう方の多くに、心の余裕のなさが挙げられます。
仕事で疲れて切っている、睡眠不足である、自己肯定感が不足している…このような状態では、イライラしてネガティブな行動をしてしまうものです。
まずは頑張りすぎていないか、余裕を持って取り組むことができているかを大事にしてください。以下の動画では適度にサボることの大事さを解説しています。
アンガーマネジメント
ネガティブな行動をしてしまう時、特に致命的なのは怒りに身を任せた行動です。
暴言を吐いてしまった
自分を許せず自傷してしまった
手をあげてしまった
これらの根底には怒りがあります。大事なことは、怒りに巻き込まれるのを減らすことです。もしあなたが怒りっぽいところがあるとしたら、下記コラムを参考にしてみてください。
メタ認知力で冷静に行動
ネガティブ行動が止まらない方は、マイナスの感情に支配されて、自暴自棄な行動をしてしまうことがあります。そこで大事なのが、感情への巻き込まれを減らすことです。
感情への巻き込まれを減らすためには、メタ認知が有効です。メタ認知とは、自分の感情を客観的に眺めることで、冷静に行動していく力を意味します。
わかっちゃいるけどやめられない…という行動が多い方は下記コラムを参考にしてみてください。
まとめ
最後は私の話となります。人生は選択の連続です。すべての選択がうまく行くわけはなく、大概の方は後悔するものです。私自身、「迷ったときはGO!」を人生の座右の銘にしています。前向きな行動であれば、例え失敗したとしても、自分自身にOKを出せるからです。皆さんも自分なりの行動基準を作り、ぜひ後悔しない生き方,人生を歩んでください♪
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・後悔をしない考え方を身に着ける
・後悔を前向きに活かすリフレーミング
・優柔不断を減らし、行動力をつける
・恐怖心をコントロールする方法
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3件のコメント
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たくさん我慢されてきたんですね…
男性はこうあるべき、女性はこうあるべきって考えを信じて、その通りに生きてこられたのでしょうか。
今、それは正しくないって気付くことができたのだから、遅くないですよ。
今からでも、自分自身に正直に生きてみましょうよ。
本当のあなたを受け入れてくれる人は必ずいると思います。後悔ばかりだ
サッカーをしたいと言えば良かった
ロボットを作りたいと言えば良かった
男になりたいと言えば良かった女に生まれたから…お金かかることは迷惑だから…
それで自分を抑えてきた、幼少の頃に戻ってやり直したい…
周りと違うことを堂々としていれば良かった…後悔はあまりしない方です。
決断の時は確かに自信持って選択しているからなんですね。
でも私の場合、自身にあまり根拠がないような気がします。
要は直感で選択しているように思います。
これも後悔しない人生に有効なんでしょうか?コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1] 上市 秀雄・楠見 孝 (2004). 後悔の時間的変化と対処方法 ー意思決定スタイルと行動選択との関連性ー 心理学研究, 74, 487-495.[2] 塩崎 麻里子・中里 和弘 (2010). 遺族の後悔と精神的健康の関連:行ったことに対する後悔と行わなかったことに対する後悔 社会心理学研究, 25, 211-220.[3] 中西 大輔・井川 純一・志和 資朗 (2015). 自信があれば後悔しない-意思決定への自信が後悔に与える影響- 感情心理学研究, 22, 118-127.[4] 道家 瑠見子・村田 光二 (2009). 後悔の過大推測:ネガティブ・フィードバック直後と時間経過後の予期的後悔と経験後悔 実験社会心理学研究48 巻 (2008-2009) 2 号
僕は中学性の頃、友達が少なくて悩み始めました。中学生の頃は何もできなかったのですが、高校に入ってから色々調べて悩み始めてから4年が経過した今、ようやくこれならいけるんじゃないかと思える策を組み立てることができました。それはよかったのですが、自分が悩んでた間他の子たちは色々な経験をして人としてどんどん成長していて輝いて見えます。悩んでないでもっと行動を起こしていればよかったのに。と思います。今、僕は高3です。大学に入った暁には全力で努力してみんなと同じくらいの土俵に立ちたいのですが、2年くらいでみんなに追いつけると思いますか。