ソーシャルサポートを増やす方法
皆さんこんにちは。人間関係講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ソーシャルサポートの増やし方」についてご相談を頂きました。
相談者
28歳 女性
お悩みの内容
私は現在、精神疾患の療養中です。精神保健福祉士の援助者の方から、ソーシャルサポートをもらえる環境を作り、孤立しないようにしましょうと言われました。
ただ私は元々、孤立しがちな生活で、具体的にどうすれば良いかわかりません。ヒントをもらえると嬉しいです。
孤立しがちな生活は、どうしても気分が滅入ってしまうと思います。当コラムでは、ソーシャルサポートの種類を解説し、実際に増やす方法を提案させて頂きます。是非最後までご一読ください。
意味と種類
ソーシャルサポートの意味
ソーシャルサポートは、1970年代に キャッセル (Cassel, J.) や キャプラン (Caplan, G.) という学者によって提唱され発展してきました[1]。意味としては以下のようになります。
家族、友人や隣人などの個人をとりまく様々な人々からの有形、無形の援助を指す
定義を見ると、ソーシャルサポートはかなり広い概念であることがわかります。
種類
1981年になると、ハウス (House, J.S.) という心理学者により以下の4種類に分類されました。[2]
①情緒的サポート
周りの人に、話を聴いてもらったり、共感してもらうことを意味します。私たちは気持ちを共有し合うことで精神的に支え合っています。
②道具的サポート
問題を解決するために物理的な支援をもらうことを意味します。金銭的に余裕がない時に親から援助をもらったり、公的機関を頼ることが挙げられます。
③情報的サポート
問題を解決するための情報による支援を意味します。仕事を失った時に、転職に役立つ情報を知ることなどが挙げられます。
④評価的サポート
行動や考えに対する客観的な評価を意味します。「よく頑張ってるね!」など、肯定的な評価を得ることが挙げられます。
私たちはこれらのソーシャルサポートをもらったり、提供したりを繰り返し、支え合って生きているのです。
心理的,身体的効果
周囲からのサポートが得られると、心理面、身体面で数えきれないほどのメリットがあります。折りたたんで記載したので興味がある見出しを展開してみてください。
心理面のメリット
身体面のメリット
ソーシャルサポートは心だけでなく、身体にもプラスの効果があります。
ソーシャルサポートの活用
ここまでソーシャルサポートのメリットについて解説してきました。ここからは、日常生活でどう活かすか?という視点から7つのやり方を提案させて頂きます。
①困ったら助けを求める
②僧侶系男子,女子を探す
③コミュニティに所属しよう
④食事の機会を活かす
⑤感情交流を大事に
⑥自分も誰かを助ける
⑦深刻な場合は公的機関も視野に
自分でもできそうなものを組み合わせてご活用ください。
①困ったら助けを求める
ソーシャルサポートをもらうのが苦手な人は、助けを求めるのが苦手な傾向があります。特に日本人は男性の自殺率が高く、
助けを求めることが恥ずかしい
どうせ誰も助けてくれない
迷惑をかけてはいけない
…という心理が働いていると考えられます。しかし、人間はそもそも社会的な動物で、困った時はお互い様という精神を根本的に持っている生き物です。きっとあなたのことを助けてくれる人はいるはずです。
助けてと言えない、悩みを一人で抱え込んでしまう・・・という人は「苦しい時はお互い様!」という意識を持って、身近に少しずつでも相談を持ち掛けてみましょう。元気になったら今度はあなたが誰かを助けてあげればOKなのです。
Flynnら(2008)の研究[11]では、大学生53名を対象に、街中で見知らぬ人に「携帯電話を貸してください」とお願いしてもらいました。
被験者たちは、10人に声をかけても1人しか応じてくれないだろうと予測していたのですが、実際は平均6人に1人のペースで携帯電話を貸してくれたのです。
助けを求めれば、きっと誰かが援助をしてくれます。困った時は一人で抱え込まないようにしましょう。
②僧侶系男子,女子を探す
もしあなたの周りが、
悪口が多い
批判が多い
競争意識が非常に強い
そんな方ばかりだとしたら要注意です。精神的に休まる暇がなく、消耗してしまうでしょう。そんな時におススメなのが、攻撃的な人とは距離を置き、僧侶のように穏やかな人と仲良くなるという作戦です。
例えば、ボランティアサークル、歌のサークル、地元のスナック、などでは比較的受容的な方が多そうです。上下関係が少なく、温かい言葉を使う方が多い環境を大切にしましょう。
③コミュニティに所属しよう
以下のような状況にある方は要注意です。
独り暮らしで話し相手がいない
一言も話さない日がある
家族と会話する時間が取れない
会話をしなくても業務が進められる
このような状況にある方は、ソーシャルサポート不足であると推測されます。対策として、コミュニティに所属して、気軽な会話をふやすことが大事です。
筆者(川島)の経験則になりますが、所属しているコミュニティが5つ以上あれば十分でしょう。ソーシャルサポートを得やすい環境にあると考えられます。
2個以下の方は赤信号です。コミュニティの数が少ないと、1つのコミュニティでうまく行かない時に気持ちが不安定になりやすく、立て直しが難しくなってきます。
5個以上の方:青色信号
3~4個の方 :黄色信号
2個以下の方:赤色信号
以下のコラムではコミュニティを探すコツについて解説をしています。黄色信号、赤信号の方は参考にしてみてください。
コミュニティの意味,所属,探し方
④食事の機会を活かす
食事の際、
会社でいつも一人で食べる
食事中、会話がない
テレビをつけながらご飯を食べる
お互いスマフォをいじっている
このような習慣がある方は要注意です。桶口ら(2003)[12]は、
研究では、夕食を「
つまり、
食事中は私たちが最も無防備になり、自己開示を気軽にしやすい状況です。食事中だけは、スマフォをいじらず、気軽な楽しい会話をするなどの習慣を大事にしましょう。
⑤感情交流を大事に
いざ会話をする場面になったとき、
無表情で会話をする
問題解決の話ばかりする
討論っぽくなってしまう
これらの傾向がある方は注意が必要です。なぜなら、これらの会話では感情交流が不足しがちで、精神的には回復しにくいからです。大事なのは、楽しかったこと、うれしかったこと、辛かった悩みなど、お互いに心を開いて会話をすることです。
冷静な会話が多く、感情交流が不足しがち…と感じる方は筆者が主催する人間関係講座をおススメしています。温かい会話の練習、共感するトレーニング、自己開示の練習などたくさん行っていきます。詳しくは、以下のリンクを参照ください。
⑥自分も誰かを助ける
ソーシャルサポートはもらうだけでなく、余裕があるときは是非とも自分自身も行いたいものです。先程の心理的メリットのところでもお伝えしましたが、誰かを助けるとポジティブな気持ちになることができます。
困った人がいたら助ける、悩んでいる人がいたら悩みを聴く、そういった姿勢はきっとあなた自身のメンタルヘルスも向上させます。お互い助け合う姿勢を大事にしましょう。
⑦深刻な場合は公的機関も視野に
ここまで紹介した①~⑥のやり方は、ある程度余裕がないとできない行動です。もしも今、消えてくなくなりたい気持ちがあったり、自己価値が著しく低下している感覚がある場合は、医療や公的機関のソーシャルサポートも視野に入れましょう。
代表的なものとしては、精神科や心療内科です。お医者様のサポートは心の支えになるでしょう。もし医療に頼ることに抵抗がある場合は、市町村の精神保健福祉相談を活用してみるのも良いでしょう。地域にある様々なソーシャルサポートを紹介してくれるはずです。
まとめ
紀元前300年頃、哲学者のアリストテレスは
「人間は社会的動物である」
と主張しました。私たちは、一人一人ではまったくもって脆弱な生き物です。仮に無人島に1人になってしまったとしましょう。3日もすれば飢えと渇きと孤独感でおかしくなってしまいます。
暖かいお布団で寝ることがでる
おいしい食べ物を口にすることができる
安全な暮らしができる
これらは、私たちが助け合って生きているからなのです。困った時はお互いさま!困った時は助けてもらい、また困った人を助ける習慣をつけていきましょう。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・ソーシャルサポートを増やす,講座で悩み相談
・悩みを抱え込まない,主張練習
・孤独な生活を改善,温かい人間関係作り
・感情交流を増やす,会話の練習
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5件のコメント
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更年期でイライラするのか、年寄の両親にイライラするのかわからないのですが、ストレスチェックをしたら、重度だったので、書き込みしてみました。家では、私の居場所はなく、何かいうと、文句を言われるし、とても疲れてしまいます。どこか、遠くに行きたいです。
一人暮らし、友達彼氏0、独身、仕事は在宅(今は無職)毎日誰とも会話しないのが普通です。嫌われ者で誰ともうわべ以上の関係失火できません。毒親は他界炭で家族はいません。趣味の音楽活動は活発ですが先日は、メンバーに「あのlive行く?」とlineで軽く聞いたら既読無視の後断りの返事がきました。私が誘ったと誤解された様です。誘ってないし、そんなに困惑するほど嫌いなのかと憎み、その人の事も自分も大嫌いになりました。元から嫌われ者の自分も自分を嫌う他人も大嫌いです。それを延々と繰り返してるので死にたくなります。自分や他人を憎む気持ちがどうしてもなくなりません。通常は取り繕ってますが、潜在意識は、どうせ私の事なんて嫌いでしょ、私もあんたたち大嫌いだから というのが刻まれてます。SSTや神経科通いましたが基本姿勢は全く改善しません。自分が敬遠され拒絶されるのは変わりません。
恨みを解消する方法を検索してここを拝見しました。
私は20年以上ベンチャー企業で働いていたのですが、たぶん更年期の症状でイライラし、結局ハラスメントで退職させられました。
男性ばかりの職場で理解がなかったのは確かです。小さい会社だったので上司が即社長でした。
完全に関係が壊れたのは話し合いの場での社長の言葉です。
『あんた、おかしいよ!』意味も意味ですが、あんたですよ、あんた。
退職後、ビジネスマネジメントの資格を取得し、益々この社長の対応は異常だと実感しました。この社長自体、ハラスメントをしたと気が付いていないところも腹が立つので、自覚させたい部分もあります。他にもハラスメントをして辞めさせた社員がいます。私自身が資格を取得したことで見えた来たことがたくさんあります。
それで逆に恨みを持つようになったのかもしれませんが。
人に恨まれて生きていくんだと知らしめたい気分もありまます。姉との関係に一喜一憂します。
化粧品販売の仕事を共にしており、姉が上司の関係。姉は言葉が強く仕事以外でも私の行動や悩みに批判的です。悩みを聞いてもらえるのは有難いのですが、時に姉の言葉に心を痛める事が多々あり、滅入ってしまい、うつ状態になってしまいます。
姉に嫌われてしまった、と思うと同時に自己否定に走り、自己肯定感もなくなり、自分が嫌になってしまい、日常の家事などもやる気が失せる事もしばしば。コロナで、友達付き合いが減ってしまったのも原因かも。基礎疾患のある父とも同居しており、行動を控えています。コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
・出典[1] 稲葉 昭英・浦光 博・南 隆男 (1987). 「ソーシャル・サポート」研究の現状と課題 三田哲學會[2] House, J.S. (1981). Work Stress and Socal Support. Boston, MA: Addision-Wesly.[3] 細田 絢・田嶌 誠一 (2009). 中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究 教育心理学研究, 57, 309-323.[4] 浅沼 美里・山本 奬 (2018). 教師からのほめられ経験・叱られ経験がその後の自己効力感に与える影響 岩手大学大学院教育学研究科研究年報, 2, 49−57.[5] 城 佳子 (2013). 大学生の自己開示・ソーシャルサポートが被受容感に及ぼす影響の検討 : 被開示スキルとの関連を通して 人間科学研究, 34,63 -72.[6] 浅野 壮志・小田島 裕美・宮 聡美・阿久津 洋巳 (2008). 性格5因子とポジティブ・ネガティブ感情, ストレス反応, 対人不安の関連 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要, 7, 113-133.[7] 小松 優紀・甲斐 裕子・永松 俊哉・志和 忠志・須山 靖男・杉本 正子 (2010). 職業性ストレスと抑うつの関係における職場のソーシャルサポートの緩衝効果の検討 産業衛生学雑誌, 52, 140-148.[8] 井奈波 良一 (2015). 女性看護師の声を出して笑う頻度と勤務状況,日常生活習慣および職業性ストレスの関係 日本職業・災害医学会会誌,63, 81-87.[9] 大坪 岳 (2017). 青年期のコミュニケーション・スキルとソーシャル・サポートがレジリエンスに及ぼす影響 追手門学院大学心理学論集, 25, 13-25.[10] 斉藤 雅茂・近藤 克則・尾島 俊之・平井 寛 (2015). 健康指標との関連からみた高齢者の社会的孤立基準の検討 10年間のAGESコホートより 日本公衆衛生雑誌, 62, 95-105.[11] Flynn. F., & Lake, V.K.B. (2008). If You Need Help, Just Ask: Underestimating Compliance With Direct Requests for Help. Journal of Personality and Social Psychology, 95, 128-143.[12] 樋口 善之・松浦 賢長 (2003). 大学生における自己肯定感と生活習慣との関連に関する研究 福岡県立大学看護学部紀要, 1, 65-70.
東大阪の小姑に一方的に嫌がらせをされてます。
これは死ぬまでされると思います。
誰もいない場所に消えたいです。