ホーム >
コミュニケーション知恵袋 >
人間関係 >
積極的な男性,女性になる方法

日付:

積極的な男性,女性になる方法,恋愛や友人関係が充実する

皆さんこんにちは。こちらのコミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のテーマは「積極的になる方法」です。

積極的になる方法

突然ですが皆さんは、

会話でいつも孤立する
会議で発言できない
好きな人ができても話しかけられない

こんなお悩みはありませんか?そこで今日は消極的になってる自分を積極的に変えたい、そんな思いを持っている方向けに、コラムを作成したいと思います。目次は以下の通りです。

積極的になれない問題点
積極性が不足する原因
積極的になる方法-心理面
積極的になる方法-行動面

積極的になれない方は、ぜひ最後までご一読ください。

積極的になれない問題点

それでは、早速ですが積極性が不足すると、どんなデメリットがあるのか解説していきます。

対人関係で孤立

まず結論から言いますと、友人関係で孤立しやすくなるという問題があります。社会人になると、近い年齢の人が周りにいることが珍しくなっていきます。その結果、なかなか横のつながりで交流する機会がかなり減ってくるのです。

そのため、消極的なままでいると、本当に気がついたら「なんだか気がつくとずっとゲームばかりやっていて、いつの間にか自分一人ぼっちになっていたな」といった感じで、孤立しやすい社会になっていると思います。

恋愛で不利になる

あとは、恋愛で不利になるというところも挙げられます。今は恋愛について少し過敏になっているようなところがあると感じています。恋愛をするかしないかはかなり自由になってきていて逆に、

今、付き合っている人はいるの?
どんな人がタイプなの?
理想のデートプランは?

といった少し踏み込んだ質問がとても難しくなっています。場合によっては、そういった質問をするとセクハラに当たるのではないか、といった風潮ができてしまっているのです。

そのため、恋愛というのが他人が自然と紹介してくれることがほぼなくなってきています。自分から積極的に動いていかないと、出会いの回数は少なくなるでしょう。

積極的になる方法,恋愛で不利

ビジネスと機会損失

ビジネスの機会損失も、消極的なままでいると生じてしまう問題の一つです。ビジネスを展開する上では、個人の能力がいくら高くても、行動を起こさなければ何も始まりません。

逆に、能力が多少劣っていても積極的に行動することで、自分の存在を認知してもらえる機会が増えます。そうすると、

「とりあえずあの案件は彼がいるから任せておこう」

といった具合に、縁が繋がり、それが大きな仕事に発展していくことがしばしばあります。

ビジネスにおいては、能力と行動力の掛け算が重要となります。行動力がなければ、自分が持っている能力や可能性は広がっていきませんし、人との縁も繋がっていきません。つまり、積極的に動かなければ、仕事でも成功を収めるのは難しいと言えます。

つまり、消極的な姿勢を貫くことは、ビジネスチャンスを逃す大きな要因となり得ます。自己の成長と成功のためには、適度に積極性を持ち、行動を起こす勇気を持つことが不可欠です。

積極的になる方法,ビジネスシーン

積極性が不足する原因

では、具体的になぜ積極性が不足してしまうのかという点について解説していきます。積極性が不足する原因は要因がありますが、その中から5つをピックアップしました。

シャイな性格

まず1つ目は、シャイな性格です。徳永ら(2013)[1]は大学生297名を対象にシャイネスについて調査を行いました。その結果の一部を以下に示します。

積極的になる方法 シャイネス,関係開始スキル

関係開始スキルとは、自分から積極的に他人に声をかけたり交流したりする能力を指し、積極性に非常に近い概念です。調査の結果、シャイネスと関係開始スキルには負の相関が見られました。つまり、シャイであればあるほど関係開始スキルが低下する傾向が示されたのです。

興味深いことに、シャイネスには遺伝の影響もかなり大きいとされています。概算ではありますが、約50%が遺伝の影響を受けているという見解があります。つまり。先天的にシャイな人がいることは現実として受け入れなければなりません。

抑うつ感がある

2つ目は抑うつ感に関する研究です。相川ら(2005)[2]は大学生122名を対象に、成人のソーシャルスキルについて調査を行いました。ソーシャルスキルとは、会話の技術や人間関係を築く技術のことを指します。その結果が以下の図です。

 

積極的になる方法 抑うつ感と関係開始スキル

調査の結果、抑うつ感が高ければ高いほど関係開始スキルが低下することが分かりました。コミュニケーションは、実は心のエネルギーをかなり使います。集中力も必要ですし、自分の考えを言語化するのも脳のエネルギーを消費します。

そのため、元々持っている会話をするための「心のカロリー」とでも言うべきエネルギーが不足している状態だと、自分から積極的に行動する気持ちにはなりにくいのです。

自尊心が低い

もう1つの研究を紹介します。吉川ら(2001)[3]は大学生347名を対象に、社会的スキルに関する研究を行いました。その結果が以下の図です。

積極性 自尊心 関係開始スキル

関係開始スキル、つまり積極性に関するスキルや技術、力について調べています。グラフにはLSMHと書かれていますが、Sはセルフエスティーム(自尊心)の略称です。Lは低い、Mは中程度、Hは高いを意味します。青は自尊心が低め、緑は中程度、オレンジは高めの人たちを表しています。

結果は次のようになりました。自尊心が低めの人たちの関係開始スキルは8.24、中程度の人たちは10.0、高めの人たちは12.59でした。自尊心が高くなるほど、かなり積極的になれることがわかります。

このように、積極性を身につけるには自尊心が鍵になってくると考えられます。

受容体験の不足

相川ら(2005)[2]の研究では、大学生122名を対象に、成人のソーシャルスキル(会話の技術や人間関係を築く技術)について調査を行いました。その結果が以下の図です。

積極的になる方法 被受容感と関係開始

このように抑うつ感が高ければ高いほど、関係開始スキル(積極的に自分から関係性を築いていく力)が低くなることが分かりました。

コミュニケーションには心のエネルギーを多く使います。集中力も必要で、自分の考えを言葉にすることも脳のエネルギーを使います。

心のエネルギーが不足している状態では、自分から積極的に行動する気持ちになりにくいのです。例えばスポーツに例えると、体が疲れている時は走る気になれません。逆に体が元気いっぱいの時は、家にいてもむしろ走り出したくなります。コミュニケーションも同じで、心の健康を整えることが基本的に大切なのです。

積極的になる方法 被受容感がない

技術不足

基本的な技術の不足も積極性が育たない原因の一つです。スポーツと同じように、コミュニケーションも練習が必要です。野球の練習をたくさんすればうまくなり、サッカーもドリブルやパスの練習を重ねれば技術が身についていきます。

会話も同じように、たくさん練習をすることでうまくなっていきます。積極的に行動できない人は、単純に言葉の使い方の練習ができていない、あるいは人と関わる経験が不足しているために、会話の糸口を見つけられないことがあります。この技術不足を解消していくことも、問題解決の上で重要になります。

積極的になる方法-心理面

積極的になる方法は、心理面と行動面の両方からアプローチすることが大切です。まず心理面から見ていきましょう。

自尊心を高める

実際のカウンセリング事例を見てみましょう。とても美しい女性が相談に来られたことがありました。客観的には誰が見ても美人なのですが、その方は、

鼻の形が気になる
肌のシミが気になる
唇をもっと小さくしたい

など、自分の容姿に強い不安を持ち、人と関わることを恐れていました。そのため、休日も一人で過ごすことが多かったそうです。

一方で、普通の容姉の方が非常に社交的で、積極的に人と関わっているケースもあります。この違いは何でしょうか。それは、自分の価値をどう見ているかの違いです。顔立ちに関係なく、「自分は相手に話せる内容がある」「社会に役立つ情報を持っている」という自信があれば、積極的に人と関われるのです。

自己成就的予言

自己成就的予言とは、根拠のない思い込みでも、その思い込みに即して行動することで実際に実現しやすくなるという心理学の理論です。アメリカの社会心理学者マートンによって提唱されました。

例えば、以下の思い込みを持っていると、その時点で暗い雰囲気になってしまいます。

どうせ自分はつまらない人間だ
自分は雰囲気を暗くしてしまう
人と話したら嫌われる

すると実際に会話がつまらなくなり、「やっぱり私の話はつまらない」という確信につながってしまいます。

逆に以下の前提を持っていると、相手への好奇心が自然と生まれます。

友人がいると楽しい時間が過ごせる
人と関わると将来的に良いことがある
人間関係の豊かさは心の豊かさだ

質問も活発になり、「連絡先を交換しよう」「今度遊びに行こう」という展開になりやすく、実際に良い関係が築けます。

恐怖心と脱中心化

恐怖心は積極的になれない大きな原因となります。この恐怖心を克服するためには、まず「自動操縦」という状態を知ることが大切です。自動操縦とは、

不安だから人間関係を回避する
恐怖心があるから人を避ける

など、感情がそのまま行動に結びついてしまう状態を指します。

一方、「脱中心化」とは、不安感や恐怖心といった感情と一定の距離を置いて、やるべきことをこなせる状態です。例えば、

「不安を感じているんだな」
「恐怖が湧いてきたな」

と一歩引いて観察し、不安な気持ちがあることを認識しながらも、本来やるべき行動を取ることができる状態です。そしてそれによって少し落ち着いたら、「不安はあるけれど、自分は今この人に話しかけると決めたから、話しかけよう」というように、感情を抱えながらも行動を起こしていきます。

脱中心化の技術をより深く知りたい方は、下記をご覧ください。

自動操縦と脱中心化の意味とは

ちょっと得もする

先ほどの原因でもお伝えしたように、被受容体験は非常に大切です。人は努力をしても、結果が出なければ嬉しくなれないものです。そのため、実際にポジティブな体験を重ねていくことが重要になります。

おすすめなのは、最初は優しい雰囲気のコミュニティに所属することです。

競争社会に飛び込んで、批判や誹謗中傷が多い集団に入ってしまうと、受け入れられる体験を得られにくいでしょう。そのため、優しい人たちが集まる環境に自分を置くことをお勧めします。

例えば、

ボランティア団体
地域のバーやスナック
趣味のサークル

例えばボランティア団体は、優しい心を持っている人が集まっています。ボランティア精神を持ち、人に対して温かい気持ちを持つ人たちと関わることができます。また、バーという選択肢もあります。

バーでは23時頃から人と交流できる環境があり、バーのマスターも温かく受け止めてくれるでしょう。このような日常的に会話ができる場所や温かいコミュニティに参加することで、実際に良い触れ合いを経験できます。

積極的になる方法,暖かいコミュニティ

積極的になる方法-行動面

続いて行動面のアプローチを見ていきましょう。行動面からのアプローチは8つあります。

まずは顔を出す

顔を出すことには、科学的な効果があります。「単純接触効果」という心理学の法則では、単に顔を合わせる回数が増えるだけで、相手からの好感度が自然と上がることが分かっています。

Zajoncら(1968)[4]では、接触回数と好感度の関係が調べられています。以下のグラフをご覧ください・

 

積極的になる方法,まずは顔を出す

このように接触回数が増えるほど、好感度も比例して高まっていることがわかります。

まずは、自分の興味のある活動や場所に定期的に顔を出すことから始めましょう。サークル活動、習い事、地域のイベントなど、どんな場所でも構いません。最初は緊張するかもしれませんが、回数を重ねるごとに自然と場の空気に馴染んでいけます。

挨拶をしっかり

挨拶は、コミュニケーションの基本中の基本です。特に大切なのは、始まりと終わりの挨拶です。相手に聞こえる声量ではっきりと言うことで、積極的で誠実な印象を与えることができます。最初は恥ずかしく感じるかもしれませんが、これを習慣にすることで、人間関係は格段に良くなります。

朝:「おはようございます」
昼:「こんにちは」
別れ際:「お疲れ様でした」「また会いましょう」
感謝の時:「ありがとうございます」「助かりました」

挨拶の基本さえ押さえておけば、たとえ会話が苦手でも、人との最低限の関係は築けます。また、いつも挨拶をしっかりしている人は、周りから好印象を持たれやすく、自然と声をかけられる機会も増えていきます。

自己開示を増やす

心理学では「自己開示の双方性」という考え方があります。お互いの話す量が均等であるほど、関係が深まりやすいことが分かっています。一時間の会話なら、自分も30分程度は話すことを意識しましょう。相手に話してばかりを求めると、相手の負担が大きくなってしまいます。

最初は自分の話をすることに抵抗があるかもしれません。しかし、適度な自己開示は相手との信頼関係を築く上で不可欠です。まずは天気や趣味など、比較的話しやすい話題から始めてみましょう。

積極的預聽

相手の話に興味を持って耳を傾けることは、良好な人間関係を築く上で重要なスキルです。単に黙って聞くだけでなく、相手の感情や考えに共感しながら、適切な反応や質問をすることで、会話が自然と深まっていきます。これは練習を重ねることで、必ず上達するスキルです。

相手の話を遮らない
相手の言葉を繰り返して理解を示す
うなずきや相槌で関心を示す

相手の話をしっかり聴くことで、相手は安心して話ができ、より深い関係を築くことができます。また、相手の話をよく聴くことで、次の会話の話題も自然と見つかりやすくなります。

積極的になる方法,積極的傾聴

まとめ

積極的になる方法については動画でも解説しました。仕上げとしてご活用ください。

しっかり身につけたい方へ

私たち公認心理師による講座では、心理学や人間関係を築く方法を学べます。内容は以下のとおりです。心理学を学びたい方、人間関係を健康的にしたい方はぜひ参加してみてください。

・心理療法ワーク
・発話のトレーニング
・傾聴のトレーニング

🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^) 

人間関係講座

助け合い掲示板

コメントを残す

コラム監修

名前

川島達史


経歴

  • 公認心理師
  • 精神保健福祉士
  • 目白大学大学院心理学研究科 修了

取材執筆活動など

  • NHKあさイチ出演
  • NHK天才テレビ君出演
  • マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
  • サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」


YouTube→
Twitter→
元専修大学教授 長田洋和

名前

長田洋和


経歴

  • 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
  • 東京大学 博士 (保健学) 取得
  • 公認心理師
  • 臨床心理士
  • 精神保健福祉士

取材執筆活動など

  • 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
  • うつ病と予防学的介入プログラム
  • 日本版CU特性スクリーニング尺度開発

臨床心理士 亀井幹子

名前

亀井幹子


経歴

  • 臨床心理士
  • 公認心理師
  • 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
  • 精神科クリニック勤務

取材執筆活動など

  • メディア・研究活動
  • NHK偉人達の健康診断出演
  • マインドフルネスと不眠症状の関連

・出典
[1] 徳永沙智・稲畑陽子・原田素美礼・境泉洋 (2013). シャイネスと被受容感・被拒絶感が社会的スキルに及ぼす影響. 徳島大学人間科学研究, 21巻, 23-34.
 
[2] 相川充・藤田正美 (2005). 成人用ソーシャルスキル自己評定尺度の構成. 東京学芸大学紀要 第1部門, 56, 87-93.
 
[3] 吉川洋子, 飯塚雄一, 長崎雅子(2001).女子学生の社会的スキルと自尊感情およびセルフモニタリングとの関連, 島根県立看護短期大学紀要, 6, 97−103.
 
[4] Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2, Pt.2), 1–27. https://doi.org/10.1037/h0025848