話し方のトレーニング法①1問1答を改善する
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。当コラムのテーマは「話し方のトレーニング法」です。筆者の川島は、心理学の大学院で日本で初めて話す力のトレーニング法の研究を行ってきました。
話す力は、表面的な知識で終わってしまうことが多いですが、このコラムでは体系的に鍛えることができるように構成されています。コラムは全部で7つあります。
1問1答を改善
5W発話法
感情発話法
具体例活用法
繰り返し表現
~ぐらい法
強調言葉くっつけ法
量が多いので、ブックマークをしてマイペースで進めてみてください♪今回は「1問1答を改善する」をお伝えします。
話し方とは何か
まずはじめにそのそも話し方とは何か?について理解をしておきましょう。
言語,非言語がベース
話す力のベースは基本的な「言語力」「非言語力」の2つが必要です。言語力は、ことばを使って、伝える力を意味します。具体的には、ごいの豊富さ、文法力、ことばにする速さ、などが挙げられます。非言語力は、表情、声の抑揚、身振り手振りなどを意味します。会話はことばだけでなく、非言語の情報も大事になります。
会話は「話す」「聞く」から成り立つ
私たちはこのように、「言語」「非言語」を使って会話をします。会話は大きく分けると「話す」「聞く」の2つに分けられます。この意味で会話が苦手な方は、話す力、聞く力、どちらか一方か、両方の力が不足していると言えます。
話す力を向上させるには、5Wで話の土台を作る、話題から連想をして新しい話題に広げる、など様々な方法があります。聞く力を向上させるには、オウム返しで相手の話を受け止める、誉め言葉の引き出しを増やすなどが挙げられます。
会話の全体像としては以下の図を参照ください。「話し方」の位置づけを理解したうえでトレーニングをすると、効率よくスキルアップすることができます。当コラムでは、下図のうち黄色の背景の話す力の向上を目的としています。
もし傾聴力も鍛えたい場合は、一通り学習した後に下記のリンクも参照ください。
話し方を工夫するメリット
まずは、話す力をつけるメリットを解説していきます。50個ぐらいお伝えしたいところなのですが、3つに絞ってお伝えします。
①メンタルヘルスの向上
話す行為はメンタルヘルスにとても良いことが分かっています。例えば
対人不安を減らす
ネガティブな気持ちを減らす
抑うつを減らす
孤独感を減らす
などの効果が期待できます。楽しく話したり、悩みを打ち明けたりすると、スッキリした経験は誰にもあると思います。話す行為は心の健康に効果的なのです。
以下関連する研究を折りたたんで解説しました。気になる方は展開してみてください。
③話す力で傾聴力も伸びる
会話力は「話す力」「聞く力」の2つが必要であることを先ほど紹介しました。実は話す力がつくと結果的に傾聴スキルを伸ばすことにもつながります。例えば、会話の相手が次のように話したとします。
今日は、人気店の手作りパンを食べてとても美味しかった
発話が苦手な方の場合、
美味しかったんですね
へー人気店のパン食べたんだ
手作りパンだったんだね
など、返しがシンプルになりがちです。しかし、話す力があれば
へー、手作りだと、安心して食べられるし、人気店なら味もはずれがなさそう!今度行ってみたい!
こんな返し方もできます。このように、話す力があれば、傾聴スキルを高めることもできるのです。
話し方-3つの禁止事項
それでは早速発話力を鍛えるトレーニングに進みます。まず初めに「3つの禁止」を抑えておきましょう。
1問1答をやめる
1つ目は、返しが一言で終わってしまう1問1答です。例えば
好きな料理はなんですか?
ラーメンです・・・
という質問に対して
ラーメンです・・・
ケーキです・・・
どちらもNGです。1つの質問に対して、ひと言で返してしまう会話は、質問した相手にとても負担です。次の質問に関して気を使ってしまったり、話をする気が無いのでは…と、マイナスの印象を持たれてしうまう場合もあります。
「~ない」をやめよう
2つ目は、「知らない」「興味がない」「○○はやらない」など「~ない」という返しを少なくすることです。例えば
旅行は好きですか?
という質問に対して
う~んいかないです…
このような返し方はNGです。。。これでは、会話が広がらないうえ、相手が話をしたくないのかな…と思ってしまったり、嫌悪感を抱かれてしまう可能性もあります。
この点、「ない」ことが事実の場合は「ない⇒ある」と言い換えて返すよう心がけるといいですね。例えば、
旅行は最近してないですが、町ブラは結構していますよ~最近気にいている町は…
という感じで少しアレンジ返すと印象UPです。「ない」よりも「ある」を意識して返すようにしましょう。
待ち癖を改める
3つ目は、相手からの質問や話題提供を待つクセです。
質問されるまでは話さない
自分から話題提供しない
このような消極的な癖がついている方は、コミュニケーション能力を伸ばすチャンスを逃してしまいます。会話では相手からの質問を待つだけではなく、自分から話題を提供する姿勢を作っていきましょう。自分から積極的に話題を提供する姿勢そのものが、コミュニケーション能力を高めてくれます。
繰り返しになりますが
・一問一答をやめる
・~ないをやめる
・待ち癖をやめる
この3点をまずは基礎として覚えておきましょう♪
練習してみよう
実際の会話を想定して練習をしてみましょう。
相手から質問された場合
相手から質問された場合は、1問1答にならないようにする、〇〇ないで終わらないようにするのがポイントでした。以下折り畳みを展開すると、それぞれに応じた場面でよくある質問が出てきますので、最低でも20秒程度話す練習をしてみてください。
自分から話しかける場合
会話をするときは、いつも受け身ではなく、自分から話題を提供することも大切です。以下のおりたたみを展開すると、様々なシチュエーションとお相手が出てきます。あなたから話題を提供してみましょう。
もっと話し方をトレーニング
今回は、話す力の効果、3つの禁止事項について、ご紹介しました。ここからは、「話し方のトレーニング法」を具体的に解説していきます。
そんでもって法
「1問1答」の癖を改善するには、「そんでもって法」がおすすめです。先ほどの例のケースなら
ラーメンです・・・(そんでもって)
と心の中でつぶやいてみるのです。そうすると、
ラーメンです。(そんでもって)豚骨系のスープが好きなので○○店によく行きますねー
このように”そんでもって”とつぶやくと、もっと話さなきゃ!という気持ちが出てくるので、1問一答が改善されていくのです。
慣れないうちは言葉が出てこないかもしれませんが、私の経験だと7割くらいは改善できます。1問1答になる癖がある方はぜひ試してみてください。
5W発話法
5Wで話の土台を作る話し方です。話す内容が短文になってしまう!何を話せばいいのかわからない…という方に、おすすめのトレーニング法です。詳しくは以下のリンクを参照ください。
感情発話法
内容に「どのように感じるか」を織り交ぜながら話す方法です。面白い話には必ず感情が織り交ぜられています。話す内容が無機質だなー、面白みが欠けているかも…と思う方は、ぜひ取り入れてみてください。
具体例を加えよう
話す力がない方は話が、ぼやっと抽象的に終わる特徴があります。ボリュームが少ない方は、とにかく具体的に話す癖をつけると効果的です。
繰り返し表現法
自分が発した言葉について、言葉を変えてもう一度話す方法です。伝えたい重要な気持ちは、1回だけでなく繰り返し伝えることで強調することができるのです。
発話に苦手意識がある方、話がすぐに終わってしまう方、会話が淡泊になってしまう方におすすめです。
~ぐらい法
「~ぐらい法」とは、~ぐらい・~ほどをプラスして話す表現を膨らませる方法です。「~くらい」を使って例えを交えることで、話す内容の感情表現をより分かりやすくしてくれます。
強調言葉くっつけ法
伝えたい表現を強調するために言葉をプラスしていく方法です。伝えたい感情を強調することができるため、相手に気持ちが伝わりやすく印象も残りやすくなります。また、強調した箇所が明確になるため、話し方にメリハリを出す効果もあります。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・話し方がうまくなる,5W発話法トレ
・話がはずむ,専門家指導,実践練習
・会話が続く!繰り返しトレーニング
・人間関係が楽しくなる,心理学の学習
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連