傾聴力を高める,トレーニング法
皆さんこんにちは!公認心理師の川島達史です。私は心理学の大学院で傾聴トレーニングの効果研究を行い、コミュニケーション講座の講師として活動しています。当コラムではそんな私のフィールドワークである傾聴技術を体系的にまとめました。
福祉関係で援助力をつけたい方
接客技術を磨きたい方
友人関係を向上させたい方
恋愛関係を充実させたい方
におススメの内容となっています。是非気軽にシェアしてみてください。コラム①では、「5分で完了!即興傾聴トレ」を解説しました。まずは体験として活用ください。
コラム②以降では、本格的に傾聴スキルを向上させたい方のために、個別のスキルを解説していきます。かなり量があるので、ブックマークをしてマイペースで進めてください。
5分で完了!即興傾聴トレ
それでは早速、即興トレーニングをしていきます。5分で完了!即興傾聴トレは
①いきなり質問しない
②ざっくり繰り返す
③一言肯定する
の3つのステップで進めていきます。
①いきなり質問しない
傾聴力を改善する上では
いきなり質問しない
これを意識することからスタートします。傾聴力と言うと、質問が大事だ!と感じる方がいると思いますが、質問は便利でお手軽がゆえに、傾聴力の成長を邪魔してしまうのです。
例えば、以下のような会話はNGです。
*話し手
お寿司が好きです。週に1回は回転寿司に行っています。
*聞き手
えっ?どこで食べたんですか?
何貫食べましたか?
ネタは何種類食べましたか?
このような聞き方は、傾聴の基本である「受け止め」ができていません。受け止めがないという事は、自分の興味が先行してしまい、相手の話をしっかり傾聴できないことになるのです。
繰り返しになりますが
いきなり質問しない
これだけで傾聴の基本的な心構えができたと言えます。
②ざっくり繰り返す
次に心がけることは
相手の発言をざっくり繰り返す
ことです。例えば、以下のような会話はOKです。
*話し手
お寿司が好きです。週に1回は回転すしに行っています。
*聞き手
えっ!お寿司ですか~
週1で食べにいくのですね
回転すしがすきなのですか
このように相手の発言をざっくり返していきましょう。目安としては相手の発言の2~3割です。これだけで随分傾聴力は向上していきます。
③一言肯定する
即興傾聴トレの3つ目は
ざっくり繰り返する
+ヒトコト肯定する
です。意識するだけで、劇的に好印象になります。例えば、以下のような会話はOKです。
*話し手
お寿司が好きです。週に1回は回転すしに行っています。
*聞き手
えっ!お寿司ですか~
+おいしいですよね!
週1で食べにいくのですね
+うらやましい!
回転すしがすきなのですか
+私もです!
いかがでしょうか。かなり印象が良くなったと思いませんか?簡単ですね!
練習してみよう
ここからは練習問題です。最初は時間がかかってOKなので、すぐに答えをみないでじっくり問題を解いてみてください。その後は、自然にできるようになるまで、何度も反復練習していきましょう。何度も練習して、瞬間的に答えられたらOKです。
練習問題1
*話し手
私は東村山に住んでいて、山あり川ありの自然が豊かです。
この発言に対して、ざっくり繰り返しと、一言肯定を考えてみてください。
↓
↓
考えましたか?
↓
↓
解答例
*聞き手
自然がたっぷりあるのですね~
+空気がおいしそうだなあ
山と川かあ~
+リラックスできますね
練習問題2
*話し手
私の趣味はカフェでまったりすることです。
この発言に対して、ざっくり繰り返しと、一言肯定を考えてみてください。
↓
↓
考えましたか?
↓
↓
解答例
*聞き手
のんびり過ごすのがすきなのですね~
+幸せな時間ですね!
カフェの時間を大事にしているのですか
+心がおちつきそうです
まとめ
即興傾聴トレはいかがでしたか?この3つを意識するだけで、かなり傾聴の印象が変わります。是非参考にしてみてください。今までよりもずっと暖かい空気感が会話の中に出てくると思います。
傾聴力トレーニング一覧
ここまで気の早い皆さんのために、即興でできるトレーニングをお伝えしました。ここからは本格的なスキルをお伝えします。全部で13個のリンクがありますが、基本的に上から順に進めてみてください。
1日では難しいと思います。1週間に1スキルぐらいのペースで充分ですので1つ1つ着実に傾聴力をつけてください。応援しています♪
3つのオウム返し
傾聴の基礎はオウム返しにあります。オウム返しなくして傾聴はないと言い切っていいぐらい重要なスキルになります。厳密にはオウム返しは3種類ほどあります。それぞれ使い方が異なります。是非以下のコラムで練習してみてください。
肯定返し法
オウム返しは傾聴の土台作りで重要ですが、これだけでは単調になってしまいます。次に大事なのが、相手の発言に土産をつけて返していくことです。具体的には肯定返しの練習が必要になります。先程は1言返す練習をしましたが、ボリュームを持たせて肯定する練習なども行っていきます。
自己開示
傾聴は相手の話を聴くだけ…というイメージがありますが、実はそのような意識を持つと大体失敗します。間違っても9割傾聴というような偏った会話にならないようにしましょう。
会話はバランスが大事で、あなた自身の自己開示も非常に重要です。あなたが自己開示すると、あなたの人となりがわかって、相手はもっと話しやすくなるのです。
5W質問練習
オウム返し、肯定返し、自己開示ができるようになったら、いよいよ質問が解禁されます。質問は連発はNGですが、もちろん会話の要所要所で使うのはOKです。まずは基礎となる5W質問から是非練習してみてください。
感情質問練習
5W質問は会話を継続させたり、情報を整理する効果がありますが、やや硬くなりやすい質問です。そこでもう1つの質問技術として感情質問も覚えておきましょう。感情質問を質問に感情を入れることで、暖かい会話を追求していく手法となります。」
相槌練習
傾聴においては、豊かな相槌をうつことが大事です。言葉だけでなく相槌上手になりたい方は以下のコラムを参照ください。
間を充分取ろう!
傾聴の基礎の仕上げは間の取り方です。間のない会話は忙しくなってしまい、自分も相手もすごく疲れます。ゆったりとした間を取りながらじっくり傾聴する空気を出せると相手はとっても安心することができます。
共感力トレーニング
ここから先は中級者向けのスキルを紹介します。ご自身に合いそうな内容がある場合は是非参考にしてみてください。
福祉職や接客業の方は、共感力が非常に大事になってきます。お悩みを相談される立場の方は是非下記のコラムも参考にしてみてください。
笑顔,アイコンタクト,声の抑揚
コミュニケ―ションには、非言語コミュニケーションと言語コミュニケーションの2種類があります。同じ「お寿司おいしいよね!」でも、下の2つを比べた場合、どちらに好印象を持ちますか?
言うまでもなく、左側の方が印象がいいと言えますね。言語コミュニケーションと非言語コミュニケーションは掛け算のような関係です。「おいしい!」というポジティブな表現も、非言語が伴っていないと効果は減退してしまいます。
是非笑顔や声の抑揚の練習もしていきましょう。非言語コミュニケーションについてはそれぞれ専門コラムがあります。気になるリンクがあったらクリックしてトレーニングをしてきましょう!
・笑顔力Up!
・アイコンタクト練習
・滑舌改善トレーニング
傾聴力に関する研究紹介
最後に傾聴に関する研究を紹介させて頂きます。より専門的な知識を知りたい方は参考にしてみてください。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・傾聴トレーニング,基礎からしっかり
・オウム返し,要約,言い換え練習
・発言を肯定する練習,誉め上手に
・カウンセリング技術,共感力トレ
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連