優しい人になる7つの方法
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回のお悩み相談は「優しい人になる方法」です。
相談者
28歳 女性
お悩みの内容
私は昔から完璧主義なところがあり、友人関係や恋人関係がすぐに終わってしまいます。相性が合わないと感じると、すぐに冷たい態度を取ってしまい、険悪になってしまいます。もっと優しい人になりたいです。どうしたらいいでしょうか。
冷たい態度をとってしまい、長期的な関係が作れないのは辛いですよね。孤立した状態が続くと、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼしてしまいます。そこで今回は、優しい人になるための方法を7つご紹介していきます。
①完璧主義をやわらげる
②感謝の気持ちを持つ
③メンタライゼーション力をつける
④共感力を鍛える
⑤無条件の肯定の姿勢
⑥優しい笑顔を身に着ける
⑦自己肯定感を向上させる
ご自身でも使えそうなものを組み合せてご活用ください。
優しい人になる7つの方法
①完璧主義を和らげる
1つ目は完璧主義を和らげることです。完璧主義な人と緩やかな人とでは、それぞれ以下のような違いがあります。
完璧主義な人
常に完璧でないと満足できない
↓
相手の失敗に目が行く
相手にきつく当たってしまう
批判や否定が多くなる
緩やかな人
ほどほどの状態で満足できる
↓
相手の細かい癖を気にしない
批判や否定はほどほど
相手に優しくなれる
このような違い出てきてしまいます。もしご自身で完璧主義傾向があると感じる場合は、注意が必要です。
他人への完璧主義を和らげるためには、「べき」という期待を他者に押し付ける見方を変えることが大切です。まず、自分が他人に対して「~すべき」と思っていることが、相手にとって現実的かどうかを冷静に考えてみましょう。
その後、「べき」を「~ができたら素晴らしい」「~ができると助かる」「~ができれば理想的」に変え、相手の努力や進展を前向きに評価することを意識します。また、他人の違いや個性を尊重し、完璧を求めるのではなく、その人のペースややり方を受け入れる柔軟な姿勢を持つことが大事です。これにより、相手との関係がより穏やかで理解あるものとなり、優しい雰囲気を感じ取ってもらうことができます。
完璧主義を和らげる方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
②感謝の気持ちを持つ
2つ目は感謝の気持ちを持つことです。感謝のある人とない人では、それぞれ以下のような違いがあります。
感謝のない人
相手がしてくれたことに気づかない
あいての価値を感じることができない
冷たい扱いになる
感謝のある人
相手のしてくれたことに気づく
あいての価値をしっかり認識する
あいてを大事にやさしく扱う
このような違いがでてきます。友人を大事にできないと感じる時は、日々友人がしてくれることや助けてくれることを確認し、感謝の気持ちを育てることが大切です。
例えば、忙しい時にメッセージをくれる友人や、悩みを聞いてくれる友人に対し、「話を聞いてくれてありがとう」や「連絡してくれて嬉しかった」と伝えましょう。こうした小さな感謝を積み重ねることで、友人への思いやりが自然と深まり、関係がより良好になります。
感謝の気持ちを育てる方法としては以下のコラムを参照ください。
③メンタライゼーション力をつける
3つ目はメンタライゼーション力をつけることです。メンタライゼーションとは、簡単に言うと以下のような意味になります。
自分自身や他者の行動の裏側にある様々な思考や感情を推測する能力
つまり、自分や他人の心を読み取る能力という解釈でよいでしょう。メンタライゼーション力がある人とない人では、以下のような違いがあります。
メンタライゼーション力のない人
空気が読めない
傷つけることを言ってしまう
自己中心的になる
メンタライゼーション力のある人
空気が読める
相手が欲する言葉がけができる
配慮が行き届いた行為ができる
メンタライゼーション力がないと、相手の気持ちに共感できず自己中心的になってしまいます。メンタライゼーション力をつけるには、背景にある気持ちを読み取る、表情や声の裏側にある真意を考える、これらの習慣をつけることが大事です。
例えば、友人が「大丈夫」と言っても、声が元気がない時は、本当は心配してほしいのかもしれません。表情や声色を見逃さず「何かあった?」と尋ねることが大切です。
部下が「問題ない」と言いながらも焦っている様子なら、実際は助けを必要としている可能性があります。「何か手伝えることはある?」と声をかけてみましょう。
このように相手の真意を考える癖をつけると、優しい人に2歩、3歩、近づくことができます。メンタライゼーションをより深く知りたい方は下記をご覧ください。
④共感力を鍛える
4つ目は共感力を鍛えることです。共感力のある人とない人では以下のような違いがあります。
共感力がない人
相手の気持ちによりそえない
相手の気持ちを軽く扱う
上っ面な励まし
共感力がある人
相手の気持ちによりそう
温かい励ましができる
相手の悩みを軽くできる
このように、共感力がない人は相手の気持ちが分からず、独りよがりな行動が目立ちます。共感力をつけるには、感情の繰り返し、温かい言葉の語彙を増やすことが大事です。例えば、友人が仕事で悩んでいる時に、自分も似た経験を思い出し「その気持ち、よくわかるよ。何か力になれることがあれば教えて」と優しく声をかけることなどが挙げられます。
共感力を鍛えたい方は下記のコラムを参照ください。
⑤無条件の肯定の姿勢
5つ目は無条件の肯定の姿勢を持つことです。条件付きで肯定する人と無条件で肯定する人には、以下のような違いがあります。
条件付きで肯定する人
結果を出さないと肯定しない
肩書や収入で対応が変わる
褒める時と褒めない時の落差がある
無条件で肯定する人
結果を出せなくても肯定する
肩書や収入で判断しない
安心感を持たれる
このように、条件付きで肯定する人は成果主義になりやすく、結果を出せない人に冷たくなりやすいです。改善するには、無条件で肯定する習慣をつけることがです。
具体的には、なにはともあれ挨拶をする、相手の意見をまずはしっかり聴く、結果よりも努力を褒める、などが大事になります。無条件の肯定をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
⑥優しい笑顔を身に着ける
6つ目は、優しい笑顔を身に着けることです。笑顔のある人と無表情な人では以下のような違いがあります。
無表情な人
とっつきにくいと思われる
冷たい雰囲気になりやすい
警戒されやすい
笑顔な人
とっつきやすいと思われる
温かい雰囲気を作れる
一緒にいて安心できる
このように、笑顔がない方は、何を考えているか分からない…と見られやすく、周囲から距離を置かれやすくなります。笑顔を増やすには、表情筋を柔らかくするトレーニング、笑顔ウイウイ体操、などが有効です。具体的なトレーニング法としては以下のウイウイ体操を紹介します。笑顔が苦手な方は参考にしてみてください。
⑦自己肯定感を向上させる
7つ目は、自己肯定感を向上させることです。心理学の研究では自己肯定感のない人とある人では、以下のような違いがあることがわかっています。
自己肯定感のない人
心に余裕がない
イライラしやすい
人に冷たく当たる
自己肯定感のある人
心に余裕がある
イライラしにくい
人に優しくなれる
このような違いが出てきてしまいます。優しい人になるためには、自己肯定感を高めて、自分にも優しくする必要があるのです。
自己肯定感を高めるには、自分を褒める習慣をつける、自分の長所を見つけるなどが効果的です。たとえば、仕事で小さな目標を達成した時に「今日は計画通りに進められた、自分を頑張った」と自分に声をかけましょう。
また、困難な状況でも前向きに対処できた時には「こんなに落ち着いて対応できたのは成長の証だ」と自分を認めることが重要です。毎日、自分の努力や成果を意識的に振り返り、ポジティブな言葉で自分を励ますことで、自己肯定感が自然と向上します。
自己肯定感を高める方法をより深く知りたい方は下記をご覧ください。
まとめ
今回は優しい人になる方法について解説をしていきました。優しさを与えることができるようになると、人間関係も安定し、深い関係を構築できます。また、周囲から信頼され、仕事上でも頼られるようになります。
皆さんが、お互いに優しく、温かい人間関係に包まれた生活を過ごされることを願っています。
しっかり身につけたい方へ
当コラムで紹介した方法は、公認心理師による講座で、たくさん練習することができます。内容は以下のとおりです。
・優しいやり取りを増やす練習
・無条件の肯定,ストローク練習
・ゆるさも大事,完璧主義を改善
・心をほぐす,共感トレーニング
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)
コラム監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連