ギャングエイジの意味とは
皆さんこんにちは。コミュニケーション講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「ギャングエイジ」について解説していきます。
目次は以下の通りです。
①ギャングエイジの意味
②心理的効果
③問題となる場合
④関連研究
是非最後までご一読ください。
①ギャングエイジの意味
意味
ギャングエイジ(gang age)は以下の意味があります。
小学生半ばの、遊びを通して形成される閉鎖性の強い集団のこと
ギャングエイジは、同性の比較的年齢の近いメンバーで構成されます。そのメンバー間では、強い仲間意識が生まれます。このグループは家族以上に大きな影響を持つものです。さらに、青年期になって親友を作る際の基礎になっていきます。
ギャングエイジを直訳すれば、「仲間時代」「大人からの旅立ち時代」となります。以前は「徒党時代」と訳されていましたが、現在では一般に徒党という言葉自体が使われなくなっています。gang(仲間)とgangster(悪者)と混同することがあり、ギャングエイジが非行少年集団と誤解される場合もあります。
提唱者
アメリカの社会学者フレデリック・ミルトン・スラッシャー (F.M.Thrasher)によって提唱されました。スラッシャーは1927年に、「The Gang」という自発的に形成される、少年集団を研究した代表的な著作を残しています。
対象年齢
諸説ありますが、児童期と青年期の境いめ(小学校高学年~中学生ぐらい )に形成されます。おおむね小学校3年~6年、8~12歳前後として議論されています。11~14歳 が絶頂期と考える人もいます。
集団凝集性
ギャングエイジでは、この集団凝集性が高くなります。集団凝集性とはメンバーを集団内にとどまらせるように作用することです。集団に同調することが求められ、規範から外れた行動は非難されることになります。
男子に特徴的
ギャングエイジは男子に特徴的であり、異性を含まないのが特徴的です。一方、女子はチャムと呼ばれる仲間集団で、秘密を共有することで仲間意識を高めることが特徴です。
②心理的効果
対人信頼感の向上
仲間内での深い自己開示を繰り返し、親密な交流を重ね、人は信頼できるという土台を築き上げていきます。例えば、ゲームの貸し借りや共通のアニメの話などのコミュニケーションを通じて、仲間意識が芽生えることなどが挙げられます。
倫理観を養う
喧嘩や意見の食い違いを乗り越える経験を繰り返し、助け合う心や人間関係の倫理観を向上させます。例えば、仲直りした時の気分の晴れやかさ、けがをした友人を保健室に連れていくなどの経験を通して、道徳心が芽生えるケースが挙げられます。
人間関係のスキル
くったくのない会話を繰返すことで、会話の力をつけていきます。社交性を身に着けていきます。例えば、サッカーや野球などを遊びを通して、周囲と協調することを学習します。
③問題となる場合
非行問題
ギャングエイジが非行グループの場合、反社会的な価値観が培われてしまう恐れがあります。具体的には、集団での窃盗、暴力、破壊行為などの非行につながるケースなどが挙げられます。また、このとき両親との価値観が合わない場合、夜遊びにふけったり数日間家出したりと、家に帰ることを拒絶する場合があります。
いじめ
集団内で同じであることが重視されるため、それに反すると仲間外れやいじめに発展する場合があります。親の見えないところで遊びに行ったりするため、子供がどんなことをしているのかが見えにくいことがあります。そのため悪い集団に加わってしまうと、非行やいじめの問題につながってしまうこともあります。
学業の軽視
友達グループで集まることで、遊びに意識が向かいがちです。一緒に公園で遊んだり、ゲームしたりと娯楽目的で集まることが多いです。そのため、友人たちと一緒にいる時間が多くなるほど、勉強時間が削られてしまいます。親が勉強するように促しても、周りが遊んでいると、勉強のモチベーションが落ちてしまう恐れがあります。
④関連研究
ギャングエイジに関する研究はそこまで多くありません。ここでは近接概念である親友に関する研究を紹介します。
不安を感じにくくなる
酒井等(2002)は中学生270名を対象に親友がいると、どのような心理的影響があるのか調査を行いました。その結果の一部が以下の図です。
上図は、親友との信頼関係が高いと、不安な気分が減るという意味があります。ギャングエイジを経験することで、不安やネガティブな気持ちを和らげてくれるのかもしれません。
リラックスが増える
酒井等(2002)の同研究では、親友との信頼関係がリラックスした気分に与える影響も調査しています。その結果が以下の図です。
上図は、親友との信頼関係が高いと、リラックスした気分が増えること意味しています。ギャングエイジで、気心知れた仲の友人と過ごすことで、気がほぐれるのかもしれません。
孤立傾向が少なくなる
酒井等(2002)の同研究では、親友との信頼関係が、孤立傾向に与える影響も調査しています。その結果が以下の図です。
上図は、親友との信頼関係の高いと、孤立傾向が減ることを意味しています。親友がいると孤立感が無くなって、安定した心持ちでいられるのかもしれません。その意味でギャングエイジは、孤独を軽減させる効果があると推測できそうです。
コミュニケーション講座のお知らせ
人間関係に関する心理学を学びたい方、トレーニングをしたい方は、公認心理師主催の講座をおすすめしています。内容は以下の通りです。
・人間関係の心理学の学習
・温かい人間関係を築くトレーニング
・聞き上手,話し上手になる練習
・心理学講座でメンタルヘルス向上
🔰体験受講🔰に興味がある方は下記の看板をクリックください。筆者も講師をしています(^^)是非お待ちしています。
ダイコミュ用語集監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
YouTube→
Twitter→
名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連
上村佐和子,佐藤さゆ里,浅沼知一,曽山和彦(2012) 小学校3年生に対するソーシャルスキルトレーニング(SST)は中学校生活に影響を与えるか? 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要20(1), 69-73
酒井厚,菅原ますみ,眞榮城和美,菅原健介,北村 俊則(2002) 中学生の親および親友との信頼関係と学校適応教育心理学研究 50(1), 12-22
画像出典 https://nededicionesblog.wordpress.com/2021/01/14/la-banda-the-gang/