交感神経・副交感神経の意味
皆さんこんにちは。心理学講座を開催している公認心理師の川島達史です。今回は「交感神経と副交感神経」について解説していきます。
目次は以下の通りです。
①神経の全体像
②交感神経・副交感神経とは何か
③自律神経に関連する病気
④自律神経の整え方
是非最後までご一読ください。
①神経の全体像
交感神経・副交感神経のについて知るためには、まずは神経の全体像を把握することが大切です。交感神経・副交感神経が神経のどの部分に位置するのか把握しておきましょう。
神経とは?
神経は、中枢神経系(脳と脊髄)と末梢神経系(神経線維や神経組織)から成り立っており、複雑なネットワークを形成しています。中枢神経系は、情報処理や指令の制御を担当します。末梢神経系は、中枢神経系からの指令を体の他の部分に伝える役割を果たします。
末梢神経系はさらに、体性神経と自律神経に分けられます。体性神経は、感覚神経と運動神経に分類され、感覚神経は皮膚、筋肉、臓器などからの感覚情報を中枢神経系に伝える役割を担っています。運動神経は、中枢神経系からの指令を筋肉や臓器に伝え、動作や反応を制御します。
末梢神経と中枢神経は、綿密な相互作用を通じて体の機能を調節しています。神経系のバランスの乱れや病気は、身体のさまざまな問題を引き起こす可能性があります。正常な神経の機能を維持するためには、健康的な生活習慣やストレス管理が重要です。
自律神経とは何か
自律神経は、内臓器官や血管、腺などの自動的な機能を制御する神経系です。体中の臓器や筋肉に張り巡らされていて、血圧、呼吸、心拍数、排せつなど、体内の環境を整える神経です。
自律神経は意識的な努力を必要とせず、無意識的、反射的に作用しています。ただし、自律神経は精神的によって大きく左右します。特に、緊張や不安、恐怖などの状況に影響され、心と体のバランスを崩す原因にもなります。
②交感神経・副交感神経とは何か
自律神経はさらに、交感神経と副交感神経にわけられます。それぞれに以下のような働きがあります。
交感神経
交感神経は身体を活発にする神経です。交感神経の中枢は脊髄にあり、脊髄の両側に交感神経幹があり、そこから各器官へつながっています。交感神経が有意になると、心拍数の上昇、血管収縮、血圧の上昇、瞳孔散大など身体の様々な器官が力を発揮する方向へ働きます。一方で、腸のぜんどう運動は抑制されます。これは腸の運動は副交感神経の働きによって行われているためです。
交感神経は危機が迫っている時、重要な問題を解決するときに役立ちますが、長期間交感神経が優位になると、心臓や脳の病気になりやすくなります。
副交感神経
副交感神経は身体を休ませる神経です。脳幹と仙髄から、迷走神経として顔面や内臓などに繋がっています。副交感神経が有意になると、心拍数の減少、血管の拡張、血圧の減少、瞳孔の収縮など身体の様々な器官が力を休ませる方向へ働きます。一方で、危機が迫った居る時も脱力しているような状態になるので、大事な場面では不利になることもあります。
副交感神経は、夕方頃から夜にかけて優位になり、夜には身体を眠りに入りやすい状態にします。睡眠中も副交感神経は働いており、身体の休息を促進させます。
③自律神経に関連する病気
自律神経の乱れは、様々な体の病気や精神疾患に影響します。
自律神経失調症
自律神経失調症とは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、身体や精神の不調をきたす症状を表します。不眠、食欲不振、発汗、身体のだるさなど幅広い症状が出ます。よく使われる病名ですが正式な疾患や診断基準があるわけではありません。
更年期障害
更年期障害(こうねんきしょうがい)は、女性が閉経に向けて経験する身体的および精神的な変化や症状の総称です。更年期は通常、40代から50代にかけて起こりますが、個人によってその時期や症状の程度は異なります。
更年期障害は、卵巣機能の低下に伴い女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌が減少することが原因と考えられています。これによってホルモンバランスが崩れ、さまざまな身体的および精神的な症状が現れるのです。
ギラン・バレー症候群
ギラン・バレー症候群は、自己免疫性の神経障害であり、主に急速な筋力低下や麻痺を引き起こす疾患です。免疫システムが誤って正常な神経組織を攻撃し、神経伝達を妨げることで起こります。
風邪や他の上気道感染症、そして下痢を伴う胃腸炎に感染した後、約1〜2週間後に手足の先にしびれや筋力低下の症状が現れます。治療には血漿浄化療、グロブリン療法やステロイド薬の使用が一般的です。リハビリテーションも重要であり、多くの患者は時間をかけて回復しますが、一部の人は重篤な合併症を経験することもあります。早期の診断と治療が重要で、専門医のケアを受けることが推奨されています。
精神疾患
自律神経の乱れはおよそあらゆる精神疾患に多かれ少なかれ影響します。特に影響が大きいのは、うつ病、不安症障害、睡眠障害などが挙げられます。これらは身体を休める副交感神経がうまく機能しないことで、精神的に不安定になり症状を強めてしまいます。
④自律神経の整え方
最後に自律神経の整え方を紹介します。
認知療法
自律神経の乱れはストレスを溜めやすい考え方が原因になることがあります。特に、物事を白黒で考える、完璧主義な方は注意が必要です。以下のコラムでは考え方をほぐす方法を紹介しています。考え方が偏りがち…と感じる方は参考にしてみてください。
漸進的筋弛緩法
漸進的筋弛緩法とは、筋肉に力を入れたり、脱力をすることで、自律神経をコントロールする手法です。心理療法としても有名です。体に力が入りやすい、絶えず緊張している、と感じる方は参考にしてみてください。
身体のリラックス法
自律神経は身体の面から整えることもできます。例えば、リズムよく呼吸をすると副交感神経が優位になり、身体をリラックスさせることができます。以下のコラムでは身体のリラックス法を紹介しています。ご自身にあう手法があるかご確認ください。
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ダイコミュ用語集監修
名前
川島達史
経歴
- 公認心理師
- 精神保健福祉士
- 目白大学大学院心理学研究科 修了
取材執筆活動など
- NHKあさイチ出演
- NHK天才テレビ君出演
- マイナビ出版 「嫌われる覚悟」岡山理科大 入試問題採用
- サンマーク出版「結局どうすればいい感じに雑談できる?」
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名前
長田洋和
経歴
- 帝京平成大学大学院臨床心理学研究科 教授
- 東京大学 博士 (保健学) 取得
- 公認心理師
- 臨床心理士
- 精神保健福祉士
取材執筆活動など
- 知的能力障害. 精神科臨床評価マニュアル
- うつ病と予防学的介入プログラム
- 日本版CU特性スクリーニング尺度開発
名前
亀井幹子
経歴
- 臨床心理士
- 公認心理師
- 早稲田大学大学院人間科学研究科 修了
- 精神科クリニック勤務
取材執筆活動など
- メディア・研究活動
- NHK偉人達の健康診断出演
- マインドフルネスと不眠症状の関連