2.迷走するコミュニケーション能力
コミュニケーション能力とは何か?を考える
まず考えていきたいのが,そもそもコミュニケーションとは何を意味するのかということです。皆さんはコミュニケーションと聞くとどんなイメージを持つでしょうか? 一般的には明るい笑顔で話し,会議で活発に議論をしていくといったイメージがあるかもしれません。IT系の方であれば,もう少し広く,メールやチャット,ツイッター等を含めてイメージするかもしれませんね。
学術的にもコミュニケーションの定義はわりと曖昧です。工学系の定義であれば,「情報伝達」となります。ここでいう情報とは,物質やエネルギーが構成する一定の法則を意味します。エネルギーや物質の持つ一定の法則が,メディアによって行き来すればそれがコミュニケーションとなります。
分野によって定義はコロコロ変わる
何でもよいのですが,本稿についていえば,キーボードを使って画面の上に言語を書いて形を作っています。これは広義の意味で私が画面上に物理的な法則を作っているのです。これをメディアである,インターネットを通して皆さんに伝え,それを皆さんなりに理解してもらっている。この一連の作業がコミュニケーションです。
一方で,言語学的な解釈では「伝達」というよりも「共有」という意識が強くなります。コミュニケーションの綴りを見るとCommunicationであり,「comm(共に)」というスペルが含まれています。伝達というよりも,「共有」するイメージです。
社会心理学などの分野では,主に対人場面における会話のやり取りなどが想定された定義が多くなります。相手の言葉や表情を適切に読み取って,目的に応じて自分の言葉や表情を適切に表出する。そんな意味合いで使われることが多いといえます。
曖昧な言葉を使っても問題は明確にならない
このように学術的にはコミュニケーションという言葉自体が,まだしっかりと定義されていません。ですから,一般的に使われているコミュニケーションという言葉も漫然としたイメージしか抱けないのです。
「コミュニケーション能力を向上させる研修」と考えてもどこから手をつけていいのかわからない会社様が多いのではないでしょうか?また人事の方もなんとなく、「社員の表情が硬いからスマイル研修を導入しよう」と単純に考えている会社様が多々見受けられます。
しかし、これでは研修は運任せになってしまい、導入すべき研修、導入すべきではに研修を判断できているとはいえません。そこで研修を導入する際に絶対必要な3つのポイントについてお伝えします。