7.なぜ会社の人間関係が悪い?
人間関係が悪い原因
対人コミュニケーション能力はすべての会社が求めているといっても過言でないぐらい,とても大切な能力です。しかしながら,現代社会では相対的にこの能力が落ちてきていることが指摘されています。 では,どうして現代では対人コミュニケーション能力が減退 しているのでしょうか。
コミュニティの崩壊
まず1つ目に挙げられるのが,コミュニティの崩壊です。コミュニケーション能力を地域社会的な構造から捉える上で大事なことは,農業従事者や自営業者が中心となっていた時代と,会社員が労働の主体となる時代を比較することです。
直感に訴える表現として前者を「田舎社会」,後者を「都市化社会」とします。「田舎社会」の人間関係について考えてみましょう。
田舎社会はEASYモード
「田舎社会」では家族関係,地域の人間関係が密接にあります。それぞれが助け合うことでその地域は成り立っていました(例えば農業であれば集団作業が有利でした)。家庭にお
いては祖父母,両親,兄弟が周りにたくさんいます。
夕飯の時間などは毎日が宴会のようなものです。また,家庭から一歩外へ出れば,親戚,従兄弟,近所のおばちゃん,おじちゃん,お兄さん,お姉さん,カミナリオヤジまでたくさんいます。
田舎社会では,こういった人間関係を幼い頃から体験しますので,年長者との振る舞い方,同年代との振る舞い方を自然と覚えていくのです。コミュニケーションの教師は身近にたくさんいたのです。当然コミュニケーション講座など必要ありませんし,現代のようにコミュニケーションに関する本など全く必要なかったのです。
都市社会はhardモード
次に「都市化社会」について考えてみましょう。
「都市化社会」を一言で表すと「異質」であるということです。
例えば「都市化社会」では,仕事はバラバラです。公務員,会社員,自営業,様々であり,また職種も色々です。さらに価値観や倫理観も「田舎社会」に比べその違いははるかに大きくなります。このため,こういった複雑な「都市化社会」でコミュニケーションを行うには,人の違いに対応できる能力が求められるのです。そして本来であれば,「都市化社会」においては「田舎社会」以上に,小さな頃からたくさんの人と接する必要があるのです。
しかし現在,「都市化社会」では核家族化が進み,親,兄弟だけの家庭がほとんどです。
現代社会では片親の家庭も増えています。兄弟も少子化により減ってしまい,多くても2人か3人という状態です。また、「都市化社会」では近所付き合いを濃密にする必要性が薄まり,地域のコミュニケーションは希薄化しています。
このような原因により現代社会ではコミュニケーションをする機会がなくなり,対人コミュニケーションの減退の一因となっていると考えられています。地域コミュニティの崩壊は文字通りコミュニケーションの崩壊につながっているわけです。