1.メンタルヘルスを定期的にチェックしよう!
社員のコミュニケーション能力を向上させるには,外部の専門家を雇い入れるのがベストです。しかし、専門家に外注すると予算もかかりますし、経営者に理解がない場合は予算が取れないかもしれません。そこで,今回は人事部だけで取り組むことができる対策について一部紹介したいと思います。コミュニケーション能力の向上は会社全体で取り組む姿勢を持つことが重要です。御社に導入できそうなものがある場合は是非実際に取り組んでみてください!
メンタルヘルスを定期チェック
はじめに考えたいのが,メンタルヘルスの定期的なチェックです。会社は原則としてPLAN DO SEEサイクルをもとに動いています。この点、「SEE」の部分を把握するには客観性を持たせたチェック機能が必須になります。
去年2014年、ストレスチェックが50人以上の会社で義務化されました。ただし、罰則規定はないため、そもそもこの事実を知らない会社も多いでしょう。しかし、これからは福祉に力を入れない会社はブラック企業としてのレッテルを張られる時代です。心理的なケアについては本腰を入れる時期に来ていると思います。法令尊守の観点や福利厚生の面から、導入を強くおすすめします。
単純なストレスチェックでは効果は薄い
ただしストレスチェックは実は会社単位の対策を立てる上では今一つ効果がありません。なぜならストレスチェックの結果は原則として守秘義務となっているからです。守秘義務ということは会社の取り組みが正確に把握できないということを意味します。
またストレスチェックは労働者側が義務を負っているわけではありません。会社は義務を負っていますが、労働者は受けたくない場合は受けなくてもいいのです。そのため経営的には、自分の会社の社員のメンタルヘルスの状況を客観的に知ることはできません。
経営的な観点からのメンタルヘルスチェック
そこで、会社としては、正規のストレスチェックとは別に経営的な目的でメンタルヘルスをチェックする機会を設けましょう。こちらは社員全員に受けてもらえるようにお願いすると良いと思います。
ツールについてはいくつかありますが、厚生労働省で紹介している,「職業性ストレス簡易票」などのツールを使って独自にチェックを入れることも考えるといいでしょう。定期的にチェックシートを社員へ配布し,自己診断をしてもらいましょう。
チェックシートの使用にあたっては,担当部署は診断結果を独立して管理し,原則として全体としての平均値を参考にして、個人のデータとしては守秘義務を守りましょう。これらの評価が査定に響くとなるとチェック回答が歪んでしまい,会社が抱えている問題を正確に把握することが困難になります。
無記名のチェック
もし個別のチェックに難しさがある場合は,無記名方式にして回答をしてもらう方法もあります。無記名方式の場合は得られた回答は統計的に処理して,全体としてメンタルヘルスの状況がどうなのかを把握し,職場のあり方の改善に役立てていきましょう。
メンタルヘルス,コミュニケーション能力を測る上で大事なことは,定期的かつ愚直に調査を続けるという点です。尺度は一度使ったら,「同じ尺度」を使って継続しなくては比較検討ができません。単発の調査では後ほど取り組んだ課題の成果の増減を把握することができないからです。最初にしっかりと計画を練った上で,会社的な恒例行事として,定期的にチェックすることが大事です。