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10.情報を創る人を大事にする

10.情報を創る人を大事にする

イラスト

ここで一旦話を元に戻しましょう。「ビジネス上」のコミュニケーション研修を導入する際は、以下の3つのポイントが重要でした。

1. 心理的な安定を得る力
2. 人間関係を築く力
3. 情報を生成・伝達・読み取る力

今回までに心の安定と人間関係の重要性について解説してきました。今回は3.情報を生成・伝達・読み取る力について解説していきます。

会社のコミュニケーションは、心の安定を土台として、その上に人間関係が基礎としてあります。この両者は会社が組織としての機能するために押さえておかなくてはなりません。そのうえで、3の情報を生成・伝達・理解する力を強化していく必要があります。

情報を生成・伝達・理解する力

情報を生成する力には少し説明が必要です。
まず「情報」はインプット型とアウトプット型に大別されます。インプット型の情報とは,すでに誰かが作り出した情報です。例えば新聞の記事,教科書に書いてある知識などが挙げられます。

インプット型の情報には弱点があります。それは相対的に価値が低いという点です。例えば,日本の首相は誰か?という問いの答えは誰でも知っていることです。無価値というわけではありませんが,誰でもが知っている情報ですのでそこそこの価値しかありません。

これに対して,アウトプット型の情報とは,インプットされた情報を組み合わせ,新しく「生成された情報」です。

既存の情報         新しく生成された情報D
インプット情報       アウトプット情報
A
B     →融合 発想 →    D
C

アウトプット型の情報は自分自身が組み合わせて作ったオリジナルの情報で,希少性のある優れた情報になる可能性があります。希少性とはいつの世も強みの象徴になります。この人にしかできない,世界に1 つしかない……少ないものには当然価値があるのです。

身近な例で考えてみましょう。例えば、「上を向いて歩こう」という曲があります。原曲は坂本九が作曲しました。これは今まで世の中にありませんでしたので、上の図で考えると情報Dにあたります。その後、世界中で局がカバーされましたが、オリジナルの情報を生み出した坂本九はいつまでも語り継がれていきます。もし坂本九がすでにある曲をただ歌うだけの歌手であればここまで有名にならなかったでしょう。

時代を変える力を持っているのは情報Dを作りだせる人なのです。情報の生成を会社単位で考えると、企画、開発、経営者の問題解決思考などがこれに当たります。答えが画一的ではない環境で新しいアイデアを作る力がコミュニケーションには必要になります。会社は情報、A、B、Cだけをただ発言するだけの人を集めると必ず会社の価値が低下してしまいます。少々性格に難があったとしても、情報Dを生み出せる方を大事にしなくてはなりません。

情報を伝達する力

次に重要なのは情報を伝達する力は重要です。
情報を生成する力があったとしても,これは他人に伝わらなくては宝の持ち腐れとなります。例えばボソボソと話したり,プレゼン能力が低かったりすると,せっかくの貴重なアイデアがムダになってしまうのです。自分が作った素晴らしい情報は相手に伝えなければ世の中に存在しないのと同じです。ビジネスの場面では,情報の伝達力もとても大事になってきます。

情報を読み取る力

情報を読み取る力とは,情報をインプットする能力です。
会話のなかから相手の意図を正確に読み取ったり,的確に質問をしたりする能力です。
インプット情報はアウトプットする情報のもととなる貴重な情報となります。その意味で相手の話を効率よく聞く力が必 要となるでしょう。

上の図で考えると、素材となる情報A、B、Cを集める力です。
上質な素材を聞く力があれば、発想の質も上がってきます。

 このようにコミュニケーション能力を考える上では、情報の生成・伝達・読み取りが3つ目に重要になってくることを抑えましょう。

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