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2.コミュニケーション能力はチェックできるのか?

2.コミュニケーション能力はチェックできるのか?

コミュニケーション能力の測定は困難

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コミュニケーション能力はこちらのコラム(URL参考 はりつけの際注意)でも解説した通り、1.メンタルヘルス,2.人間関係,3.情報の生成-伝達-読み取りの3つの側面から考える必要があります。メンタルヘルスについては学術的にも研究が進んでいるので統計的に優れた尺度が複数存在します。

これに対して,人間関係を築いたり,情報を生成したり,伝達したりする力を測るための標準化された尺度(scale)は存在しません。実はコミュニケーション能力を客観的に測るというのはとても難しい作業なのです。

例えば「自分は聴き上手だと思いますか?」という問いがあったとして,自分自身では聴き上手だと思っていたとしても,他人からみれば全然聴き上手でないことがあるのです。そのためスキルの評価については,自分だけでなく,他者評価も必要になってきます。残念ながら、現実的には他者評価で客観性のあるツールは作成されていません。また自己診断の質問紙もない状態なのです。

しかし,何もしなければ社員のスキルを測ることができません。そこで,方法としてはややコミュニケーション能力とはずれるのですが,近接概念である経済産業省の「社会人基礎力」を加工して使うとよいでしょう。こちらを自己評価と他者評価の2つの側面から図ると本人のスキルをある程度把握できるでしょう。

社会人基礎力とは

参考までに経済産業省が提案している社会人基礎力について概観していきます。
「社会人基礎力」とは,経済産業省によって「職場や地域社会の中で多様な
人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎的な能力」と定義され,主に「前
に踏み出す力」,「考え抜く力」,「チームで働く力」の3 つの能力で構成されています。

社会人基礎力を構成する3 つの能力

1 「前に踏み出す力」(アクション)
~一歩前に踏み出し,失敗しても粘り強く取り組む力~

実社会の仕事において,答えは一つに決まっておらず,試行錯誤しながら,失
敗を恐れず,自ら,一歩前に踏み出す行動が求められます。失敗しても,他者と協
力しながら,粘り強く取り組むことが求められます。

2 「考え抜く力」(シンキング)
~疑問を持ち,考え抜く力~

物事を改善していくためには,常に問題意識を持ち課題を発見することが求め
られます。その上で,その課題を解決するための方法やプロセスについて十分に納
得いくまで考え抜くことが必要です。

3 「チームで働く力」(チームワーク)
~多様な人とともに,目標に向けて協力する力~

職場や地域社会等では,仕事の専門化や細分化が進展しており,個人として,
また組織としての付加価値を創り出すためには,多様な人との共同が求められます。
自分の意見を的確に伝え,意見や立場の異なるメンバーも尊重した上で,目標に
向けともに協力することが必要です。

参考URL:経済産業省「社会人基礎力の育成と評価」
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

また弊社では近接概念ではなく、コミュニケーション能力を客観的かつ総合的に測れる尺度を作成しようとしています。完成までまだ少し時間がかかるのが現状です。まだ暫定バージョンではありますが、弊社で作成したスキルチェック表がありますので参考にしてみて頂けると幸いです。こちらの尺度は、メンタルヘルス、人間関係の構築、情報の生成・伝達・読み取りの3つの側面から総合的に判断ができます。

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