8.IT化はコミュ力を減退?
ITや情報ツールの多様化
2 つ目に挙げられるのが,IT化やコミュニケーションツールの多様化による対人コミュニケーションの減少です。
現代社会では対人コミュニケーションに頼らずとも,様々な手段で周りと情報の伝達をすることができます。電話,FAX,メール,SNSを使えば大概のことは済んでしまいます。
対人コミュニケーションは,相手との人間関係が深くなる分,とてもエネルギーを使います。表情に気を配り,服装に気を配り,身振り手振りに気を配り,とても疲れます。対人コミュニケーションは,うまくいけば喜びが大きいですが,やり方を間違えるとストレスとなるデメリットがあります。
それに比べて,メールなどであれば,ゆっくり打てる分,失敗が少なくなりますし,安全性が高いといえます。料理でいえば簡単にお店で買える惣菜ばかりに手を出して,手間隙かけて料理をすることがなくなっているようなイメージでしょうか。
毎日惣菜ばかりを食べていると,確かにおいしいですが,どこか空しい,そんな感覚のコミュニケーション不足が今の社会では多くなっているように感じます。
ネットを使いこなす人はコミュ力が高い?
ただし注意点として,これらのツールをうまく使えている人は,友人の数が多いなどの研究結果があります。そして現実的にはこれらのツールを使わずに仕事をすることなど無理なわけです。ですから,便利なデジタル情報伝達のメリットは生かしつつ,アナログなコミュニケーションにも目を向ける必要があるといえます。
具体的な対策については後ほど述べますが,例えば、「おはよう」と言う挨拶はメールではなく,直接言うというルールを会社で作り,部下から悩みの相談のメールを受けたら,メールではなく直接上司から声をかけて悩みの相談を受けるなどが一つの対策となるでしょう。